これまでのアニメーション映画は、既存のブランドやメーカー名はよく似た何かを「それ」と誤認させるように仕向けている。
春日部が舞台の「クレヨンしんちゃん」に出てくるスーパーは「サトーココノカ堂」(イトーヨーカ堂)だし、ロゴも鳩ではなくコウモリw現代の風情をアニメ化しようとした際に、避けて通れないのが、ブランド使用に対する許諾が得られるかどうか、と言ったところにある。

この作品……「天気の子」では、どの程度企業が参画しているのか、をパンフレットを参考にあげていきたい。
・特別協力 サントリー/Z会/栄光ゼミナール/ソフトバンク/ディップ/日清食品/ミサワホーム/ロッテ
・協力 クラシル/JR東日本 東京支社/東海汽船/東京都交通局/ユニクロ

この特別協力の企業名、何とはなしに気が付いた人はそれなりにすごい。
そう。6/30に地上波で放送なった「君の名は。」のスポンサーになっている会社ばかりなのだ。
特に一番露出度の高いのはサントリー系の製品である。一部の架空ブラントについては別項で上げることにするが、・CCレモン ・プレモル ・缶コーヒーのBOSS(メインはプレボスだが、それ以外も出てきている) ・バーボンのMaker's Mark(小ネタだがこのCMを見てもらって、「あああっっ」てなっていただきたいw)

そうかと思うと、日清はどん兵衛と醤油カップヌードルどまり。でも、恐らくアニメ映画史上初めて、現実のテレビCMが採用された企業ということになりそうである。
→まあ、当たり前なんだけれども、出演していた星野や吉岡の声を入れるわけにはいかないので、今回専用に編集されたもののようだ(公式CMライブラリーにも収蔵されている/30秒パターンはこちら)。尚、星野源に関しては、意外な場所で絡んでいる。

同じ飲食でも、ロッテの絡み具合はかなりしょぼい。凪がクーリッシュを食べているのと、最後半、冨美の新居にお邪魔した際に冨美から振る舞われるチョコパイくらいなものである。

もちろん、協力が得られなかった/話自体を持っていっていないメーカーや店舗は架空の名前だったり、それをあえて見せないように配慮している。
例えば、はじめて帆高が職質されるのは、関西では一定の知名度のある、有名ラーメンチェーン店。だが、店名の明示は避けられている。神宮外苑の花火大会でも、バックスクリーンのスポンサーの一部が架空のメーカーになっている(両隣はサントリーのブランド/ちなみにTUSHIMA)。
ところが、メーカーが「使ってくれ」といったもの以外にも、製作サイドから「使わせてくれ」と頭を下げてお願いしているそのものずばりのメーカーやブランド・店名が点在している。
例えば『バーニラ、バニラ、バーニラ求人』のアドトラックが出てきて度肝を抜かれた人も多いだろう。マクドナルドも店舗がそのまま使われ、「16年で一番うまい夕食」と言わしめた、陽菜の愛情たっぷりwのビックマックまで登場している。でもせいぜい、ロケーション・プロダクト協力どまりなのである。
一番驚くのが、「Yahoo!掲示板」の見事なまでのDISリぶりである。確かに聞いている内容はトンでもだけれども、それに答える内容のバカさ加減もデフォルメすることなく表現している。普通は体裁を考え、メーカーや提供企業に気兼ねして描いて当たり前なのだが、これはうまくやったと思う。

写実的に書く。ありのままの日常を描く。
新海監督の現実的描写の的確さは、今更言うまでもなかろう。それを下支えするメーカー・ブランドたち。「ああ、あの製品!」「これ見たことある」が親近感を増し、ストーリーにも没入させやすくなる。それが作品に大きく影響すると知ったからこそ、そしてメーカーもそれに気が付いたから我も我もと寄ってきているのではないか、とも思う。
残念なのは、前作ではめちゃくちゃ露出の高かった明治が抜けて代わりにロッテになったところだろうか。申し訳程度の露出では、意味がないと知るべきである。