関越道のツアーバスの大事故から早くも1年である。

安くて便利な移動手段としての夜行バスは、事実、ブルートレインに代表される夜行列車を次々に駆逐してきた。ところが業界内部で、価格競争がドル箱路線などでも繰り広げられ、結果的に安全がなおざりにされた結果があの事故である。
この状況を打破するべく、国土交通省は、ツアーバス自体を「乗り合い」形式に変更させ、現在の高速バスとほぼ同等の施設/価格体系などを備えるように決定、今年の7/末で今までの「ツアーバス」業態の営業は終了することになった。

これまでツアーバスは、独自の進化を遂げたともいえ、又余りに急速な発展が、結果的に乗り合いバスの経営基盤をも危うくするようなことにまで繋がり、ほとんど違わないのに相手は激安価格、などという理不尽も通っていた。
例えば東京−大阪の場合、いわゆる「基準価格」であるJR系ドリームは「青春ドリーム」が5000円程度、「並のドリーム」が9000円弱、「プレミアム」が10000円程度である。これがWILLERだと、最安値座席であるバリューで3800円、3列シートだと7000円程度から、最上級の座席になるとJRの価格を大きく上回っている。

8月から、旧ツアーバスが今の乗り合い系に合わせるように値上げしてくるのは自明の理であり、価格だけがとりえであったツアーバスは、翼を取られた格好である。
実は、5月中旬に、ツアーバス最後の乗車をする予定になっている。ここまで安く移動できることはこれで最後なのか、と思うと、正直残念でならない。