気が付けば、FSS(フードスタイルストア)がらみの記事は5枚目にもなる(考察としては4枚目)。
だが、ウォッチャーであり「中の人」のここまでの焦燥感が、記事を書かせているという風にご理解いただければ、ことはすんなり腑に落ちるところである。

※「店舗訪問」とはかけ離れていることなどから、新カテゴリー「ダイエー研究」を創設いたしました。

もちろん中の人であるから、いろいろな指標めいた数字も入手できる。今回はそこから赤羽店(0754)は、本当に業界紙にかかれているように『好調』なのか、また社内的地位にしてみても、本当に好調、少なくとも上位に類する売り上げを上げているのか、を解析してみたい。
<筆者注:曲りなりでも当方は「中の人」。詳しい数値までは披瀝しないのは言うまでもなく、すべての営業成績を入手できるほどの立場にもない。公開できる程度の数字が根拠になっているが、当方の企業研究の結果であり、「一つの見解」を脱しないレベルの内容であることも申し添えておく>

ではオープンから6月末までの赤羽店の売り上げに関して。昨年よりは1.5倍ほど、計画(予算)よりは10%ほどの上積みをした模様である。
「あ、やっぱり好調じゃん」という声も聞こえそうだが、ここで重要なのは、「6/20−6/30の11日間」という、長めの数値であり、土日を2回含んでいるという、大甘の期間設定。確かに6/20(再開初日)や21日(二日目)はかなり売れたはずだし、2週目の土日にもチラシ攻勢を強めていただろうから、売れていて当然だろうが、売れなかった日がそうした日の実績を食ってしまっている可能性は否定できない。リニューアルから一か月たった7/17(金)の売り上げのしょぼさ(売れているなら、惣菜にせよ、生鮮にせよ、棚はガラガラのはず)から言っても、開店景気が長続きしていないとする当方の見方は依然として変わらない。

そして注目すべきは、衣料品が前年を下回っているということ(予算は達成)。まあ、品ぞろえは悪くなり、単価も下がった挙句に「フードスタイルストア」なのに衣料品もあるの?と思っていた新規顧客の目に留まらなかった影響がこんなところに現れている。
普通、来客が多ければついで買いを誘発するのが今までの新規店舗での購買行動でもある。だが、3階まで足を運んだ顧客が少なかった/購入に結びつかなかったところは大きな課題でもある。そもそも「おなじみさん」であれば、3階に何があるのかは知っている。しかし、2階まで上がってそこで足が止まってしまった顧客が多かったことが影響しているとするならば、FSSなのに多層階に展開することは買い回りの面で見ても難しい、ということが言える。

そう考えると、三宮駅前店(0622)が次の出店地だということなのだが、どうも増員のすごさや、1F/B1F/B2Fの何れもで仮囲いがかなりの区画でもうけられていることなどから(7/25現在)、食料品で3フロア/1Fはコンビニ対抗的な配置にするつもりなのか? もの面積を費やそうとしているように見受けられる。
駅前立地で、イオンの軍門に下らないことになった三宮であり(正確には、イオンリテールに行かないということであり、赤羽同様、イオン系であることのアピールはすることはほぼ確定)、旗艦店の一つ/創業の地での一大改革でもあるが、ここまでの大幅改装をするからには「勝算」がないことには難しい。
だが…「戦争」の勃発地での、思いのほかな実績がそろそろ上層部の耳に届くのは時間の問題。結果、三宮に負荷がかかる結果になりそうな予感がプンプンする。大規模小売店舗マニア氏ではないが、改装なった三宮駅前店は、それこそバシバシと撮りまくりたくはなっているのだが、どんな感じになるのか…「さすが関西地本!!」と言える店舗が、今や関東の目線で作られることに不安を隠しきれない。