朝一をガルパンで決めたこともあり、すんなりと三本目の鑑賞と相成る。それが、当方も傑作のレッテルを張らせていただいた「きみと、波にのれたら」である。

返す返すも、前半の描き方があまりにイチャラブ過ぎたところが評価のわかれるポイントになってしまったのが痛い。実は、濡れ場こそないものの、二人が愛を確かめ合っているシーンは描かれている。も・ち・ろ・ん、全裸を想起させるレイアウトで、である。ここらあたりで妙に醒めてしまった人もいたんではないか、と思ったりするのだ。

ここをこのようにしようと思った理由はいくつか挙げられようが、やはり私は「ここまでくどくどと書いたことで、二人の絆は固く、永遠に続いていてもおかしくなかった」とする設定を見せつけたうえで港を死に追いやったのだと思っている。そしてそれをオーラス手前のメッセージの代読まで引っ張ったことで、ひな子の涙腺を一気に崩壊させることにしたんだと思う。

死を受け入れられないとはいえ、港が亡くなってから、画面上は一度も泣いていない(携帯ロックが解除されて、本来送るべきラインの内容を確認したときに上を向いて、涙をこらえている描写はあった)。泣かずに何とか気丈に過ごしてきたはずのひな子。でも、「ずっと、ずっと」の連呼を聞いてしまう。永遠に続くはずの港との関係の「最後」がこのメッセージで締めくくられる。そりゃあ、今まで押さえていた喪失感、隣にいない実感が一気に勃興しておかしくない。

泣きの演技が下手、という指摘もあるし、そこは否定しない。だが、これまでの大泣きのシーンで比べると、やはり、一年目の片平嬢の泣きのシーンとは一線を画する。泣けばいいというものではないが、こんな風にうまく演じないことも重要なのかもしれないと思ったりする。上手いだけではなかったところを大きくほめたいと思う。

監督が初めて挑んだラブストーリー。うまくなくて当然である。もっと言えば、初回から大傑作を出そうものなら、大変なことになってしまう。湯浅監督だから、次は、もっともっとエモーショナルで、我々のハートをがっちりつかめる作品にしてくれるだろう。