ひとつの作品に関して、どこまでも追及する姿勢。
「ほかのことに役立てろよ」という声もいくつか聞こえてきそうだが、すでに私の気性は、言い当てられてしまっているwwだから、誰もが気にならない/気にしない点についても気になってしまうのである。

その"アイテム"とは、「風鈴」である。

試しに「君の名は。 風鈴」でググってみると、ほとんど個人ブログにはヒットしない。トップに出てくるのはタイトルに「風鈴」が入っているブログのタイトルであり、その人の君縄評がかかれている。
つまり、物語の中に描かれている風鈴と、時々に鳴るその音色に関して書いていこうという"猛者"はどこにもいないということがこれで分かる。その無謀な挑戦をしよう、というのである。

さて、この風鈴。どこから登場するのか…そう。第一幕の2013.10.4のテッシーの電話を受けるときに初めて登場するのである。そして、その次に出てきたのは、口噛み酒トリップのさなか、隕石落下を目前に、浴衣に着替えている三葉の姿を確認しているときに瀧の叫び声が風鈴を鳴らしたことになっている。ここは実は小説にも記述がある(p.151)。その次は、避難計画の要でもある、町長説得に失敗した三葉のもとに集まる一同を尻目に、どうするかを思案している三葉に、そよと風が吹き、その時に風鈴がチロンと鳴る。「フラッシュバック」のように映し出されるご神体。「そこに・・・・・・いるのか?」(p.178)とつぶやき、ご神体に向かうのである。
そして、いよいよ二人が出会うその直前。すれ違った瞬間に、組紐のビジュアルに風鈴の音色が重なる。小説では195ページ付近の記述だが、ここでは、そのいずれも表現されていない。
その次は何と2021年の冬。瀧の就活の時期にまで進めないとだめなのだ。新宿の歩道橋の上で、組紐を結わえたと思しき女性とすれ違った時(小雪舞う状況で、女性は傘を差していた)・・・。お互いがだれかを視認することもなく、「探しているだれかではないか」と確認することもなくただすれ違っていくシーン・・・。今までの新海節なら、この瞬間で終わり、お互いを見つけられないままでエンディングを迎えていてもおかしくなかった。

<仮説>
この風鈴は、二人の心が鳴らした響きであり、それは結婚式場で鳴らすチャペルの鐘のようなものとも受け取れる。お互いの思いが昇華した結果の効果音であり、それを日本の伝統的な工芸品に乗せているところに秀逸さを感じる。

2013.10.4の時点からしか鳴っていない…ここに注目した。前日、とうとう瀧に逢いに三葉は東京に行ってしまう。そして、「知らない」といわれながら、思いは伝えられたと感じつつも、消化不良のまま翌日を迎える。そして、その心根を知ってか知らずか、風鈴がチロンと鳴るのである。そして、それはまさに口噛み酒トリップで見せた、瀧の思いそのままでもあった。つまり、第一の風鈴は「警告」の意味合いもあったということだ。
そしてご神体に向かう直前の音色は「存在を知らせる」二人を引き付ける役割。すれ違った時になる音色は、まさに「二人で鳴らした」想いの響きと考えると、かなり理解が進む。
ちなみに代々木駅で、後ろ髪を結わえた女性を瀧が認めて、下車してしまうシーンでは、風鈴の音はならなかった。つまり、これは別人を間違って視認したと考えて間違いない。

効果音としての風鈴以外にも、実はいろいろと「隠れたキャラクター」が存在している。→それがトンビ。当方の視点とは異なるし、すでに書かれているネタなのでこれを上げておく。ちなみにこのブログの視点もなかなかに秀逸なので、一度は読んでおいても損はない。

とはいうものの、この音を解析すること自体は、情報も少なく、必然性も感じにくいので、「どうして」と考えてしまうのは当然である。唐突過ぎるところは否定もしない(特に第一幕のあの日に突然登場するあたり)。
だが・・・入れ替わりだけで済んでいた前半30分はホンの「ネタ振り」。この作品の肝は、この入れ替わりでお互いのことが気になるだけで飽き足らず、恋に落ちていく(という具体的な例示をしていないが)ところから始まるのだ。そしてそれが顕著に言い表されているのがこの風鈴の音色と考えれば、10月4日からしか鳴っていないところを考えても納得のいくところでもある。

解析結果<独自研究>:
風鈴の音色は、ただ単に鳴らした、とは考えにくい。お互いの感情の高まり/二人のつながりを意図・象徴するものと考えないと、納得のいかない効果音ともいえる。そして、10月に入るまで鳴っていないことからも、二人が恋に落ちている状況が風鈴を鳴らしていると考えるのが一番納得がいく。