多趣味・マツキヨの落書き帳

2013年(平成25年/皇紀2673年)1月、タイトル含めて大幅刷新いたしました。 現在、ダイエー店舗訪問記録/映画鑑賞記/即席麺試食記/ラーメン店訪問記がメイン記事となっております。画像/引用/リンク等は、ご随意に。

2017年04月

「想定の範囲内」(H氏談)ではない。

日本で大ヒットした映画がハリウッドを擁するアメリカで公開される。
映画人にとって、この一種凱旋的な公開に至れる作品は、日本でも作られる映画の何分の一でしかない(当然、アメリカで作られた映画すべてが日本に入ってくるわけでもないこともまた事実)。

日本で作られた、2Dアニメーション映画の北米公開は、当然本作が初めてではない。実は、日本アニメの最高興収を上げた作品は、「ポケモン」映画だった。(「君縄」興行スレより)

Rank  Title (click to view)  Studio theaters Lifetime Gross Date
1 Pokemon: The First Movie  WB  3043  $85,744,662   11/10/99 ☆ポケモン
2 Pokemon: The Movie 2000  WB  2752  $43,758,684   7/21/00 ☆
3 Yu-Gi-Oh! The Movie     WB  2411  $19,765,868   8/13/04 
4 The Secret World of Arrietty BV 1522   $19,202,743   2/17/12 ★ジブリ
5 Pokemon 3: The Movie    WB  2675  $17,052,128   4/6/01  ☆
6 Ponyo              BV  927   $15,090,399   8/14/09 ★
7 Spirited Away         BV   714  $10,055,859   9/20/02 ★
8 Digimon: The Movie      Fox 1825   $9,631,153    10/6/00
9 Dragon Ball Z: Resurrection 'F FUN 913  $8,008,363    8/4/15
10 The Wind Rises        BV  496   $5,209,580   2/21/14 ★
11 Howl's Moving Castle    BV  202   $4,711,096   6/10/05 ★
12 Dragon Ball Z: Battle of Gods  SV 692  $2,553,002   8/5/14

13 Your Name.          FUN  311  $2,421,860  4/7/17

14 Princess Mononoke      Mira 129  $2,375,308   10/29/99 ★
15 Pokemon 4Ever        Dim    $1,727,447   10/11/02 ☆
※この図表作成中のランク/興収を記載

ドル記載なのでピンとこないかもしれないが、8500万ドル、といえば、現在アメリカで公開中のパワーレンジャーあたり。ちなみに初動である初週(1999.11.12-14)の入れ込みは3100万ドルで並み居る強豪を押しのけて「全米一位」!!この記録は日本映画でも早々達成できる類のものではない。
もちろん見ていただくとわかるようにほぼ全米規模と言える3000館オーバーでの公開。ゲーム全盛期であり、当時のお子様は全世界的にポケモンブームだった。だが、潮を引くようにブームが終焉していることが、続編の推移を見るだけでわかるところが面白い(8500→4300→1700→172)。

話題を戻して「Your Name.」。日本で公開が終わっていてもおかしくない4月の北米公開は確実にアゲインストに働くと思っていた。それでなくても、本場アメリカでは話題作が目白押し。特に日本ではGWにえらいことになりそうな「ワイルドスピード アイスブレイク」の公開をこの週末に行いまさにロケットスタート。それに隠れるような、小品扱いのこの作品が稼げるわけがない、と誰もが思う。
ところが、である。
<表の見方は、通算公開日/現地日付/興収/上映館数/館平均/合計>
*1 4.07(金) $706,932 311 $2,273 $*,706,932
*2 4.08(土) $640,982 311 $2,061 $1,347,914
*3 4.09(日) $465,868 311 $1,498 $1,813,782
*4 4.10(月) $172,679 311 $*,555 $1,986,461
*5 4.11(火) $210,978 311 $*,678 $2,197,439
*6 4.12(水) $227,521 311 $*,732 $2,424,960
*7 4.13(木) $211,097 311 $*,679 $2,636,057
*8 4.14(金) $241,540 292 $*,827 $2,877,597
*9 4.15(土) $297,788 292 $1,020 $3,175,385
10 4.16(日) $194,394 292 $*,666 $3,369,779 (興行スレより転載/日付間違い修正)

何より注目は4/10〜4/12までの推移である。平日であるにもかかわらず、前日より伸びているということである(映画は初動に偏りやすいのだが、日本アニメオタクがこぞって鑑賞後、そこで得られた絶賛に、後追う形で一般層が追随を始めた証左。木曜に落ちているのは4/14から始まるイースター連休の前日だから)。

そして、公開10日を待たずして300万ドル(=3億円、と概算)を越えてきた。オープニング興収からして、400万ドルはありか、と思っていたが、その前段階と言える300万ドルを比較的早い段階で越えたのは正直大きい。規模や期間は下手すると4月いっぱいまでやっていなさそうな雰囲気を漂わせているのだが、むしろ、ほぼ最後になった北米公開と日本の公開がほぼ同時に終焉するとなると、この後の円盤発売ががぜん注目を集めそうである(年内の可能性が高まった)。

たった3億程度。日本の250億弱、中国の8300万ドル越えに比べると、しょぼすぎて話にならない。とは言え。そもそもアメリカでの公開そのものの計画があったはずがない。そしてすでに記事にもしたが、この映画のもつ普遍性が欧米人にも届いている。この功績は大きい。今まで所詮アメリカの日本アニメオタくらいしか知らなかった「Makoto Shinkai」の存在が世に知らされただけで、十分だと思う。
名刺代わりのアメリカ公開。批評家の絶賛ぶりとは少し趣の異なる興収なわけだが、大コケレベルで終わらなかったところはとりあえずよかったといえる。群雄割拠のアメリカにおいてここまでの善戦ぶりは当方の「想定の範囲外」である。

考察「君の名は。」(9) 「泣ける映画」にした意図

「全世界に贈る エンターテインメント超大作」と煽りまくった某スタジオ第一回作品は、予告からこの煽り文句が消え、短いバージョンにランクダウン。なんか、この推移を見ているとハズレ確定/少なくとも「煽られただけ」に終わりそうな予感がする。
→証拠映像ww

まあほかの作品をDISるのはここまで。
今まで幾多のアニメーション映画を見てきたが、本当にここまで見るたびに泣かされ、それどころか泣いている時間帯がどんどん長くなっていくという末期症状を、ここ最近の鑑賞回で発症するという事態になっている。
以前ならラストの吸い込まれるような青空を見て、心が落ち着いていたのだが、20回目あたりから様子がおかしい。21/22では涙がむしろ止まらないのだ。

当方は「この作品を見てなぜ泣けるか」については自身ですでに答えは出している。→考察(5) を参照のこと。 だから、どちらかというともう一度その内容で書こうと思わなかった。
だが…
彼らのことが気になるあまり、感情移入を飛び越し、スクリーンの中の彼らと同化してしまったかのような感覚。それが実現できる映画に出会ったことが一度もない、というところが気になったのである。

そもそもこの物語は、瀧と三葉のラブストーリーという体裁を取ってはいるが、実際には瀧がメインである。序盤の入れ替わりのところはともかく、「前前前世」以降、瀧の入った三葉(精神は瀧)→本人に着地(2016.10.3)以降、二人の内瀧しか出てきていない。
ここに瀧と我々観客(特に男性)の間の距離感がぐっと縮まる。三葉を想って手がかりとなるスケッチを描く/現地に向かう/そして驚愕の事実を知る…。実はこのあたりでもうすでに瀧の精神が我々の中にも入り込み始めている。
図書館での資料閲覧でもまだ三葉の死を受け入れられない瀧。災害が起こったことと三葉の死がリンクしない。認めたくない…私だって、初恋の人がつい最近まで逢えていたのに災害に巻き込まれて死亡したとしたら、同じ行動を取っていると断言できる。いくら3年前の出来事であっても、だ。

我々は、この瀧の健気さにすでに心を打たれる。そして、自分で解決しようと試みる。「あの場所なら…」。
そしてご神体には到着し、口噛み酒を飲み、望み通り2013.10.4の三葉にはいることに成功する。実は彼らはお互い抱きしめたりしていないが、「三葉だ! 生きてる」の次にとった行動は、泣きながら自分を抱きしめている姿である。精神と肉体は異なっていても、この行動で彼らがもはや分かちがたいまでの関係に至っているとわかるのだ。そしてここでも少し感動する。
父親の説得に失敗してからは、まさにこちらまでが不安になる。だが、自転車を借り、口噛み酒トリップ・上京編wを再度思い出しているシーンは、最後の組紐の受け渡しですべてがつながり、それが「名前を知らせると同時に思いの伝達である」と気が付くことでまたしても心を揺さぶられる。

ここから先は、もう説明の余地もないだろう。再会を果たしながら夕やみがあたりを支配する。いとしい人は忽然と姿を消す。「言おうと思ったんだ」…。なぜそれが言えなかったのか?それは、ただ単に彼が晩熟だから、というのではなく、あまりに時間が短すぎたからだ。名前を書かずに「すきだ」と書いたのも、名前よりも大事なものを伝えたかったから。こんな恋愛ストーリーを創出した新海氏は、俗に童貞臭漂うとやゆされることもあるのだが、彼の描く男性陣が恋愛下手だからこそ、真摯に向き合う姿が初々しく、そしてアツいのだ。

監督氏自身が、このシーンで観客を泣かせる方向にかじを切るという采配をしたことが、この映画大ヒットの要因とみる。伏線としてのカタワレ時。二人はその間だけのロマンスを再度演じながら、その短い時間で濃密な時を過ごす。そこに笑いを含ませたこと、ペンを落とすというこれ以上ない表現で実体の消えた三葉という喪失感を増幅させ、我々を不可逆の世界にもう一度もどす。彼の独白が、いかに彼が三葉を想っていたかを思わせ、だから、もう会えないかもしれない結末を想起し、そしてこの時点で、瀧になり切っている自分がいる。

そう。
いくら今までのアニメーション映画が秀逸だといっても、登場人物になり切る・演技することにまで至る作品は一本たりともない。今までの感動は、所詮他人事。『火垂るの墓』もあのきょうだいがかわいそう、という憐みの涙でしかない。
だが、この作品は違う。瀧の、三葉の気持ちがストレートに伝わるのだ。本人が憑依したかのようになるのだ。演じたくなるのだ。そして、そのことで彼と同じ境遇・感情に支配され、結果として画面上の彼・彼女が号泣するのと同じ行動を取ってしまうのである。
そうなった背景にあるのは、やはり主題歌の存在が大きい。歌詞の凄さを再認識するに至った次第である。

彼らの想いに触れた時…つまり私の場合は3回目の鑑賞時から、ということになるが…、素直に感動し、涙を禁じ得ない。出来得る事なら、初見の時点で大感動できていればよかった(プラス10縄くらいは行っていたかwww)のだが、気が付けただけでも満足である。解析・考察を続けたこともプラスに働いたことは間違いない。


2017.4.14 あと少しだけでいい 22縄目@TOHOなんば

TCXの興奮冷めやらぬ当方。
これが逆パターンだったら、と考えるが、そもそもハシゴしやすいようにスケジューリングなんかするはずがない。ちなみにもし梅田一番でなかったら伊丹が朝イチ。当該シネコンの最終日、最終回を押さえられているのでまた記録になったところだが、条件は梅田がダントツ。ていうか、辞める辞める詐欺を繰り返したシネコンには行きたいとは思わない。

本来ならヨドバシに立ち寄るべきだったが、劇場を出て御堂筋に向かう。夕方までの雄大な時間つぶし。あ、そうか、映画でも見てればよかったのか、と思い返したが、感動に浸ってしまっている状況で、そんなことに頭が回っていかない。

途中にある、期間限定の君縄カフェも写真に収める。
2階の店舗でやっているのだが、入り口には、係員がいて、いわゆる「冷やかしお断り」的な雰囲気を出していたので外観を押さえるにとどめた。金欠病で映画代は携帯払い=先送り にしているくらいなのに、いくらドリンクだけとはいってもそれを出してしまった後のことを考えると恐ろしい事態をも想起しないといけない。

なんだかんだでなんばが近づく。マクドナルドで小休止を挟むこと2回。16時過ぎに劇場至近にまで到着。とにかく時間が経つのが遅いことこの上ない。

それでもようやく18時。元々小品や、末期的な、さほど入れ込みの期待できない作品の墓場的な、別館の12番。勇躍入場し、ほぼ全員のステータスを書き留める。実鑑賞数は40名。半数はソロ、半数は二人組。同姓ペアが2組ずつ、あとはカップル/夫婦。ソロの比率は14:6で男性優位。よって男女比は、24:16=3:2となった。平均年齢は、やはり40代前半。

『これが最後になるかもしれない』との思いがふつふつとわいてくる。小さい箱ながら、意外に映像はクリア。見落としているところはないか、追いかけるように映像に見入る。
だが・・・カタワレ時まで保っていた感情の波がこの瞬間堰を切った。二人が"再会"するそんな奇跡。「もういいだろう」。我慢するな、と問われたかのような不思議な感覚。そう。感情に流されるままにそこからは嗚咽こそ洩らさなかったが号泣に近い状態に。
エンディング。もう止まらない。「離したりしないよ 二度と離しはしないよ」瀧が言っているわけでもないし、二人がこのまま結ばれることまで描いているわけではない。だが、彼にはそう言ってほしいし、今演じている自分なら間違いなくそう言える! だから、歌詞をそらんじながら号泣してしまうのだ。
ここまで泣かされると、スタッフロールの中ほどまで落ち着くのに時間がかかる。それでも、満足、というか、またしてもグジョグジョ、映画に打ちのめされながらでも見てよかった、と立ち直れる。

改めて、そして、声を大にしていいたい。
「私は、いや、日本国民は、とんでもない映画に巡り合ったのかもしれない」。



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