多趣味・マツキヨの落書き帳

2013年(平成25年/皇紀2673年)1月、タイトル含めて大幅刷新いたしました。 現在、ダイエー店舗訪問記録/映画鑑賞記/即席麺試食記/ラーメン店訪問記がメイン記事となっております。画像/引用/リンク等は、ご随意に。

映画鑑賞記録を振り返る(5) 複数回鑑賞記録から見る名作度

以前の私なら、「同じ映画を複数回観る」などということには決して至らない。それも、公開末期で、「しゃーなしに」見たような鑑賞記録ばかりだった。
ところがどうだ。2016.10.1の「君の名は。」で生涯はじめての複数回鑑賞をし始めてから以降、一切の箍が外れたかのようになってしまう。

それでは、2回鑑賞作品から順に見ていくことにする。
2回鑑賞 
2016-17 ノーゲーム・ノーライフゼロ/君の膵臓をたべたい(実写)/KUBO/この世界の片隅に(2016-17)/響け!ユーフォニアム 届けたいメロディー
2018 ガールズアンドパンツァー 最終章第一話 君の膵臓をたべたい(アニメ) ガールズアンドパンツァー 総集編
2019-2020 ハグッとプリキュア×二人はプリキュア オールスターズメモリーズ/劇場版シティーハンター 新宿PRIVATE EYES/ガールズアンドパンツァー 最終章第二話/劇場版FF14 光のお父さん/空の青さを知る人よ/グレイテスト・ショーマン(2017・2019)映画すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ/SHIROBAKO

3回鑑賞 言の葉の庭(2017-18)、かぞくへ(2018)、ペンギン・ハイウェイ(2018)、羊と鋼の森(2018)、きみと、波にのれたら(2019)

4回鑑賞 さよならの朝に約束の花束をかざろう(2018-2019)

5回以上鑑賞
・君の名は。(2016-2020) 48回
・天気の子(2019-2020) 33回
・若おかみは小学生!(2018-2019) 14回
・きみの声をとどけたい(2017-2019) 13回
・リズと青い鳥(2018) 5回
・ヴァイオレット・エヴァーガーデン外伝(2019-2020) 5回

複数回観た映画は、なんと、意外にも、洋画実写がわずか1タイトル、大半が邦画アニメーションに偏っている。かといって、まったく実写がないわけではなく、当方がベンチマークとまで言っている「羊と鋼の森」「光のお父さん」はしっかり複数回観ている。
さて、表題にした「名作度」ということで言うならば、5回以上見ている作品が名作、と評しても間違いないのではないか、とさえ思う。何となれば、これらの作品、衆目が一致する名作としても誉れ高いからである。
「リズと青い鳥」の、あのひりひりするような、多感な二人、「きみの声をとどけたい」の、高二のひと夏の想い出、「若おかみ」の醸し出した、職業ムービーとしての矜持、「ヴァイオレット」の手紙の威力、「君縄」「天気」は男女の恋模様。時間とリソースが限られている中でここまで入れ込んだ作品は、少なからず私にとってかけがえのない一本であることは間違いない。

問題は「一回しか見ていないのは駄作か」と問われてしまうことである。
「プロメア」や「ニンジャバットマン」あたりは、複数回観てこそだっただろうし、実写でも一回見て分かったつもりになってしまっている作品は結構あると思う。
しかし、それらを押しのけてでも複数回観てしまうのは、その作品の持つポテンシャルの高さをもう一度確認したかったからだと思っている。

映画鑑賞記録を掘り返すと、意外な発見があったりする。もう少しいろいろと感じたことを述べていきたいと思う。

映画鑑賞記録を振り返る(4) ハズレ映画を考える

私が映画評を書く際に必ず採点しているのだが、その基準はこのようになっている。
100点……文句なしの傑作。見なかったことを後悔するレベル
99−95点……激おすすめ。何度見てもいいくらいの秀作。
94−90点……まあおすすめ。減点ポイントがあるけれども見れなくはない。
89−85点……それほどでもなかったかな? 合わないわけではなかったけど微妙
84−80点……うーん。設定やらキャスティングやら、致命的なミスがある。
79点以下……ハズレ確定。見たことを後悔し「金返せ」レベル
採点回避……ドキュメンタリー的作品や初見で評が難しい作品

150タイトル以上みてきているのだが、この「ハズレ」に位置する作品は意外なほど少ない。
2018・19年のランキングで下位に居る作品ということで、18年ランキング5作品が、19年では6作品を上げたのだが、いずれ劣らぬハズレばかりだった(19年のランキングで「フロントランナー」だけは84点なのだが、一種ドキュメンタリー的な作品でもあり、あまり上位に組み込めなかったところが災いしたか)。
○企画そのものが当たりそうにない
ここ最近、往年の名曲を使って映画を撮るという手法がはやりになりつつある。延期になっている「糸」もそうだが、「雪の華」(19年)は、中島美嘉の曲がモチーフになっているとはいっても、実話でもなければ何でもない。難病で余命いくばくもないはずの女性と恋に落ちた男性の物語にしてあるのだが、そのありきたりなストーリーと、オーラスのドン引き感で台無しになってしまった。
○ミスキャストが台無しにする
「未来のミライ」(18)、「今夜、ロマンス劇場で」(18)は世の映像作家さんにとってもいい反面教師になるだろう。4歳児の声を声優経験の乏しい女優に任せる、綾瀬はるかとは釣り合わない格の俳優をアテンドする。無理があると思ってしまうキャスティングは、没入感を感じなくさせるばかりか、すべてがそんないい加減に作られているのか、という悪い評価にもつながりかねない。
○邦題変換詐欺に気を付けろ
「喜望峰の風にのせて」(19)は、原題がMercy。慈悲とか原罪という意味なのだが、よくもここまで改題してくれたものだ。風にのせて、というニュアンスから、主人公の艱難辛苦の末のハッピーエンドを想定したら、とんでもない航行記録のねつ造の果ての自死が描かれる鬱展開。予告からもその結末は感じられなかっただけに、がっかり度はダブルで襲ってくる。
○なんで撮った?
「ちいさな英雄」(18)、「さよならくちびる」(19)、「蚤とり侍」(18)あたりは、企画の段階で「こんなんお客入らへんで」と誰か止める人がいなかったのか、と言いたくなる。近年ぶっちぎりの最低点の「ちいさな英雄」は3本の短編の内評価できるのが一本だけという惨状。これがあの!ジブリの末裔のスタジオだというのだから、恐ろしすぎて震えが来る。19年は外れのアニメ映画はなかったのがよかったかもだが、実は「怪獣の子供」は実際の得点は72点で、映像表現に振った作品と判断してランキング外にしたという曰くがある。内容と映像の乖離が激しすぎた例として挙げておく。

映画鑑賞記録を振り返る(3) 邦画でベンチマーク的作品が現れるとは

私の映画鑑賞記録の中で、100点満点が付いた作品は3タイトルある。そのうちの2タイトルは、「あの」作品だろう、と思われたかもだが、「君の名は。」「天気の子」いずれも99点なのだ。意外なことにアニメーション映画はないのだ(以前なら「火垂るの墓」が125点→100点だったのだが、スクリーンで見ることが無くなったので現状のランキングにはそぐわないとみている)。
ではなになのか?一本は洋画の「THE GUILTY」。北欧映画らしいアンニュイな絵面なのに電話のやり取りだけですべてが進んでいく一級のサスペンスだった。では残りの2タイトルは? 邦画実写なのだ。

邦画の実写なんて、正直言って「観るだけ無駄」とさえ思っていた時期がある。実際、日本の興行成績だけをとってみても、邦画実写で100万人動員すらおぼつかない作品がごろごろしていたし、トップ10の大半は邦画アニメか洋画が独占。超大作というキャプションが付いても、ここ最近では「シン・ゴジラ」の82億がようやっとのような気がする(10年代の作品だと、コードブルーが90億台、海猿最終作が80億台。19年の邦画実写トップはキングダムの57億)。

そんな中で当方が見たこの2作品はどちらも負けず劣らずの名作といってはばからない。
ひとつは「羊と鋼の森」だ。ピアノの調律師が一人前になっていく過程を、ピアノ好きの姉妹との絡みとともに見せていくのだが、脇を固める役者たちの演技はなかなかに見ごたえがある。そしてこの作品の愁眉な点は「無言が織りなす芝居の重要性」である。
駆け出しの調律師が向かったのは、引きこもっている青年の家。一人ぼっちで暮らす彼は、招き入れるときも、自室から出ていくときも、そして調律が終わった後ピアノに触れるときも、その結果に満足した表情を浮かべた時も、一切しゃべらないのだ。だが、その音が、今までの彼の栄光や幸せだったころの家庭環境にまで昇華していくのだ。しゃべらなくても成立する芝居。これを見た時鳥肌が立った。
それだけではない。祖母役の吉行和子に、しゃべらせないという芝居まで要求したのだ。この選択には度肝を抜かれる。セリフが言えてナンボであるはずの女優さんが、立ち居振る舞いだけで感情を表現しないといけない。こんなことを言われたのって初めてだろうと思う。だが、それを見事にこなしたことによって印象がガラッと変わる。
もちろん減点箇所がないわけではない。だが、それらがかすんでしまう「無言の芝居」の破壊力。だから満点評価になったのだ。
そしてもう一作品は、「劇場版FF14 光のお父さん」である。
ゲーム派生でそこまでの作劇があるとは思っていなかった意外性の部分は否定できないかもだが、それでも、父と子の関係の再生、父が持っていた生への執着、忘れていた情熱の勃興、忘れていなかった約束など、様々な伏線や語れる要素にきっちりと落とし前をつけつつ、あのセリフで大の大人を泣かしにかかるずるさにしてやられたのだ。
前者が畳みかける攻撃とするなら、後者は、クリティカルヒット・一撃で私の評価レベルを振り切らせてくれたと思っている。

2作品のレビューは、当方のページで探してもらうとして、いまや評価の基準・ベンチマーク的な作品にこの2タイトルがなっていることは間違いないだろう。


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