シネピピアでの「君の名は。」鑑賞に関わった2017年の初夏。2017.7.14の3回鑑賞は、インターバルがあったものの、そのすべての上映回での観客動向などは非常に面白かった。

もちろん複数回観ることは確定していたので、有無を言わさず会員に。入会金500円/年会費1500円だが、1000円分=一回鑑賞券が付録で付いてくる。実質500円で更新できるというのだから、お得である。
その鑑賞券の期限がまじかに迫っていた。慌ててスケジュールを確認すると、邦画タイトルを発見。仕事終わりでも行ける時間帯とわかって勇躍売布神社まで向かう。

予告は何度も見ていたのだが、在阪6局が製作に関与する珍しい呉越同舟型の製作委員会。予告では、各局の女性アナウンサーが念の入った宣伝をやっていたのが印象的だ。そんなだから、よほど面白いのかな、と思って向かうわけだが…

藩主の不興を買って「蚤とり」に身をやつさなくてはならなくなった、勘定方。それを怪優・阿部寛が演じている。実はこの時点でかなりウキウキであった。「テルマエ・ロマエ」「祈りの鐘が下りる時」、テレビドラマなら「結婚できない男」「TRICK」あたりが有名どころ。彼の演技がどう出てくるのかはかなり期待していた。
実はこの当時の「蚤とり」とは、今でいうところの「デリヘル」、しかも女が男を買うという「売春夫」のことだった。うはっっっwwwお気楽映画かと思いきや、そういう設定でしたか…
当然濡れまくってはいないが本番風の描写もそこかしこにちりばめられている。まあ、おぱーいがまるまる見えるくらいはご愛敬だが、小間物屋の婿養子になってしまった旗本の末裔として出ている豊川悦司の本番さながらの演技は、堂に入っている。下手と言われて発奮する阿部演じる寛之進に見せつけるかのごとく濡れ場を堂々と演じたあたりは役者魂!を見せられたように感じた。
長屋に居候することになる寛之進。ここでこれまた貧乏暮らしに身をやつす斎藤工演じる友之介と出会う。家宝の刀を大事にしまい込む友之介。これもいい伏線になっていた。
めきめき頭角を現し始める寛之進。なじみも出てき始めて、順風満帆かと思われたのだが、老中・田沼意次の失脚で事態は急転。罪人扱いされてしまう。だが、突如元居た藩の助け舟が出されるのだが、それは、果たして生か、死か?

市井のことなど知らず「蚤とり」がそういう裏家業だったことに気がつかない武士。早合点する親分のせいもあって、なぜか仇討に身をやつしていることになってしまっている設定からして、苦笑せざるを得ない。なんか落語的だな、と思っていたら、Wikiによると、短編集を再構築したものだそうだ。特にまだ若旦那だったころの豊悦がうなぎ屋で語るあのシークエンスは、本当に面白い。
まあ、この内容ならR+15は当然だし、こういうまとめ方は、吉本新喜劇チックにも見えるところがややポイント低い。それでも、意次役の文枝師匠は、さすが、老獪で癖のある演技をやってのけている。
採点だが、60点までとしたい。先の読めるストーリーや、なぜか寛之進の真摯な態度で往診を決断する医者(伊武雅刀)は実はそんなに悪い人ではないところとか、いくらでもひねりようがあったところがある。前田敦子の女将さん役もややミスキャスト。こんな嫉妬深い女は御免蒙りたい。でも、そんなくだらなさを寺島しのぶの妖艶な芝居で帳消しにできるのだから、やはりキャスティングは侮れない。
逆境に落とされる主人公役としての阿部寛はばっちりはまっている。そこだけが救いであった。