ここ最近のアニメーション映画の「当たり」ぶりは当方の予想を激しく裏切る。
特に「まあまあいい出来だろうな」となった「若おかみは小学生!」の、あっと驚く作劇の凄さ。まさかまさか、あそこまで初見の段階で泣けるとは思いもよらなかった。いまでは、お神楽のけいこが終わり、神社から帰ろうとするシーンからこっち、ぐずぐずしてしまい、翔太君が姿を現したあたりから涙腺がやばかったりする。
「ペンギン・ハイウェイ」もそうだった。これも正直ダークホースっぽかったし、まあ絵の動きとかには及第点でも、どういうストーリーにするかは見ものだった。うまくまとめたし、満足度も高かった。

そして、一応「秋のアニメーション映画」の〆に当たるのが、この夏目友人帳、ということになる。しかし、「若おかみ」の苦戦ぶりに、そちらの方に気を取られて、見られずじまい。これではいけない、となって1100円で見られるOSシネマズミント神戸に突撃。
サービスデーということもあるが、最大スクリーンに近い6番には、16:10始まりながら、60人強の来客。原作/担当声優の影響か、女性比率がそこそこ高い。事実、ペア客は例外なく女性。私の前には、40〜50代の女性ペアが入場しようとして、びっくりする。男性ソロは10名ほど、カップルも5、6組。意外にも、家族連れが一組いたが、少し珍しく思えた。

正直、アニメーションも原作も知らないでこの手の作品を見るのは、冒険というか、無謀、と言ったところだろう。もっとも、幼少期から、祖先から受け継いだ妖怪が見える、という特異体質があるということを分からせてあるところはいい説明部分でもあった。
ところが…とにかくストーリーの山谷がはっきりとしない。例えば、弁論大会での妖怪とのエンカウントをした女子高生の話は、人間に置き換わっていたのはいいのだが、それがどういう効果をもたらすのかがわかりにくい。
なんといっても、夏目のダイアログが冗長に感じてしまうのである。これは原作を知っている人にしてみても、それを知らない人にしてみても、頻繁過ぎてうっとうしく思った人もいるんではなかろうか。
結果的に、後半、一気に謎が解き明かされていく。分裂していたにゃんこ先生も元に戻り、記憶もとりもどし、いつもの日常が戻っているように感じた。悪くは感じないのだが…残るものがほとんどない、というのはいかがなものか。

というわけで採点だが、正直「アニメーションの出来」という部分が大半であり、80点どまりとする。
「ああー、そうなるよね」という、予定調和的な、大きな驚きがない以上、「若おかみ」を越えうることはできない。この作品そのものに入れ込んでいる人なら、世界観に浸ることも悪くはないのだろうが、原作ありで、やや原作未見組にハードルの高い内容(特にサブキャラ)となると、お勧めしにくくなるのは致し方ない。
まあ唯一の救いは、エンディングテーマにかなり持っていかれたこと。これはオケでも歌えるようにしたいと思ったことが最大の収穫だった。