久しぶりの映画館での鑑賞。しかも日本映画などとは無縁といってもいい小生が久しぶりにスクリーンと対峙する。感慨深いものがあったのは間違いない。そもそも、映画はテレビで「地上波初登場」なんていわれてほぼ1年程度寝かして置けば放送されてしまう。CMがウザイと言う点はあるものの、タダで雰囲気だけでも読み取れるのだから、あえてお金と時間を出してまで座ろうという気にならなかったのは事実である。
ところが、この作品は確かに有料のCSなどでは流されることはあっても、地上波となるとかなり厳しい。つまり、劇場でみるしか選択肢はない作品といってもいいのである。

特殊なところは、上映時間や料金にも現れている。63分で1200円。それなりにお金もかかっているはずなのに、大幅ダンピング。まあ確実に「円盤を売りたい」作品であり、その露払い的に劇場で公開している風にも受け取れる。とにかく試験要素もある、恐るべき作品である。

劇場内は、ぽつぽつしか観客はいない。しかしながら、その平均年齢は、30台をゆうに超えている。そして当然のことながら、男ばかり。まあこれほどむさくるしい場内もないものである。アベックと思しき男女もいるにはいたが、逆に男の子要素満載のこの映画をどうしてチョイスしたのか、聞いてみたいところである。

では実際の映画評に入っていく。原案・ヘッドギアで「ああ、ゆうき氏ってどっか行ったのか」と思ってしまったが、製作者集団のことであり、ゆうき氏もチャンと含まれている。とにもかくにも、80年代の原作/現代にも通用するギミックの数々・・・。今回は、大きく動かなかったまでも、きっちりと車載車に乗せられたり、公道を走ったりするシーンがものすごく印象的であった。

初代のチームから20年余りたった現代を俯瞰するべく、シバシゲオの語りが大半を占めるepisode0。実はここで「俳優・千葉繁」の面目躍如たる姿が大写しになる。「そう!これが見たかった!!」小生にしてみれば、これこそ、1200円払ってみる価値があったといってもいい。あの長台詞、そこいら編の声優では実現不可能だろう。
露払い的なepisode0を抜けて、実際の第一章に突入。泉野明、の名前を見て「あれ?初代と同じ人?」と思ったが、よくよく見ると「泉野 明」・・・紛らわしい、と言うより、狙ってつけた役名であることは明らか。そのほかの隊員も「3代目」にふさわしい、くずっぷり。ロシアからの帰国子女が脈絡無くしゃべりだすロシア語にどぎまぎしてしまうなど、キャラは結構全員立っている。

コミック張りの演出もさることながら、「似通った事象を2回畳み掛け、3回目で本物出現」と言う定番演出も、押井氏にかかると本当に面白く思えてしまうから不思議である。特にふんわり系といってもいい所長役の筧 俊夫氏がいい押さえキャラになっている。

劇場を出た小生。エンディングの主役嬢のさわやかな歌声とともに送り出されたわけだが、ニヤニヤしてしまっていた。押井マジックにかかった、と言うか、監督の表現力に惚れ惚れとさせられてしまった。と言うわけで次項に譲りたいと思う。