ゴールデンウィークという用語って、誰が発明したか?
実は、映画業界なのだ。
Wikipediaに詳しい。

今でこそ、ほおっておいても、この時期に大作が次々リリースされて、集客の必要もないわけだが、映画全盛期であったこの時代でもキャッチフレーズを作ってやらないといけなかった時期でもあるということだろうか。
当時は、飛び石連休状態であり、尚且つ週休二日が一般的ではなかった。まあ、メーデーは今よりはきっちり活動できていた、組合全盛期でもあり、特に工員を中心にかなり休めたのではないか、とも思う。

完全に劇場に客足が戻っている。そう実感できるのは、コケて同然の映画にも観客が押し寄せていることに見ることができる。そして、記録を作ろうとしている「コナン」の最新作も依然堅調に推移している。そう言った中で当方が切望していた映画が、「レディ・プレイヤー1」である。
スピルバーグ監督、という位置づけなら、前作「ペンタゴンペーパーズ」もそうなのだが(意外といえば意外)、この手のSFX主導型の作品を作らせたら右に出るものはない。それでなくても、ほぼ全編CGでやった方がいいんじゃないか、と思うほどの特撮ぶりなので、期待はしていた。

今回初めて3D効果上映を堪能する。この手の作品は、プラス料金を払ってでもその効果を堪能する方が理に適っている。情報量が多いので当初から吹替えでの鑑賞を予定していたのだが、うまい時間帯にそれがあった。場所は大阪ステイションシネマ。松竹系列ながらコナンもたっぷりやっている。劇場には17時15分ごろに到着。掃き出されてくる観客の多さに度肝を抜かれる。
かくして入場案内。一番乗りを果たし、観客動向をチェックする。なんといってもカップルの多さが飛びぬけている。6割近くが男女。ペア客もいるにはいたが、比率は少なめ。家族・グループも4組ほど確認できた。前より3列に空席が目立つ程度の8割強の埋まり。平均年齢は20代後半、男女比は、やや男性優位と見る。

オープニングからいきなりのヴァン・ヘイレン。この曲が世界観を言い表していると思っていたので、中盤や盛り上がりで出てくるのかと思っていたからなんのことはない。しかし、いい意味でのつかみはOK。周りはVRに躍起になっているのにアナログ式な降下をする主人公の対比は面白い。
知る人ぞ知るゲーマーだった主人公。もちろんネットの中だけの友人もいる。そこにさっそく金田バイクで参戦する美人なアバター。彼女との出会いはこのゲーマーの運命を変えていく。
イースターエッグ…創始者の遺志を受け継げる宝物のありかを探す冒険譚が幕を開ける。だが、そもそも難易度が高く、創始者のことを信奉する主人公…ウェイドにしか解けないパズルのようなものだった。
彼の昔語りからヒントを得たウェイドは第一の関門を突破。仲間たちもそれに続く。そこから共闘体制が紡がれていくが、それを面白く思っていない”大人”たちが存在する。今回の悪役的立ち回りの人物の登場である。さらに彼は殺し屋にもオファーを掛ける。ゲーム内で、リアル世界で、掃討作戦が繰り広げられる。
様々な苦難を乗り越え第二の鍵もゲット。それでも、第3の鍵には早くにアプローチできていた悪役一味。だが、結果的に正解は見いだせないまま。そこも、創始者の生き字引たる主人公にかかれば「クリアが条件ではない」と見抜かれる始末。大団円が目の前にありながら、主人公はそのオファーを蹴る。しかし、それこそが最終関門だった。サインしないのが正解だったのだ。

とにかくよくできている。息を突かせぬ冒頭のカーチェイスシーンは、リアルでは再現不可能。浮遊状態のクラブでのダンスシーン、「シャイニング」でのシーンの再現、もちろん、最終決戦も何もかも、である。ビジュアルだけでなく、リアルの人間の”プレイ”もストーリーが骨太だから、芸の下手さや稚拙さを補って余りある。正直、俳優の演技はぶっちゃけどうでもいい(特に、IOIの債権回収の女役員のポンコツぶりとかwww)。この作品は、難しいこと抜きにして、頭を空っぽにしてみるべき娯楽大作だということなのだ。

とはいえ当方は95点とやや控えめである。
「これが10年前にやれていたら100点満点なんだけどなぁ…」。今の技術の粋を集めたのはわかるのだが、一歩先行く技術の発見などはほぼなく、せいぜいVRの表現などをスピード感を併せ持たせて表現しているだけ。人海戦術で描けるからこそ、スタッフロールはめちゃくちゃ長く感じた(CG絡みのところ。4列表記/アルファベット順で、恐らく400人以上)。
今のVFXを見慣れている層には、あるいは、PS4でゲーム三昧なオタクたちにしてみれば、この程度の映像表現は当たり前。それが大スクリーンで見られるところくらいしかプライオリティがないともいえる。日本のキャラクターたちがカメオ出演しまくり、挙句「俺はガンダムで行く!!」とまで日本語で発声させ直すまでの入れ込み具合を見せたところは、この作品が日本のキャラクター達をオマージュしていることは十分理解できる。

ほかの外国人がこれを見てどう感じるか(特に日本文化にあまり触れない国とか)、はすごく興味がある。日本人だからメカゴジラも、ガンダムも、キティーですらも「この作品に出てこれて当然」と納得ができるのだが、ほかの国ではどうか?まして、ファーストガンダムとなると…
ラストシーンは、ハリウッドらしい落ち。それでリア充爆発しろって言いたくなった私は、愛に飢えている?
ともかく面白かった。笑いどころも結構あったし、なんといっても私たちは画面の中の「宝探し」をさせてしまう作品だから、仕方ない。