分刻みでどれだけの視聴者が画面にくぎ付けになっているか、を調べる指標としての「視聴質」という用語は、今回この記事で初めて知った。
→すでに4タイトル記事にしています。元記事はこちらを参照ください

これでわかることは、
・やはり10代の支持や受け方が絶妙なところがヒットの最大要因の一つであるとはっきりした
・見れば見るほど味わい深くなる作品であることに気がついた人たちのリピーター度が半端なかったこと
・高年齢層にも十分に訴求する内容であり、特に男性に向けたメッセージともとれる作風が後押し
・無駄がほぼなく、106分を一気に駆け抜けた爽快感が読了感に満たされていくこと
・CMとのコラボや、敢えてそれらしいものを投入することがむしろプラスになりえること
・女性にもっと共感できる作品だったら、千と千尋越えは確実だったこと

なぜこれほどの作品が「千と千尋」を越えられなかったのか、と考えた時に、どうしても当方が男性であるがゆえに、女性からの視点というものに気が付かないでいた。だが、エモーショナルにとらえていたのは男性が中心であり、10歳以下の子どもや女性にはいまいち響かなかったのではないか、と今回の記事は示している。
この記事の数値を使って少しだけ観客動員を加工してみる。1900万人のうちの男女比を視聴質比2.36:1.72がほぼ正しいとみると、男性は約1100万、女性が800万人となる。そして私の観客動員記録も意外なところで役に立つ。女性優位な回は意外に少なく、男性女性比なら2:1だったりしたことが多い。
ここがもし男女ほぼ同数で見ていたとするなら…2200万人。千と千尋にあと一歩だったし、それは、急激なフェードアウトによる鑑賞機会損失や年末年始の箱割失敗によるところが大きいともみている。

映画はどこまで行っても、エンターテインメントからは抜け出せない。いくらそこに感情が織り込まれ、涙腺を崩壊させたとしても、所詮は画面の向こう側の出来事である。
しかし、それに倍するスクリーンに向かわせる原動力を「君の名は。」は持っていた。だからこその1900万人越えであり、250億円越えなのだ。
実際、複数回観させられた映画に出会ったことがない、という人ですら、「そういう気持ちに憑りつかれた」からこそ、何度も座り、何度もクスッとさせられ、何度も泣き、何度も成りきり、何度も歌ってしまうのである。二桁などいわば当たり前。3桁鑑賞こそ、この映画を骨の髄まで楽しむ証といえなくもない。

地上波で満足した人も多いだろうが、逆に、この作品をスクリーンで見ていない=地上波放送が初見 だとしたら、それはものすごく損をしていることに違いない。かくいう私ですら、「よく踊らされたわ」と感じ、それまでの15年余り、無関心でいたアニメーション映画に振り向かせてくれただけで、この作品には頭が上がらない。

2018年も、この作品の記事で大半を占めるようになってしまっては、ほかの作品にも申し訳がない。今回の地上波視聴質解析は、この作品のバックボーンに触れた感じがして、本当によかった。