本当は、2017.8.16に回っている店舗訪問の記事が山積みなのだが、こちらを先に仕上げて、確実に完了させたいと思う。

私のアニメーション映画鑑賞は、10代後半に、自身のお金で行くようになってから、で計算しても、30タイトルはくだらない。「うる星やつら」全タイトル/銀河鉄道999全タイトル/ジブリ系はラピュタから千と千尋まで(ナウシカは、リバイバルでスクリーンでも見た。千と千尋以降は全く触らず)、単発もの・ディズニー系も幅広く抑えてきたつもりである。
しかし、いずれも一度見てそれっきり。いや、映画なんて何度も見るもんじゃない、とまで自身で規定していたかのようである。
ところが、全ての概念/掟/感情を打ち砕く作品が現れた。それが「君の名は。」だった。
2016.10.1の初見でその世界観に引き込まれ、疑問を解決すべく、生涯初めて複数回鑑賞。だが、それでも疑問は、解き明かしたい謎は深まるばかり。2017年に入り、ようやく「そうだったのか」が少しずつ明らかになり、三葉の処遇や根幹部分をえぐりだせたのは3月に入ったころ。2月は毎週のごとく劇場に向かい見ていたのが記録に残っている。

大規模公開が終わり、円盤発売までの端境期に上映していたシネピピアの存在で、君縄ロスを発症せずに済み、7月は他のタイトルも含めて10回スクリーンに対峙する記録も打ち立てる。
そして迎えた8月。
塚口サンサン劇場の一週間限定上映は、僥倖以外の何物でもなかった。そして何といっても、これが終わると、「劇場」と名のつくところで見ることは国内ではほぼ不可能となる(8/25まで延長しているところこそあるが、それで完全終了)。

大規模公開当時の関西最終といえる、T・ジョイ京都の最終回には参加しなかった。終電に近いこと/経費もばかにならないことが足を遠のかせたわけだが、今回は逆に「最終回に行ってこそ、完全に〆られる」との思いの方が強かった。

かくして最終回に臨む。劇場・塚口には早くも4時半には到着。さっそくラスト回を買い求め、その時点で42人(私が43番目)買っていることを確認。雄大な時間つぶしも、「そこにダイエーがある」おかげでそれほど困らず時間を使える。
7時過ぎに劇場待合室に。実は、ここは、いわゆる「ロビー」というものが存在しない。チケット販売場所の隣がいきなりもぎり場/コンセッション発売場所であり、実にせまっくるしい。待合は地下に別であり、そこで少しだけ座って時間つぶし。
7:30には、劇場前(歩道)に。販売状況は遠目からでも確認できるので実にありがたい。同時期に上映のもう一本は「鋼鉄ジーグ」だったりするが、これも意外に買っている(20人弱程度だが)。7:50頃にちょっと覗くと86名という表示。それからでも次々買われていったので当方試算は100人弱とする。

観客の中身は「ものの見事に」おっさんだらけ。当方はいつものように上着/ネクタイ着用の正装で臨むわけだが、会社帰りと思しき軽装のサラリーマン風の人も多い。とはいえ、何度も書いているが、全世代に訴求し、激しいリピーターを生んだからこその1900万人超/250億円だったのだ。もちろん、初見と思しき人はおらず、最低でも数回はスクリーンに対峙した人がほとんどではなかろうか。
夫婦/カップルも散見。金曜日のラスト回で安く見られるところもあるのだろう。20代前半の、いわゆる本来の主観客層の人もいるにはいたが、比率は低め。平均年齢は40歳前後、男女比は2:1で男性優位とする。

「私は、いや、日本国民は、とんでもない映画に巡り合ったのかもしれない」。

この感想を言い続けて8カ月。結果的に邦画2位という記録を打ちたてたわけだが、遠征組も何人か認められる中で、この作品のもっているポテンシャルの高さは、今までのどんな映画をも凌駕するものを持っている。それは何か…作劇的には大団円であること、演出的にはベタでありつつも感動できたこと、劇伴の能力の高さ/歌詞のもつ凄み、演者の鬼気迫る演技…ほぼすべてが高い位置でシンクロし、響き合う・・・「よりあつまって形を作り、捻れて絡まって、時には戻って途切れ、又繋がり…」まるで組紐のごとく、作品が出来上がっていることに気づかされ、又感動するのである。
伏線だらけだったわけだがすべてが回収されている。特に「夢灯籠」からの「なんでもないや」につながる、恐ろしいまでの歌詞による伏線効果。これに気が付き、大感動できる素地が出来上がってしまった。もう、ここまでの作品は、簡単に作られないだろう。

比較的、感情の発露の少なめだったラスト回。「拍手はありやなしや」と思いきや、パチ…パチで尻すぼみ。苦笑しながら帰路を急ぐことにした。