ここ最近の朝の連ドラとしては、20%の視聴率を割り込まなかった、という点でも、すごいことが証明されている「ごちそうさん」。
当方の中では、悠太郎は帰ってくるものと言う確定フラグが立っているだけに(そうでなかったら、ストーリーは完結しない)、どういうシチュエーションに持ってくるのかが焦点になった。

結論から言うと、ありきたりながら、基本に忠実な帰還が描かれ、それを一種あざ笑うかのように子豚が彩るという、当世風の再開劇となっている。
このシーン、め以子は夢うつつかのような表情を浮かべ、本人かどうかの確認すらうまくできていないように描かれている。逃げ回る子豚を追いかける悠太郎がスローモーションで映し出される。まさに思い描いていたのとは違うけれども、確実に愛する人は帰ってきたのだ、とする演出。もちろん、涙涙の抱擁のあとに「子豚は?」でおとぼける始末。ほろっとさせながらも落ちをつけているあたりは面白かった。

さあ、そうなると、直近3作の最終回を比べないわけには行かない。
ごぞんじ「あまちゃん」では、北三陸鉄道の再開がメインに描かれ、祝賀ムード一色。泣ける要素は皆無であり、まさに一人の少女が夢見た芸能界と現実の東北とがラップした作品であった。
そして前々作の「純と愛」では、これで最終回って、なんか消化不良だな、と言う鬱な展開が用意されていた。ハッピーエンドにするべき朝ドラが、こういうドォーーーンと落ち込むような結末、そして主人公の長台詞・・・。いろいろな意味で朝ドラの形式を破壊したといっても過言ではない。

最終回を一文字で表すとしたときに、前々作が「鬱」、前作が「喜」とするなら、今回の「ごちそうさん」は「安」としたい。心情を表すとするなら、「ほっとした」と言うところである。安心、安堵の「安」である。まあ確かにいろいろあったけれども、あの夫婦がまた再会できたというところに値打ちがあるといってもいい。
そしてその「あん」は『杏』とも書き換えられる。以前にも書いたように、ほとんど著名な役者が出ていなくても、しっかりとした脚本があれば、そして主人公を際立たせる舞台づくりができていれば、十分視聴者にも耐えられる作品ができることを図らずも証明した形になった。
それほど突っ込みを入れることなく済んでしまったところは残念だが、オーソドックスなドラマにしたことで、やや慌しく、現代的な要素が過剰だったといってもいい「あまちゃん」よりは広く受け入れられたことは間違いない。

大阪製作的には前作「純と愛」でオオコケしてしまっているだけに、今回の大逆転といってもいい視聴率には、胸をなでおろしているであろうことは想像に難くない。とはいえ、ヒット作の次こそ、本当の力量が試されるところ。秋スタートの次回作はどうなるのか、興味津々である。