この作品・・・若おかみは小学生!の傑作度は、「君の名は。」「きみの声をとどけたい」クラスのレベルの高さを実感する。
おっこに降りかかる災難は、見た目の傷はなくても、心に大きな傷を負わせる。11トントラックを見て過呼吸になる。PTSDの症状であり、それをきっちりとわからせる描写にも手を抜かないところがすごかった。
そして何といっても、加害者と生き残った被害者が対峙するあの場面。このシークエンスが我々に言いようのない現実を突きつけるとともに、それに向き合わないといけない両者の心情が浮き彫りになる。

言わずもがな、でこの段階で私の顔面は涙まみれである。おっこの立場、ドライバーの立場。どちらにもなる可能性がある今の私達。「いられない」という加害者に「被害者であることよりもおもてなし」を優先するおっこ。なにより、男の子のこねる駄々が、本質を見抜いているとわかって、声にこそ出さなかったが大号泣に至ってしまうのだ。

おっこが見る両親の幻影、夢。突然失ったものの存在は、「なんだ、生きてるじゃん」と思わせてしまうほど、いなくなった風には感じられない。だから、我々にも、彼女がどうしてそう思いこんでしまうのか、を丁寧に書いてくれている。寝室で、供えたプリンで、ドライブで、そして加害者との対峙の場面で。二人がおっこに対して残せなかったメッセージがあふれてくる。そこに感動してしまうのである。

当初はお仕事ムービー的だと思っていたし、事故で両親を失うことと、加害者との対峙は最初結びつかなかった。だが、この一大舞台装置ができ、成長と同時に見えなくなっていく幽霊たちとの別れをもまとめて書こうとした。おっこにとっての友人的なウリ坊と美陽までいなくなる。独りぼっちにいたたまれなくなるおっこに寄り添うグローリー。派手目に見えて、いい押さえキャラになっている。

2回目は、午前回/朝一。しかし、時間帯の影響もあってわずか4人。当方が最高齢、と胸を張ったのに、70代女性ソロの登場でその座を奪われる。男3人/女一人、平均年齢は40代後半となった。
こんな名作の入らなさぶり。たしかに「君の名は。」的な爽快感や疾走感はないし、「キミコエ」のような、大団円ともいい難い。おっこは、両親の死を抱えつつ、これからを生きないといけない。でも、最後に踊る御神楽の楽しそうな彼女と、ライバル関係にある真月との関係を示唆するラストの"花の雨"で、これからの花の湯温泉に、「春の屋」に、そしておっこに幸多かれと思わせる抜群の〆になっている。

昨年「もっと評価されるべきアニメ映画」に2位以下をダントツに引き離したのが「きみの声をとどけたい」だった。同じランキングが今年もあるのなら、当方はこの作品をズバリ上げることにする。子供向けと思わせておいて、全世代に刺さる作劇の妙。単に泣けるだけでなく、そこに散らばる思いをすべてまとめてくれている。
またしても、興行成績のせいで埋もれる作品が生まれてしまいそうである。