アオヤマ君風に言えば、2018.11.1で、私は51歳と65日を経過した。
その私が、お子様同伴で見るのが当たり前のプリキュア映画に単身乗り込んだのである。
理由は、この方のこのブログがきっかけである。
毎度おなじみ、物語る亀さんのこのレビューである。

もちろん一人の映画レビュアーのブログだけで心動かされるわけではない。予告編ですでに「これ、やばい奴かも」と思って、すでに当方のブログでも紹介していたことは、このブログを隅々まで見ている人ならお気づきのはずだ。
つまり「すでに観る気に傾いていた」背中を見事に押してくれたことになるのだが、それは本当によかったと思っていたりする。

そもそも、映画鑑賞という趣味にまで昇華させていただいたのは、言うまでもなく、この作品−−−「君の名は。」である。2017年は、その残り香と言うべき鑑賞が前半だったわけだが、2018年には、ほぼ全ジャンルでの鑑賞にまで至る。もはやスクリーンに座ることに何の躊躇もなくなっている。
名作っぽいのなら、その題材が、幼児系であれ何であれ、見る一択。勇躍、サービスデーのOSシネマズ神戸ハーバーランドに出向く。4時20分始まりの回には、主鑑賞層である、幼児たちが実に10組。だが、平日ということもあり、結局その程度だったのだが・・・「大きなお友達」らしい30代男性ペアの来訪もあり、場内は結構バラエティに富む。ちなみにソロ客は、私一人に女性一人。

さて映画となるところだが、早速ミラクルライトの使い方指南から。実はこれまで幾多の映画を見てきたのだが、東映配給の映画は2016.10.1以来、はじめてであった。
ストーリーはいきなりの横浜に怪物が現れるところからスタートする。ちなみに、観覧車に乗ってレポートする女性は、山本美月だったのだが・・・なんだよぅ、となってしまったのは内緒である。これを撃退する初代・ブラックとホワイトの活躍がスクリーンに。だが、「テルテル坊主」ことミデンというのが現れて、随伴していたシャイニールミナスが幼児化してしまう事象が発生する。
同じころ、ハグプリメンバーは、ピクニックの真っ最中。そこに現れたのが先ほどのミデン。結局キュアエール以外は幼児化してしまい、初代もホワイトが幼児化してしまう。
さあどうする…となるところなのだが、ここで、エールもブラック(なぎさ)も、とてつもないセリフの応酬で見るものをアッといわせてしまう。想い出が奪われると幼児化することがわかったものの、次々繰り出される往年のプリキュアの必殺技に、歴代のプリキュアたちも幼児化されていることを知ることになる。

あらすじを描くのはここまで。後半の15分余りの大戦闘は、すべてのプリキュアの見せ場が用意されているのだが、まあ、これの豪華絢爛なこと。実際ほぼ見たことなく、だぁれも知らないプリキュアたちが次々に出てくるのだが、結局はハグプリと初代以外はモブキャラ同然。ここだけにしか活躍の場を置かなかったのは、尺(73分らしい)の都合というところもあるのかもしれない。
だが、ここで終わらなかったのだ。ミデンの中に取り込まれたエールが彼と対峙するシークエンスは、ここ最近のアニメーション映画の演出の中でも、傑出した出来であると断言する。それは、ヒーロー(ヒロイン)が、敵側に寄り添うという本来ならありえないような作劇であっても、それが可能なエールだから周りも納得してしまうのである。

序盤で恥ずかしながら、感動のあまり落涙する51歳と65日の私。ミデンが、フィルムカメラの精であり、だから『想い出がなにもない』ということにつながり、他人の想い出を奪うことで悦に入ることにしてあることまでは予告編では謳っていなかったゆえに、すべてが繋がることになったというのが素晴らしかった。そしてラストの演出。ずぅっと雨の降るミデンの心の中が、エールとの邂逅で晴れ晴れとしたものにつながっていく。ベタではあるが、こういう素直な・・・お子様にもわかりやすい演出というストレートな表現が、またしても涙腺を刺激する。

私のツイッターでの第一声は
  ”最近作の中でも「大人が泣くヤツ」に仕上がっている奇跡。映像も一級品。しゅごい(幼児語)。”

で〆ている。評価ツイはこちら。
というわけで、得点は95点と恐るべき高得点。ここ最近で言うと、リズ並なのだが、はっきり言って、ここまでの作劇にできる人たちの真摯な制作姿勢には脱帽ものである。ランキングにも絡む確率はかなり高く、私自身が見たことよりも、その内容に戦慄してしまっている。

あえて見ろとは言わない。だが、もし、映像作品に造詣があり、あるいはそれを作る/作りたいと思っている人は、ここまでの短時間で、子どもたちには感動を、大人たちには別の感動・・・感激を植え付ける、この作品を一つのたたき台にしていただきたいものである。ありていに言うと、ミラクルライトが振りまくられる劇場で、その一体感と同化する自身に感動したいとも思っている。

2018年の映画鑑賞記のみならず、自身の映画レビューの中でも特別すぎる一作になってしまった。「これは事件です」。