今更だが、当該映画の予告編を張っておく。


このラストの殺し文句をここで再掲させてもらう。

「きっと、あなたの生涯の一本になる」

一度だけ劇場で見た予告編。「君の膵臓を食べたい」の予告編と同様の名作臭をありありと感じさせる。多分だが、「キミスイ」と本映画の予告を作った人、少なくともコピーを考えた人は同一人物ではないか、と思う。それだけ、このコピーは秀逸だし「どれ、そこまで言うなら見てやろうやない」と思わせるのに十分である。

私は、実はこの作品、「君の名は。」三葉役で一気に興行界にその人ありと認められた上白石萌音嬢(劇中では、佐倉和音(かずね)役)の芝居を見たいというのが最大の動機だった。事務所(東宝芸能)の方針か、テレビドラマにはほとんど顔を出さない上白石姉妹。東宝の箱入り娘化させるつもりなのだろうか、今年は「未来のミライ」で妹たる萌歌嬢が吹き替えに挑戦するという。
そんなかなりハードルを上げたコピーの作品がトンデモだったらどうしてくれよう・・・「キミスイ」や「かぞくへ」あたりで邦画の実力やこれまでの認識を改めさせられたから大丈夫だとは思うが…

そして初見で、当方の映画評で初めての100点をたたき出す(ちなみに「君の名は。」は、99点)。いや、もっと上げてもいいくらいだ。それくらいこの映画にはありとあらゆるものが詰まっている。

西宮OS3本目は、この作品にすると当初から決めていた。あの、犯罪者一味の映画には最大箱が充当されているのに最小箱に近い場所があてがわれる。しかし、観客はひきも切らない。レディースデイだったことが奏功して女性陣が次から次に。100人足らずの箱だったが、半数はきっちり座ってくる。

2回目になった当作品だったが、確認するべきところは山ほどあった。特に「本当に吉行和子はしゃべらなかったのか」はかなり衝撃で、「ホンマカイナ」と思っていた部分だったが、食卓のシーン、飛びだした高校時代の外村を迎えに椅子に座っているシーン。この2カ所が生きている出演シーン(あとは死体のシーンだけ)であり本当にセリフは一言もなかった。
はじめての外村の担当。引きこもりの男性宅でのシーンは、彼がピアノ弾き始めたら、今回も感極まってしまう。14年のブランクが、演奏にも表れているちょっとへたくそなタッチであるとかも、しっかり表現できている。そこが本当にすごいのだ。
調律師のストイックさ。それがあの映像だけで伝わってくる。マジで「あなたの、生涯の一本になる」とは思っても見なかった。