相変わらず、ヤフーのレビューには、一部の良心的なレビューもありこそすれ、★1や2のオンパレードである。もちろん、当方にしたところで、★3まで上げるほどの胆力は持ち合わせていない。得点自体は70点だが、内容は星2つが精いっぱいである。

でも、この評価に至った理由は歴然としている。
「タイトル詐欺」だからである。

未来のミライ。そう書くからには、いたずら盛りの4歳児のくんちゃんが高校生程度に成長した妹の未来ちゃんと絡みまくって、前に進んでいく、というストーリーを想起してしまっていたからである。ところが、終わってみれば、未来の未来ちゃんと絡むシークエンスはわずか。幼少期の母親と戯れたり、ひいじいちゃんと出会うことで少し成長したり…。まあ、それでも、未来のくんちゃんとの邂逅からの未来の描写は、うまく見せる場面でもあった。

子どもが主人公の作品は、意外と少ない。「クレヨンしんちゃん」は、その代表例と言えるし、家族が描かれていることも考えると、ひまわりという妹がいるところなども意外と類似点が多い。
それでもこの作品が、長寿と言える内容で、原作者の不慮の死後でもいまだに放送できているのは、しんちゃんの行動が抑制的であるから、といえなくもない。これがくんちゃんのように、わがまま放題し放題なら、ワンクール打ち切りも視野にあっただろう。
しんちゃんのような子どもとは真逆の、わがままが通っていたくんちゃんの傍若無人ぶり。どちらがこの年代の正当な描写かは、意見が分かれるところだが、くんちゃんがあの後、どう成長して、高校生になっていったのか、は見てみたいと思った。
そして、きょうだいを描いた映画ということになれば「となりのトトロ」「火垂るの墓」は忘れてはならない視点でもある。前者は自由奔放に生きれた昭和30年代前半、後者は、戦中を苛烈に生きざるを得なかったまさに激動の時代。どちらもが名作の誉れ高いのは、年上が10歳以上に達しているからである。さつき/清太がストーリーを引っ張り、メイ/節子がそれに肉付けをする。それが可能だったから、ストーリーもすんなり描けるのである。
今作で主体性を持ったくんちゃんがストーリーを作り出すことは不可能。擬人化したユッコ、幼少期の母親、未来のミライ、ひいじいちゃん、闇の新幹線にいざなう遺失物係…周りが物語を作っていかないといけない。それが物語のぶつ切り感を醸し出し、せっかくのひいじいちゃんのシークエンスの芳醇な味わいをスポイルしてしまう。

小学生レベルの主人公で物語を作り出すのは、至難の業である。まして今作は、さらに年齢の下がった4歳。そのくんちゃんが主役を張る映画。ホーム・アローンですら設定上8歳(カルキン少年は役当時10歳だったそうだ)。下手をすると設定とはいえ、最年少の主役ではないか、とさえ思う。だから、そんな難しい題材をあえて映像化しようとした意欲『だけ』は買えると評したのである。
「比較検討倶楽部」はいったんここまで。次作は「くんちゃんの趣味」に関して、書いていきたいと思う。