多趣味・マツキヨの落書き帳

2013年(平成25年/皇紀2673年)1月、タイトル含めて大幅刷新いたしました。 現在、ダイエー店舗訪問記録/映画鑑賞記/即席麺試食記/ラーメン店訪問記がメイン記事となっております。画像/引用/リンク等は、ご随意に。

2020.3.22 「ラストディール」鑑賞記

久しぶりの洋画鑑賞になった。とは言いながら、北欧が舞台のこの作品も、「家族の結びつき」が絵画のオークションシーンよりも出張ってくる、タイトルとは雲泥の内容になったところは特筆すべきだと思う。

名画系しかしないシネ・リーブル神戸に再び来館。手元不如意なことと、来週から上映の婆さん映画のためにリソースを取っておくこともあって日曜日なのに一本だけの鑑賞となった。
今回は久しぶりのアネックスでの鑑賞。500席以上という、関西でも屈指の収容数を誇る場所だが、もともとがコンサートや芝居・講演用の場所であることもあり、また、座席もピッチが狭く窮屈である。
この作品鑑賞に至ったのは20人余り。ここではさすがに閉鎖空間、といえるほどのキツキツ状態でもなく、余裕のある入れ込みになっている。

「ラスト・ディール」と表題にするからには、最後のオークションでの取引がクライマックスで、その後、売れて大団円、を想定していたわけだが、「ほほう。そんな風にしか脚本書けませんかwww」といわれてしまうような内容になっていくので、表題だけを信じて見に行くと少し肩透かしを食らう。
老店主が守る絵画店に、娘の息子……孫が、職業訓練を受けたいとやってくるところからストーリーは動いていく。オークションをする画廊でふと見かけた普通の肖像画に心を奪われてしまう老店主。サインがないことから普通なら買うのをためらうところなのだが、今までの鑑識眼が生きたのか、「これは名のある峩々の手になるものだ」と結論付ける。
孫と一緒に画の勉強に博物館に行ったりもするのだが、二言目には「何万ユーロだ」とか、「20万ユーロはくだらない」と金の話ばかり。それでも評価の欲しい孫は、しぶしぶ作者探しに付き合うことになる。
ところが、そのイヤイヤが思わぬファインプレーを産み出す。裏書されていたわずかな手がかりから、所蔵されていた博物館を割り出し、それが、イリヤ・レーピンの手になる「キリスト」像であると断定できたのだった。
このレーピンなる画家は実在している(すでに死去している)が、キリスト像は、別人が描いたもの(クレジットにも記載あり)。それでも、サインがないだけであり本物だと断定した老店主は、金策に走り回ることになる。

得点は、やや甘めの91点とした。
中盤で早速のようにオークションの場面が展開される。「おいおい、もうクライマックスかよ」と感じてしまったほどである。もちろん、「落としてから、自分のものにするべく代金を払い、お客様の手に渡り、入金されるまでがオークションですよ」ということにしていくだろうとは思っていたのだが、こういう、目的が話の途中で達成されてしまった場合、えてして、その後は悲劇的であったり、完遂されないということは薄々感づくわけなのだが、その通りになっていく。
レーピンの絵のコレクターも、最初はタッチから本物と見て購入の意思を示すのだが、仕入れ先に問い合わせてサインがないなどの瑕疵を知り、購入を断念。落札価格が超高額だったこともあり、あちこちにした借金が重くのしかかってしまう。しかも、孫の進学資金まで手を付けてしまったことが母親にばれて、せっかく修復しかけていた父と子の関係も引くに引けないところまでに向かってしまった。
売れず、借金だけが残った彼が取ったのは、店を完全にたたむこと。それで1万ユーロをねん出し、しっかりと返すべきところには返していく。そしてある日彼はまさにぽっくりと逝ってしまうのだった。

画を巡って家族の間もぎくしゃくするのだが、遺品の整理の段階で、このレーピンのキリスト像は、孫に譲る、と遺言を残していたのだった(弁護士のところに赴いていたのはこのため)。家族の間の継承。画を生業にすることはかなわなくても、祖父の想い出が詰まった一枚。金だけではない思いが孫に伝わったことは余韻を醸し出してくれた。
決して大規模興行など無理な内容に題材。だからこの手の作品は一期一会、見れるときに見ないと一生出会うことはないといってもいいだろう。北欧の陰欝な天気のようなすっきりはっきりしない作風だったが、「これはこれでいい」と納得してしまうそんな一本だった。

2020.3.20 やっちまった 「弥生、三月」鑑賞記

「おいおいおいおい」(スカウト木村 談)。
「一度死んでみた」が意外なほど映画として成立しているのみならず、肩の凝らない、しっかり善悪も提示して描き切れることに感動してしまっていた。聞けば監督氏はもともとCM畑の人で今作が初監督。それでこのテンポに、小ネタの応酬、知っている人にしてみれば笑いしかないうまい伏線とかがぎっしり詰まっている"お得"な映画だった。

そしてどちらかというと期待度マックスだったのは、こちら……「弥生、三月−君を愛した30年−」だった。波留といえば、「あさが来た」での好演が記憶に新しいし、対する成田凌といえば、本当に仕事選んでないんじゃないかというくらい、映画に出ずっぱりである。ちょっと思い浮かんだだけでも、「カツベン!」でも主役だったし、「スマホを落としただけなのに」2作(いずれも未見)も、殺人鬼・浦野役を怪演。「さよならくちびる」では、ハルレオのマネージャーみたいな立ち位置だったし、公開予定作でも「糸」の出演が確定している。言わずと知れたテッシー役なわけだが、まさに売り出し中という表現がぴったりである。

そんな二人の化学反応を見に行ったわけだが、西宮OSは大胆にも、最大スクリーンの11番をこの作品の当てる。そう。「君の名は。」を公開初期かけたあの大箱である。だが、館内は閑散もいいところ。100人はとても到達せず、昼過ぎ回なのにまったくの状態だった。支配人的には、配給の東宝の助言もあってのことだろうが、これはちょっとやっちまった感がありありである。

観客の入りだけではなく、実際の映画の内容もやらかした感満載だった。
得点を先に出してしまうが83点。とてもじゃないが『どうぞ見てください』とはお勧めできない。
その理由の一端が、監督にあった。

遊川和彦といえば「家政婦のミタ」とか「同期のサクラ」といったヒット作品ばかりがクローズアップされるし、私も「ああ、そうだったのね」と思ってちょっとはましなものが見られると考えていたのだったが……
鑑賞が終わって「あれ?遊川って……」とWIKIを開いて、持った湯飲みをバッタと落とし、小膝叩いてにっこり笑ってしまった(c浜村淳)。
そう。「純と愛」の脚本家だったのだ。

普通黒歴史は隠される。もし仮に「純と愛の脚本家」という紹介があったら少なくとも期待感を上げてみようとは思っていなかったと思う。「ま、まあ、ヒット作もあるし」(震え声)だから、完全に見ないで置くことはないにしても、「ハズレちゃうか」と思って見に行くべきだったかもしれない。
3月の31日間に弥生とサンタに起こった出来事を120分近くで描くことをするわけだが、時間配分として、どうしても「3月=東日本大震災」となっているところが見え隠れして、そこばかりがクローズアップされてしまう。無理やりな卒業式の日取りや、弥生が勤めていた書店の唐突過ぎる閉店日の設定。すべての日付に意味を持たせるための苦しい言い訳が後半になるにしたがって見ている我々にも苦痛を与えてしまっている。父の看病しに行った日の次の日(翌年)に死んだことにするあたりは、もうご都合主義の塊のように感じてしまった。

そしてこのストーリーの決定的な欠点は「だれ一人幸せになっていない」という点である。望まない結婚をして破綻、サッカー選手としても大成せず、自堕落に暮らすサンタに、これまた政略結婚に等しいところから抜け出し夢は叶えるものの、自分の目指したものや得ていたものを失うばかりか、義理の家族から白い目で見られる弥生。母に引き取られて教師になるものの、モンペの突き上げで辞めさせられる一歩手前まで追い詰められるサンタの子供・歩。トドメは、血液製剤のせいでAIDS発症し、忌避される存在になったのみならず17歳で命を散らさなくてはならなかった渡辺サクラ。こんなに陰欝な世界観の中で「君を愛した30年」といわれても「実際そうでしたか?」と問いたくなる気持ちにさせられる。

サクラの残したテープも実際見掛け倒しだった。全然入ってこないのだ。それは、当然のように30年経って聞いているところが大きいし、録音に取り掛かる前段階の小芝居の是非もある。なにより結婚式場で、親友のメッセージとして聞くから意味があるのであって、結婚に至らず、電車の中で聞いたとしてもそのレベルでしかない。さらに、それを聞き終えて嗚咽する弥生が映っているのだが、彼女の声は聞けずじまい。魂を揺さぶるのは、こういった感情の発露に引っ張られる部分が大きいはずで、BGMのみにしたのは、あまりに波留の泣きの芝居が稚拙すぎて、声を入れられなかったか、あるいは、監督の想いと違う芝居をしたからか、と思わざるを得ない。

もう欠点を上げれはいくらでも出てきてしまいそうなのでやめておく。
2方向に別れる卒業式のシーンとか、ビルのホールですれ違うような二人とか。ありきたりの映像表現ばかりでおっっとおもわせる表現もないまま。そうかと思えば、バスを追いかけるシーンは、好きだったんだろう、波留にも成田凌にも2回ずつさせている。サンタは乗れないのに、弥生はいずれも乗れている。これはメッセージではあるな、とは思ったが、もはやその程度の加点でどうなる作品でもない。
「一度死んでみた」が思いもよらぬ良作だったのに、こちらは、想像を大きく下回る内容。これだから、映画鑑賞は辞められないのである。

2020.3.20 「一度死んでみた」がやや大当たりな件 

閉鎖的空間での濃厚接触。ライブハウスや院内感染と言った要件を満たしてしまっている施設で拡散が始まってしまっている新型コロナウィルス。日本では爆発的な患者の急増は初期対応がよかったからなのか、あまり発生していないが、欧米ではすでに5ケタを数える患者数になっており、中国のことを笑えなくなっている状況が日々報告されている。

本当に劇場などを閉鎖している国もかなりの数に上っているのだが、日本はそこまでの強攻策をとらないでやれている。その代わり、海外からの映画導入が大作中心にほぼ途絶。邦画も、動員をけん引するべき「ドラえもん」「プリキュア」の公開延期で正直スクリーンは大量の空きが出てくる事態になっている。
そんな中、邦画の小品系は公開を決断。3/20初日となった2作品に照準を当てて当方は久しぶりのTOHO西宮OSに向かう。

一本目にしたのが「一度死んでみた」。広瀬すずの熱演がどう出るのか、と言ったところが気になっていた。とはいうものの、「どうせハズレなんじゃねえか」という思いが、ポイント鑑賞という「金を払いたくない」感情に結びつく。
場内は、2割ほど。祝日、上映初回という割にはそこそこ入っているという印象だった。
デスメタルバンドのボーカルという設定の広瀬すずの演じる七瀬。父親のことが大っ嫌いで、同じ空間に居ても境界線を設けてそこに立ち入らせなかったり、洗濯機も個別。それが可能なのも、父親は製薬会社の社長兼研究者。それでも、彼女が幼少のころから仕事のことが頭から離れない研究者脳であり、なんでも元素に例えたりする状態。それが嫌で嫌でたまらない七瀬は、「魂ズ」というバンドで「一度死んでくれ」なんていう曲で父親をDISりながら聴衆を魅了していた。
そこへ降ってわいた、ライバルの製薬会社の買収オファー。もちろん突っぱねるわけだが、そこからライバル会社の攻勢が始まっていく。その途上で、技術が漏れていることに気が付いた社長は、自分の会社の開発した、「2日間仮死状態になる」薬を使って一度死んでみることで黒幕や内幕を暴こうとするのだった。

この作品の裏テーマは、ズバリ、家族の再生である。
会社のことばかりだと思っていた父親は、実は、難病の妻を救える新薬の開発をしていたのだが、間に合わなかったことも劇中でいわれる。死の間際にあって研究を止められない研究バカではなかったことを七瀬が知ることで、父の母に対する愛情や、仕事に対する情熱というものに気が付いていくのだった。
彼女が言い続けた「死ね」の言葉は、自分と向き合ってくれない父へのシグナルでもあった。だから、実際死んでしまった時の彼女の喪失感は半端なかったと思う。
そして死んでしまってからの作劇の面白いこと。当然仮死状態なので「安置」場所はなぜか食堂。せめて会議室にしとけよ、と言いたいところなのだが、こうしたところに面白味を感じる。死に顔もおちょくっているようだったし、実際には仮死状態なのに幽体離脱しているところも漫画的だった。
三途の川を渡る演出も面白い。導師といえる火野(リリー・フランキー)が手引きするのだが、なんで彼の名前が火野なのか、というところが、のちのとあるシーンでピタリ合致するという面白さにもつながる。あー、CM好きでよかったwwww
得点は、望外の95点。何しろテンポがすこぶるいいのだ。
主役の広瀬すずの、今までと違う一面には脱帽である。「ラストレター」とか、ああいう清楚で普通の女子高生しか適役はないと思っていた私がバカだった。しっかり役作りをして臨んだだけあって、感情のはじけっぷりはどの局面でも演じていると感じさせない自然体の演技だった。何といっても、この作品最大の成果物は、彼女の歌唱力であった。社長であり、七瀬の父である堤真一も、死んでからの「霊魂」として登場するときの壊れぶりは、笑うしかない。
出てくるなり悪役感満載の小澤征悦に嶋田久作のコンビは記号的にもすぐわかったし、うまく立ち回ってくれた。存在感のないゴーストという役どころの吉沢亮も、本当に気配を消せる芝居ができているのがすごい。
意味深な宇宙服や、娘のローマ字がすべて元素記号で書き表せると看破できた「THINK」Tシャツがパスワードのキーになっていたりと、伏線や小ネタが生かされているなと感じた。90分強の尺でスピード感も失われず、放っていかれるほどでもない適度な疾走感。それだけではなく、「家族とは」「言わないと伝わらない」といった普遍的なメッセージも内包しているんだから、ただ単に「面白かった」とならないところがこの作品の凄いところである。
「死」を扱いながら、決して重くない作風にしつつ、しっかりと家族の修復にまで手当てする。こういう作品なら何回見ても面白いと感じてしまった。そう。「ハズレちゃうか」という期待を大きく裏切ってくれた怪作だったとスクリーンを後にしながら思ったのだった。
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