多趣味・マツキヨの落書き帳

2013年(平成25年/皇紀2673年)1月、タイトル含めて大幅刷新いたしました。 現在、ダイエー店舗訪問記録/映画鑑賞記/即席麺試食記/ラーメン店訪問記がメイン記事となっております。画像/引用/リンク等は、ご随意に。

2018.6.20 間違いなく「私の一本」になった 羊と鋼の森 2回目鑑賞記

今更だが、当該映画の予告編を張っておく。


このラストの殺し文句をここで再掲させてもらう。

「きっと、あなたの生涯の一本になる」

一度だけ劇場で見た予告編。「君の膵臓を食べたい」の予告編と同様の名作臭をありありと感じさせる。多分だが、「キミスイ」と本映画の予告を作った人、少なくともコピーを考えた人は同一人物ではないか、と思う。それだけ、このコピーは秀逸だし「どれ、そこまで言うなら見てやろうやない」と思わせるのに十分である。

私は、実はこの作品、「君の名は。」三葉役で一気に興行界にその人ありと認められた上白石萌音嬢(劇中では、佐倉和音(かずね)役)の芝居を見たいというのが最大の動機だった。事務所(東宝芸能)の方針か、テレビドラマにはほとんど顔を出さない上白石姉妹。東宝の箱入り娘化させるつもりなのだろうか、今年は「未来のミライ」で妹たる萌歌嬢が吹き替えに挑戦するという。
そんなかなりハードルを上げたコピーの作品がトンデモだったらどうしてくれよう・・・「キミスイ」や「かぞくへ」あたりで邦画の実力やこれまでの認識を改めさせられたから大丈夫だとは思うが…

そして初見で、当方の映画評で初めての100点をたたき出す(ちなみに「君の名は。」は、99点)。いや、もっと上げてもいいくらいだ。それくらいこの映画にはありとあらゆるものが詰まっている。

西宮OS3本目は、この作品にすると当初から決めていた。あの、犯罪者一味の映画には最大箱が充当されているのに最小箱に近い場所があてがわれる。しかし、観客はひきも切らない。レディースデイだったことが奏功して女性陣が次から次に。100人足らずの箱だったが、半数はきっちり座ってくる。

2回目になった当作品だったが、確認するべきところは山ほどあった。特に「本当に吉行和子はしゃべらなかったのか」はかなり衝撃で、「ホンマカイナ」と思っていた部分だったが、食卓のシーン、飛びだした高校時代の外村を迎えに椅子に座っているシーン。この2カ所が生きている出演シーン(あとは死体のシーンだけ)であり本当にセリフは一言もなかった。
はじめての外村の担当。引きこもりの男性宅でのシーンは、彼がピアノ弾き始めたら、今回も感極まってしまう。14年のブランクが、演奏にも表れているちょっとへたくそなタッチであるとかも、しっかり表現できている。そこが本当にすごいのだ。
調律師のストイックさ。それがあの映像だけで伝わってくる。マジで「あなたの、生涯の一本になる」とは思っても見なかった。


2018.6.20 強引なまとめが吉と出ず 空飛ぶタイヤ 鑑賞記

池井戸潤原作のドラマは、TBS系列でやった「半沢直樹」に代表されるように、しっかりした舞台背景と、骨太な登場人物、そしてそのバックボーンに裏打ちされた、演者の没入感が映像化された時にとてつもない厚みでもって視聴者に訴えかけてくるからこそ、受けたわけだし、実際の文章だけの小説であっても、それが感じられるから読者も付いてくる。
企業体質を題材に持ってこさせたら、山崎豊子(沈まぬ太陽)か、池井戸か、と言われるほどの筆致で迫ってくるわけだが、この映画原作も、某大手自動車メーカーのリコール隠しに端を発している。言わずもがなのスリーダイヤの会社(Fで始まるブランド名といえば感のいい方ならわかる)であり、実際の死亡事故も起こしている。原作が結構オブラートに包んでいるとはいっても史実が裏打ちしてくれるから説得力は半端ない。

それにしても登場人物の多彩なことよ。入ってきたての整備士とキャッチボールできるほどの2代目社長に長瀬、番頭に笹野、整備部隊に六角、対する自動車会社側には窓口になる課長にディーン、課長と真相を暴く関係に至るムロ、グループ銀行サイドでは、自動車会社に対する稟議を通すかどうかを迷う役に高橋、真相を追うジャーナリスト役に小池、社長の妻に深田、そして悪の根源たる自動車会社の専務に岸部、所轄刑事に寺脇という布陣。けして安くはないが、超のつく一流でもない中堅どころが競い合う形になった。ちなみに入ってきたての整備士がジャニーズ系だと知らされたのだが、演技はなかなかにいいものを持っていると感じられた。

実際、2時間程度でまとめる原作なのか、と言われるとかなり厳しいといわざるを得ない。この程度のスピードでは理解できない人がいてもおかしくない。それはいくら登場人物に役名のテロップを入れたとしても同じである。運送会社、自動車会社、銀行。特に自動車会社内部は、品質保証部や販売と部署が入り乱れる。しかもみんなイケメンと来ている。美男子ぞろいで心配することしきり。

映画としての難易度は決して高くない。時系列も入り乱れることなく、すんなり理解できるだろうと思う。だから、もう少し丁寧に描くとか、前後編にして厚みを持たせるかした方がもっとよかったのに、と思う。一本にまとめることの難しさを後半のサラッとした流れが物語っているようである。
そんなわけで採点である。真実に迫る主人公たる社長。しかし、別に車に明るいわけでもない彼が奮闘したその時間というものは、無駄ではなかったといえるのか?金に転ばなかった正義漢と、たちまち困る懐事情を天秤にかけた描写に、苦悩があまりにじみ出ていなかったところは減点だ。子供の描いた文章は反則技。なのであまり加点要素にならない。先にも書いたがいろいろつじつまのあってしまうところに無理やり感を感じずにはいられない。よって81点どまりとする。

多彩すぎる材料に料理人たる俳優の多さ。ぎりぎりうまくまとめました、だが、どうにも読了感が薄いのだ。「血の通った対応」を願う社長と対比的な、「会社のコマ」たるディーン。この二人が最後まで分かち合わなかったラストあたりも、何とはなしに不十分さを浮きだたせる。加害者であり被害者の社長がそれでも苦汁をなめさせられた会社のトラックを使い続けなくてはならないところをもう少し掘り下げておけばよかったのに、と思う。


2018.6.20 みんな違ってみんないい 「ワンダー君は太陽」鑑賞記

当初、20日は松竹系のサービスデーだったので、そっちに回るつもりでいたのだが、TOHOのHPを見てびっくりする。なんとシネマイレージ会員なら1100円で一週間みられる、というのだ。(6/15-21まで)
「もっと早く言ってよ」と言いたくなったが、気がついたのが19日なのだから仕方ない。最寄りの東宝系は西宮OSなのだが、敢えて大阪・梅田まで行くこともあるまい、と思いここで我慢する。
そしてラインアップを確認。朝一からの上映で気になる洋画を見つける。それが「ワンダー 君は太陽」である。

先天的な理由で顔を何度も手術する羽目に陥ったオギー。醜くなってしまった顔を隠すようになり、プレゼントでもらった、宇宙服スタイルのヘルメットを愛用し、部屋の中でも着用するありさま。それでも、未来は宇宙に飛び出したいと思っている宇宙大好き少年だった。
今までは家庭での学習だったが、遂に学校に行くことになるオギー。いじめや打ち解けないなど、想定される障害・ハードルはいくらでも挙げられていた。サマーバケーション時に在校生3人に案内されるオギーだったが、このときの男のコとはいい意味でいい関係を紡いでいくことになる。
初登校日から、試練と好奇の目にさらされるオギーだったが、まずは初日を何とか通り過ごす。父の忠告通り、理科の授業ではガツガツ回答していくわけだが、そこは、物理や化学に縁がある家庭環境ともつながりがあるのかもしれない。
ジャックとは、小テストのカンニングで遂に第一の友人としてつながる。それから二人は仲良くなっていく。友人ができるとは思っていないお母さんの狼狽ぶりがいい感じだ。
それでも、いじめっ子の棟梁的な相手とは最後まで相いれないままになっていく。ジャックとの決定的な決裂が、理科の自由研究で露呈してしまう。
結局人間的に成長しているオギーの周りに人が集まり、グループができるまでになっていく。その間にオギーの家にも、そして、姉にもいろいろとイベントが重なっていく。

最後は、オギーに褒賞が与えられるところでおしまいになるのだが、人間ドラマとして破たんすることもなく、全てに丸く収まるおおむね大団円で〆てくれた。
奇形を抱える子供を持つ親の気持ち、その本人に降りかかってくるいじめやいわれなき迫害、でも実際はその外観にとらわれない子供の純粋な気持ちが紡がれていく。
時折、オギーに関係していくものたちのドラマを抽出する形で物語を構成するやり方も、斬新、というよりは、その人たちの人となりもつかめて理解も深まった。
人間ドラマを撮らせたら、ハリウッドであっても面白いばっかりではない。例えばこの作品の場合、サマーキャンプ(つまりアメリカの世情で言えばその学年最後の一大行事)自体も、もちろんそこでの乱闘なども脇筋といえば脇筋である。時間稼ぎというか、埋め草というか…もう全員の関係性が明らかになっている時間帯でのこの映像は本当に要ったのか、どうか。せいぜい、友人が増えたレベルの話になるわけで、このあたりの構成に疑問符はつく。

だが、家族愛にあふれる作品であり、子どもは見えないものが見えているのだ、ということを知らされる。この作品の肝は、いじめられる子供の成長物語ではなく、家族とは、人とはどうあるべきかを大きく見せる作品だとみている。
なので得点は軽く90点はある。ジュリア・ロバーツのおばちゃんぶりには愕然としたが、やはりうまい。姉の存在、その親友、そしてオギーを取り巻くクラスメートたちの暖かさ。何度も何度も、という作品ではないが、心の片隅に残る快作となっていることは間違いない。
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