まあ、正直、テレビ番組など、見るものが少なくなってきている。
実は先週の土曜日の「IPPONグランプリ」は録画して放置のまま。まあそのうち感想も書くことにしたいのだが、バラエティはどうにもかくところが薄いようにも思う。

2時間ドラマも結局、脚本と謎解きがメインになってしまい、そこがこけるともうおもしろくなくなってしまう。出演する配役も重要な要素であり、そこから導き出されるのは、「シリーズものでないと基準が分からず、よかったのかどうかの判断がしづらい」という点だ。
今回は、2時間ドラマとは言うものの、時代劇であり、フジの持つキラーコンテンツともいえる「鬼平犯科帳」のSP。謎解きなど一切なく、はじめから終わりまで何の気負いもなく見ているだけで事件解決に結びついていくという、平板な仕立てのなかに、過去と現在を織り交ぜてあるところが人間ドラマになっており、考えさせられる一面もあった。
ストーリーは、火盗が張り込みに選んだ場所が元・盗賊の頭のやっているお店。しかもそこには今までの「お勤め」でせしめた隠し金が。それをかぎつけた昔の仲間が素浪人として暗躍を始めるところから話は、押し込み・殺戮を否定しない悪党と、そういう人殺しまでやってのける悪を懲らしめたい元盗賊、元盗賊の隠し金ほしさに押し込みをはかろうとする浪人たちの奇妙な関係が発生し、これをどう捌くかが焦点になる。
実は、このストーリーを聞いていて、「元盗賊もやらかすのでは」と思われる節が見え隠れしていた。何しろ番頭役は最近悪党面も似合い始めている本田博太郎。結局何事もこの元盗賊がらみで盗みは発生せず、キャスティングにしてやられた格好である。しかも途中からは「善側」でかかれる部分もあり(密偵を助ける/押し込みを垂れ込む)、最後には平蔵から「金さえ出せば無罪放免」とまで言われてしまう。ラストシーンの元盗賊と番頭の掛け合いも笑いを誘った。

贖罪をし続けた、現役盗賊の最期は、自分が手にかけた手代の形見を背負って刺し殺されている。ここに諸行無常を感じずにはいられない。また、同じく平蔵配下の、密偵になっている元盗賊の、「紙一重だ」の言葉には感情がこもっていて、死と隣り合わせの任務のつらさを想起した。
贖罪に至った経緯は、正直突込みどころなのだが、もう見ているわれわれにしてみれば、それを知るに至ったことなどどうでもよくなってしまっている。そこはうまく処理されたと感じてしまった。

無茶な設定や強引な結末がなくて済む、時代劇の2時間SPは、本当に安定してみていられる。いまやテレビの時代劇自体が絶滅の一歩手前まで来てしまっているのが残念で仕方ない。もう新たな時代劇ヒーローは現れないのだろうか・・・