細田守監督の「未来のミライ」のスタートダッシュは思いっきり決まらなかったようである。
なんと、前作「バケモノの子」の4割減は、危機的状況。

ヤフーのレビューでも、細田株はかなり急落しているのは間違いなく、時かけあたりで鮮烈に感じていた層が一気に細田離れしていくような予感すらする。
とはいうものの、そのレベルの作品であり、刺さる人があまりに少なすぎる。子育てが終わった、あるいは現在進行形の方が見れば腑に落ち、そういうことをよく表現してくれたとなる=高評価につながっているのだと思う。「君の名は。」は、誰もが一度は通る恋愛という大テーマに入れ替わり/3年のずれが起因しているからこそ、その謎に立ち入りたいと思った層のリピーターを必然的に生み、1900万人超を記録できたのだと思う。

そんな中にあって、当方がここまで低評価であるにもかかわらず、「もしかするとリピーター化するかも」と思える部分が実はある。それが「くんちゃんの鉄道ファンぶり」の解析をしてみることが何かの役に立つのでは、という根拠の薄い設定に対する疑問からである。

冒頭、祖母に言われて部屋をかたづけるよう言われるくんちゃん。だが次の瞬間、片付くどころか、プラレールのレイアウトが一瞬にして完成し、そこを数編成の列車がモーター音をうならせて走っていくのである。生まれてきた妹の命名では、「のぞみ」「つばめ」と新幹線の愛称をつけたいと言い始める始末。かんしゃくを起こしてプラレールで未来ちゃんを殴ったのも一度や2度ではないはず。201系のプリントされたトレーナーか、シャツを着ていたり、持っていたのはスーパーあずさだとぬけぬけ言ってみたり。
未来のシークエンスに到達した彼を待っていたのは、なぜかさびれた磯子駅から出発する、4両程度の見たことない電車。その列車にかぶさるようにこれまたデザイン的に見たことない電車たちが並走を仕掛けてくる。最後にやってきたのは「電子レンジ」ことE235系。
迷子になったくんちゃんが遺失物係の前で自分をさらけ出す。実は、自分の両親の名前もわからないという。これにはびっくりだが、仮にそれが言えても、時空が歪んでいるのだから助けに来られるはずがない。結局地下最深部の闇の新幹線の発着するホームに持っていかれる。ここには、まさしく鉄道ファンが泣いて喜びそうな旧車のオンパレード。くたびれた感じの0系、103(101かも)、クハ481、EF58 53。そして先頭車の口が動く闇の新幹線。まあ、このあたりの作画、というかデザインには実は裏打ちがある。川重のデザイン部がクレジットされているのを当方は見逃さなかったのだ。→もちろん専門誌の記事から抜粋。いくら架空とはいえ、そういうところに発注してデザインのひな型を作ってもらうことで、矛盾やバランスなどに気を使うことにしたのだろうと思う。ちなみに一瞬だがリニアも登場していた。

ここまで鉄道に傾注する理由は何なのか?4歳の男の子が「スキ」と思われるものを上げてみたら、というあたりが最大の理由と目されるのだが、今のところ、正解にはたどり着けていない。監督氏のインタビュー記事も漁ってみたが、くんちゃんがどうして鉄ちゃんだったのか、に言及している内容は見つけられていない。
4歳児の趣味としての、ステレオタイプ的なもの(いわゆるヒーローものだと版権がぁ、とかになるからなんだろうか/今回もご多分に漏れずJR東日本企画さんが製作委員会に入っているので、そのあたりはかなり重要な視点かも)としての鉄道、そしてプラレール。それが根底にあったとしても、物語にどこまで影響していたのか、を探るところにまでは至らない。