公開終了広告でパニックする人続出か、と思いきや、スレ住民は意外にも冷静な受け止め。それでなくても、実際の劇場で本当に終了するところはごくわずか。TOHO系はほとんどが存置(時間帯/箱の中身はともかく)で、むしろ公式サイト/シアターリストの異様ぶりだけが目立つ結果になっている。

春休み=ラストシーンともかぶるわけだが、監督自身が「よもや春まで上映しているとは」と思っているに違いない。正直、この作品は、2016年の時間軸同様、秋→瀧が就職活動する冬(2021年)→二人が再会する春(2022年と思われる)までが描かれている。春に上映終了となる可能性はかなり高いのだが、それはまさに映画のラストシーンとも重なる。こんな奇跡がほかの映画であっただろうか…

能書きはいい。もはや「権利なんかじゃない 義務だと思う」鑑賞記録。19回目の今回は、一度行ってみたかった109シネマズ。それもなかなかのビッグ箱を提供しているというので、俄然行く気になったというわけだ。
その最大の理由は、18縄目にある。それまでは「ランキング入り祈願」という理由もあって小箱であっても時間帯さえ合えばそこにターゲットを合わせるやり方をしていた。しかし、伊丹で300オーバーのスクリーンで見ると、その大画面に心を奪われるのだ。
つまり、大箱なら、スクリーンも大型。同じ金額出してみるならやっぱり大画面でしょ、ということなのだ。ちなみに大箱体験は、ほとんどしていない。梅田の一番で見ておくべきだったか、と思ったりもするが、今からでは土台無理な話である。
そして、当方は今回は「ソロ」ではなく、「カップル」に区分されることになる。この期に及んで初縄な30代女性を引き連れての鑑賞。公開末期のショボい観客動向を見せたくはなかったが、いままで未鑑賞できた方にも責任の一端はある。
さて、毎度の観客動向だが、「ついに時は来た」と言いたくなる、完全なる公開末期の入れ込み。400席オーバーな箱で、一割いるかいないか。家族連れが4組/15名ほど、夫婦/カップル5-6組。同姓ペアが2組、後はソロという、完全にカウントできる状態。だが、そのソロの中になんと、10代の少女(小学生と思われる)を発見!!驚愕したのと同時に、そこまで彼女を思い至らせたものは何だったのか、を問うておけばよかった、と反省。
多分、いい時間帯だから、半分位は呼べるんじゃね、というシネコンの皮算用がみてとれる。だが私のように、ジプシーよろしく、「いい時間帯でやっている場所に行こう」という、アグレッシブな人は例外扱いのはずで、「地元シネコンに行ったら、変な時間帯で見たくなくなった」という層も散見されると思われる。プログラマー値で3000行くか行かないか、レベルにまで日曜日が落ち込んだのは、そういう理由もあると思われる。

しかし、考えてみれば、嘘であれ真であれ、3/末の公開終了は、一種の既定路線。どんな映画にも公開末期というものは訪れるわけで、ようやくこの映画にもその時期になったというのが実際だろうと思う。
そのくせ、いつ、何度見ても、同じところで感情を抑えきれなくなる。本当に自分一人だけになって周りをはばからずに嗚咽を漏らしながら号泣してみたいと思っていたりする。

さて、初見の彼女。質問攻めを覚悟していたが、やはり、当方が一回目に遭遇した、「材料が多すぎて消化しきれていない」ことがありありとわかる感想を述べるにとどまった。それよりも、当方が最も驚いたのが「彼女が声優オタ」であったという点。おいおいだったら、もっと早くに見ておけよ、と言いたくもなったが、彼女にとって昨年8月後半から今までは激動の時間帯であり、ようやく落ち着いて、映画でも見ようか、という心境につながったとみている。最後の当方のプッシュがなかったら「テレビ待ち」だったと吐露していることから、少なくともアニメーションに造詣が深くても「合わない」と感じて鑑賞しなかったのか、と思わざるを得ない。

彼らが再会するべき春に別れがやってくる。その現実に押しつぶされそうになりながら、それでも「一人動員を増やせた」安堵感と「間に合った」感がないまぜになって、帰路は本当に充実したものになった。