2017年から18年にかけて、「きみの声をとどけたい」に憑りつかれたようになってしまっていた私にとって、二桁鑑賞回数は、もう決して現れないだろうと思っていた。
しかし、2018年秋、まさに私を慟哭の谷に突き落としてくれる作品が現れようなどと思ってもいなかった。
それが「若おかみは小学生!」である。
回数見ていることもあるが、世界観が手の内にあることもあって、一部コラボ小説は各地で評判を呼んでいる模様。今さらながら、SNSの威力のすごさを思い知る。

店舗訪問は、かくして予定終了。若おかみモードに移行する。
椥辻で拾ったのは、予定より一本早い電車で、これだけでも余裕ができてくる。京阪の乗り継ぎもそれほどではなく、出町柳駅に。降りた出口もびったしで、そこから鴨川を渡って商店街に向かう。

いつも通りの、と言いたいところだったが、何気に賑わっている商店街。

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14時過ぎに入ったのだが、すでに15席程度は売れていた。しめしめ。40席強の劇場でここまでなら上出来である。セカンドラン期間中と言える時間帯だが、観客動向は、さらに私をにんまりとさせる。
家族連れの発生である。4組認められたが、特にお子様がどういう風に感じられたのかが重要だと思う。ソロも、男性、女性がなかなかの比率。カップル2組、ペア男女とも一組ずつ。30人は座っていた。

かくいう私は、ベテランらしくA列を所望。一つ開けて女性ソロが座ってきたが、これもまた、歴戦の勇者なのだろうか。
ストーリーどころか、遂にセリフまで空で言えるレベルに至ってきた。もちろん、「寝ちゃった…」からのシークエンスは、本当のことを言えば翔太くんが出てきてからこっちヤバいのだが、知っているだけにその思いがビシビシ伝わる。あの両親に囲まれて笑っているおっこのあのシーンの無音が、我々をもおっこの持っていた闇にいざなうのだ。だから衝撃が走るのと同時に遂に別れを自認しなくてはならない試練の時を迎えたのだとわかる作劇になっている。
両親を執拗なまでに夢や幻で出して来て、ここで決定的に別れさせる。「独りにしないで」はまさに心の叫び。誰しもが通る道であるとはいえ、いずれは乗り越えなくてはならないもの。生と死は不変のテーマではあるが、こういう視点は本当にすごかった。

もういうべき言葉が見当たらない。ただただ感情の発露が最後の神楽のシーンで集大成される。両親の死を乗り越えたおっこに幸多かれと願う私がそこにいた。