多趣味・マツキヨの落書き帳

2013年(平成25年/皇紀2673年)1月、タイトル含めて大幅刷新いたしました。 いろいろと埋めてまいりますのでお楽しみに。

2017.9.14 そして伝説へ 「きみの声をとどけたい」3回目鑑賞記

「ハァァァァァ」
ため息をつきながら「正装」で出かける。

35回目/塚口サンサン劇場で、スクリーンで見られる最終回の「君の名は。」を観た時とは全く違う感情。このときは、本当にスクリーンに会釈してしまうほどの感謝を感じていたものだった。一年近くも作品に関われた。そんな作品だったわけである。
だが…
すんなりした作劇と内容なのに、言葉の力を体現させようとした「きみの声をとどけたい」は普通に良作だった。いや、君縄を知らず、いきなりこの作品で復活をしていたとしたら、下手するとすべての作品を押しのけて一位奪取もありえたくらいの衝撃だった。
主役級は全員オーディション/作画・キャラデザは中の上/せいぜい音楽面でちょっとプラスがあるくらいか、と思っていたのだが、実は、主人公役の声優さんが歌うオープニングは、意外に凄みがあることに気が付かされる。
もちろん、名曲の呼び声高い合唱曲となった「Wishes Come True」は、最終盤の見せ場で流れる。この曲の神っぷりは半端ない。特に登場人物が歌うシチュエーションの楽曲でここまで感情を持っていかれるとは思っても見なかった。そして、エンディング。もういう言葉が見当たらない。

それでも満席どころか半分も程遠い観客数に唖然とする。9/1の初見/ファーストデーですら14人しか対峙しない。9/7に緊急的に見に行ったのだが、8人!!スタートダッシュがいかに大事かを思い知らされる。この興行では、延長など望むべくもなく、9/14のファーストランでミント神戸も終了する。

まあ仕方ない。無駄と知りつつ、動員を積んでみる。「どうせ満席など程遠いだろう…」
結果としては、14名/女性ペア一組を除いて全員男性という状態。カップルで見るデート映画でもないので当然ゼロ。男性ペアが一組入ってきたが、ほかは男性ソロ。そして不思議なことに中年層が大半を占めるのだ。20代も2人はいたが、それ以上の人たちが平均を持ち上げる。40代中盤と少し精密度が上がるほどのウォッチングができた。

映画の優劣に言及しても仕方ない。良作、必ずしもヒットせず、なんていう作品は私が今まで知らなかっただけで、数の上ではエンタメ作/ブロックバスター的な作品よりそっちの方が多いはずである。「この世界の片隅に」のように、じわじわ右肩上がりすらなかった今回の興行は、作品のアウトラインが、あまりに平板で、広告宣伝が難しかったことも如実に表している。
評価されなかった(観客動員できなかった)ことをスタッフたちはどう見ているのか…それでも、クライマックスシーンで泣きながら「Wishes Come True」を口ずさむ小生。少ないながら、観た人に何かを残せる映画になったことは間違いないだろう。

「きみの声をとどけたい」のヒットしなさぶりを考える

2回目の視聴を終える。

エンディングが十八番寸前にまで歌えるレベルになっていることもあり、周りに誰もいないことをいいことに歌唱練習も(勿論声には出しませんよ)。しかし、歌詞がよくて、ついついウルッと来てしまう。

1回目より2回目。映画の良さを知るには、やはりこの複数回鑑賞は重要なポイントになりつつある。

名作であり、秀作。「優作」などという言葉で表現されているツイッター民もいたが、その言葉は至言である。だが…入らない。見られない。正当に評価されない。
配給が東北新社、声の出演は、主役級の6人が声優オーディションによる合格者(ついこの間までどシロート)、キャラデザは青木俊直氏(あまちゃん=能年玲奈氏のあま絵で脚光を浴びた程度でそれほど著名でもない)、アニメーション制作はノゲノラもやったMADHOUSEだが、作画監督がいっぱいいたことからも、2戦級/予備軍的な人員総動員的な舞台裏を想起する(エンドロールでも人手はかかっていた印象。君縄ほどではないにしても、製作費はそこそこかかっていると推察)。一流どころが名を連ねていない。売れなくて当然、といえるかもしれない。

私の思っていたことは・・・
「この作品を製作者サイドはどう考えているのか」 というただ一点である。
もっと端的に言う。「売りたいのか、どうでもいいのか」・・・。作品がそれほどスペクタクルでも、熱情を帯びた何かがあるわけでもなく、むしろ、何事もなく普通に流れてしまう。そういう作品こそ、CMなり、SNSなりで拡散して観に行かせようとする動きがないと難しい。
製作者サイドには「そこまでしなくても…」という控えめな態度が目立つし、無性に腹が立つ。良作を世に送り出しておきながら、見てもらえていないこと。これは、ハードルを上げて大爆死する「エンターテインメント超大作」というあの作品と同罪である。

良作の評価されなさ過ぎに我慢がならなくなっているのである。そこそこに見られているのなら、私のような金欠病に年中苛まれている人が劇場に足しげく通う必要などない。だが…無駄と知りつつも興行を伸ばしたいと思う衝動。これすなわち、憑りつかれた、あるいはかなり沁みたからに他ならない。

「君の名は。」は、まごう方無きエンターテインメント作品だった。演出も笑いどころもあり、あのご神体での瀧の慟哭は、当方のアニメーション映画シーンのベスト3に入る。登場人物に成りきらせてしまうほどの見事な作劇。これがやりたくてスクリーンに対峙したは、言い過ぎでも何でもない。
「きみの声をとどけたい」に、そんなスペクタクルな、ガツンと鈍器で殴られるような、エモーショナルなシーンがあるわけではない。その部分で言えば、「物足りない」と思う人がいてもおかしくない。だが、所詮、高2の少女たちのひと夏の経験。大それた行動に移るはずもなく、時代に流されつつも、まっすぐに生きる彼らを描くよりほかはないのだ。事実、放送局兼喫茶店は取り壊される。その破壊の中から生み出される「生(Life)」。それが奇跡をも生み出す。それを彩る楽曲。感動しないわけがないのだ。

感動の種類が違う。
一見、「それで入ったり入らなかったりするのだろうか」という声もあるだろうが、館数の多少/上映回数/地域…すべてを同一にそろえることができない以上、君縄との興行上の比較は無意味だ。
でも入らない…良作と評価している人は少なくないのだが…

「キミコエ」のヒットしなさぶり。駄作ならわからないでもないのだが、これだけの作品が正当に評価できない/されていないのには絶対理由があるはずだ。



この作品も2回目。2017.9.7 「きみの声をとどけたい」 鑑賞記

2017年9月1日。
実は、去年の10月1日に負けずとも劣らない「特別な記念日」となった。
「きみの声をとどけたい」の初見日であり、そしてこの日からこの映画のことが気になって仕方ないという日々を送り始めてしまったのである。

理由はごく当たり前。公開初週であり、9月1日のサービスデーくらい入ってくれないと、後で稼ぎようもない弱小アニメーション映画。それなのに…わずか14人という惨状。「あーあ、こいつもハズレなんじゃないの…」

だが、その不安は主人公の歌う、澄んだ歌声と、うまいタイトルバックで一気に払しょく。大きな山谷がないようで、意外と個々人の感情の起伏が描かれているという、ストーリーだけを上滑りすると見逃がしやすい作劇が展開される。そしてクライマックス。過剰に映ったところは差っ引くとしても、それが奇跡になり、主人公の想いもそこに体現する。ベタなのに、普通の演出なのに、感動してしまう・・・言葉の、楽曲の力というものをまざまざと思い知る。

   「それなのに…この映画はぁぁぁ」 (瀧三 声を揃える)


そして初見から2日後にエンディングを購入。製作協力もしているJOYSOUNDで配信されていたエンディングを全国採点で全国初挑戦(記事作成時点の9/8でも私一人だけwww→9/10確認したところ、おおお、4人に増えてる)。さらに一週間たたずに2回目を鑑賞するという事態にまで発展してしまっている。これは正直異常事態である。

9/1→9/7。7日ぶり鑑賞・二回目。二回目は君縄の一か月後、ノゲノラの1か月越え、キミスイの10日目を越え、記録達成。いや、これはむしろ、記録うんぬんより、入れ込みの悪さを何とかしたいという思いから。実際、正装でスクリーンに対峙せず、平服で久しぶりの鑑賞となった。
観客は見事に8人!! 全員のパーソナリティーが記録できるほどで唖然とする。だが…そこには正直本来見てもらいたいはずの中高生も、20代前半の層も存在しない。おっさん/おばはんしか対峙していない。最後列に陣取っていたのは初老のそこそこ正装の男性。私の前の列は推定40代前半の女性。予告のさなかに入ってきたカップルも、30代後半の明らかに夫婦だった。平均年齢は40代前半。ここまで主観客層とかい離しているのであれば、入ってくるはずがない。

平易なストーリー、山谷の薄い展開。高2なのに、コイバナがあるわけでなし、むしろ男の存在がほぼなかった部分は、物足りなく映った部分かもしれない。だが、6人がお互いの長所を持ち寄って作り上げたストーリーは、本当のクライマックスで花開く。
最終盤はやや駆け足になってしまったわけだし、主役一人だけの描写にしてしまったのも少しだけもったいない。だが、名曲「キボウノカケラ」が最後に前向きにさせてくれ、感動をきれいに精算してくれる。

「言霊」をキーワードにしたところは企画側の勝利、のはずだった。だが、結果的に入ってくれない。これはやはり、製作者側の姿勢の問題ではないか、と思うようになってきた。次の記事ではここに言及してみる。


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