朝一の「轢き逃げ」は、さすが、サービスデーということもあり、特に初老の男女がかなりの入れ込みを発生させた。当方試算で125人箱に7割強。男性ソロが確かに圧倒的だが、女性グループやペアもそこそこ見かけられたし、想定の範囲内の観客層だった。男女比は2:1で男性優位、平均年齢は60歳前半と高めに見積もっても間違ってはおるまい。

食事を終え、勤務店に最後の挨拶かたがた書類を提出する。完全にこれで切れたわけではないにしても、けじめをつけられたのは大きい。
そして、梯子2本目は、5/1のレベンジと称して、「クレヨンしんちゃん 新婚旅行ハリケーン 失われたひろし」を高らかに指名。さすがに1800円(正価)で見るべき作品ではないから当然といえば当然である。

昼中の上映会ということもあり、かなりの閑散度合い。結局お子様連れは3組、あとはソロという次第で10名強と言ったところ。まあすでに3週目に入っているし、土日祝日しか用事の無い作品だけに、こうなることは仕方なかろう。

新婚旅行未体験の野原夫妻が、オーストラリアに旅行に行く、それが夫婦のきずなをより強固にしていくことにもつながる、というあたりは今までの作品を知らないとは言っても明らかに「大人の方を向いている」という選択をしたと思っている。
ところどころで印象的なセリフの応酬があるのだが、今ひとつピンと来なかった。ただ「あ、これ、君縄効果か」と思えたのは、往年の名曲を使ってちょっとしたミュージカルスタイルにした部分の演出である。福山雅治の「HELLO」、MISIAの「Everything」を印象的な場面で、前者はひろしに、後者はみさえに歌わせるということをやってのける。これがかなり効果的に思われた。

とは言うものの……全体像はガバガバ。ラストの"姫"の登場はもうやる気なしだろう(設定の段階で、これでゴーサインを出したやつの顔が見てみたい)に思えたし、そんな感じだからラストシーンは、落ちずにグダグダ。強引なまとめに持っていくところで大幅にポイントは減算されていく。
確かに面白くない、とまで断罪するつもりはない。ヘビ→新体操からのしんのすけの発生させるハリケーンはきれいに三段落ちにもなっているし、あえての聞き間違いでトンデモ単語を創作できるしんちゃんの頭脳はすごすぎる。
でも、ストーリーの薄さは如何ともしがたい。「こんなレベルだったんだ」と感じてしまい、特に後半はかなり退屈してしまった。ということでツイのファーストインプレッション82点そのままの評価とする。

「おとな帝国」が俄然評価が高いと聞くし、毎年生み出せるパワーというものには尊敬の念しかない。それでも今作の「見え透いている」ひろしやみさえのセリフには、感情移入ができない。あれほど寄り添っている二人であるという回想もあのシーンでの畳みかけの伏線というのはわかるのだが、それが大きく生かされるまでには至らない。
毎年送り出す=練っている時間がない ことの裏返し(監督二人で交互に回していることからも、製作は2年で済ませている模様)だから、多くを期待してはいけないんだと思うが、それでもここまでに仕上げられるんだから、凄いことである。