個人的には15回目。単独鑑賞回数・2位作品となった「天気の子」。
もちろん連続鑑賞記録も継続できるわけであり、ましてや発声可能、応援上映となるとガチ勢が集合し、その一種顔見せ的なイベントが催されるのでは、とは考えていた。

だが、当方は少しだけ逡巡する。昼イベントに参加後の懇親会と天秤にかけなくてはいけなかったからだ。本来ならばあとから降ってわいた応援上映。とはいえ、「大事なものの順番を、入れ替えられなくなるんだよな」(須賀談 p.186)ではいけない。キャンセル自体はそう難しい話ではなかったが、自分から行くと言い出している手前、バツが悪いのも仕方なかった。

昼イベントは、奇跡的にオンタイムで終了。普通、時間が押して、伸びることが多いはずなのだが(スピーチとかが大半を占めたので、絶対終わるわきゃないと思ってた)、そのタイムスケジュールは、大いに見習うべきところだろう。
電車に揺られること小一時間。久しぶりの大阪駅に降り立つ。そこから現場であるTOHO梅田までは徒歩5分程度。その前に、少しだけ腹ごしらえ。駅そばで小腹を満たす。
既に広島の有名フォロワー氏はスタンバイをしていた。筋肉ムキムキなうえに陽菜パーカー。この恐るべきミスマッチに笑いを禁じえない。だが、本当の衝撃はここからだった。
実は劇場に上がるエレベーターに乗り込む際、混雑を避けて先に行かせた籠の中に「なんか、妙に既視感のある」人物が載っているのをちらっと見てしまったのだ。
「ま、まさか」
自分が次の籠に乗り込み、遅れて劇場に入ると、その疑念はすべて明らかになった。
ライトながら、その再現率が半端ないコスプレ集団だった。そして私の既視感があるといっていたのはRADWIMPSの主柱・野田洋次郎その人だった。しかも、かなり寄せている陽菜(もちろんパーカー着用)、帆高似の青年もいる。さすがに凪/てるてるはいなかったが、なかなかの再現力だった。劇場のロビーがちょっとした撮影会場と化す。
実はほかの会場では、コスプレまでして見に来ている、という報告はほぼ聞かれていない。つまり、梅田だけは、間違っている人も含めてw形から入っていく人もいたということだろう。

2番にはいる。480席。最終入れ込みは3割強という「せめて200は来いよ」状態。だが人がいないということは、声が通る。自身の着席するC列から後ろを見渡し、ステージと化す箱をぐるりと見渡し、感触を確かめる。
ちなみに前方列は集団を形成せず、A/C/D/Eくらいまではきれいにど真ん中の16が埋まっていた。「ははーん、演じる部隊はこのあたりに陣取るのか」。ワイワイ見る層は後ろにスタンバっている感じだったが、位置的にはこんなところだっただろう。

さて本編に入る……前の映画泥棒から、手拍子が入る。これがいわゆるエンジンあたための効果を醸し出す。そして「天気の子 応援上映」の留め画が挿入され、館内が拍手喝采に彩られる。東宝のロゴ、STORYロゴもすんなり。CWFあたりは静かに流れたが、陽菜初登場で拍手。オープニングロゴでもかなりの拍手。
そこからしばらくは帆高の初登場シーンや須賀の登場で拍手も起こる。
「バーニラバニラ」は意外にも歌う人少なめでびっくり。「どん兵衛のキツネ食べてても」は実質私だけじゃなかったかな?「おお、歌あるやん」となって慌てて歌い出したのだが、新宿あたりは網羅していたんだろうな。
アメ登場はマジでかわいい。もちろん私も声に出す。「ニャー」www
マクドシーンは、かなり盛り上がった。制服姿の陽菜ちゃんも何気にカワイイ。
凪/アヤネ・カナシーンは「カワイイ―」や「センパーイ」が入り乱れる。もちろん夏美・帆高の初絡みも爆笑に包まれる。
占い師場面では演じる声優に対する掛け声が飛ぶのだが、まあ、本編とはかかわりないのでどうなのか、と。それでもここを越えると最初の歌唱シーンだ。
「風がぼくらの前で急に舵を切ったの感じた午後」〜〜〜。「風たちの声」の最重要課題は、どんどん音程が上がって行くところ。しかも最後の小節はかなりまくしたてた歌詞になっている。ここはかなり苦心したが、館内は、前半は歌えても、後半になるにしたがって声が小さくなる中、当方は張った声量を落とさず歌いきる。

そして、突っ込みいれ放題の帆高の工作物一覧。傘にてるてる。誰かも書いていたが、あれだけ完全な球体を作り、しかもかなりの強度を持たせてあるとは。帆高、なかなかのものだ。
お台場の晴れのシーンは、晴れていくにしたがって場内が歓喜の拍手に包まれる。そして当方も「やったー」を発声させてもらいつつ、「祝祭」の準備に入る。
とはいえ、ここはセリフも絡み、実際には突っ込みを入れたいところでもあったのだが、当方は歌唱に専念。これはほぼ手の内に入っていることもあり、難なく超える。ここから「愛にできることはまだあるかい」まで歌はないのがなんともはや……

不思議と今まで泣ける場所であったはずの神宮外苑花火大会とかで感情の発露がない。それは、多分内にこもらず、外に発散しているから、そうなるのではないかな、と思ったりしている。「しなくもなくもなくもなくも」はほぼ全員がつぶやいていた。
気象神社での神主の言葉を諳んじてみたりするなどして遊び、クライマックスに向けて準備する。

「あの人のところに……行かせてくれよ!」
銃声が響く。洋次郎の息遣いを感じて当方も歌い出す。セリフがかぶってくるが、お構いなしにボルテージを上げていく。
「愛―にできるこーとはまーだあーるかーーーい」
最後の帆高の「どうか!!」と同時くらいに歌唱を止める。音を伸ばせるのが当方の持ち味なのだが、これができてかなり気持ちがよくなっている。
さあ、もう皆さんも温まっている。「グランドエスケープ」はこの作品の中でも歌いやすい名曲である。もちろん「夢にぼくらで帆を張って」からは、手拍子も入って館内は大きく盛り上がる。
そして曲タイトル上は、「ふたたびの、雨」(サウンドトラック29曲目)も歌いきって、当方のクライマックスに突入する。
レインボーブリッジの水没に対する突っ込みをだれもしない中で(みんな達観しているんだろうけどね)、それでも帆高がK&Aプランニング を去り、日常が映し出される中で当方は座りなおしまさに襟を正す。

この一曲のためにここに居る。これを歌いきることができて私は僥倖に浸れる。もうこんな機会は二度とないといってもいいだろう。それをものにできる。帆高と陽菜の再会を祝う意味からも、この曲で失敗は許されない。画面に集中する。今までなら、ピアノソロが入ってきた段階で感涙にむせんでいてもおかしくはない。少なくとももうスクリーンは正視できていない時間帯だ。それでも陽菜が祈る姿が入ってくる。
「せかいがー」
自分でも神がかったくらいのタイミングで歌い出しを決められた。もちろん声を張れる一オクターブ高めで決める。あとは上ずらないようにテンポを押さえながら歌唱する。
「くずーれそうなのは―きみーなのにーーー」
ここで危うく落涙しそうになるが画面上の彼らに負けまいとする当方。もちろん第2パートも難なくこなす。場内でも歌っている人はいただろうが、当方の声量が段違いで誰の歌声も聞こえない。声帯だけで歌うと当然のどがやられてしまうのだが、当方は腹式呼吸。だから伸ばせるところもきっちり伸ばせるのだ。
いよいよラスト。
「大丈夫になりたい 大丈夫になりたい 君を大丈夫にしたいんじゃない 君にとっての大丈夫に―」
ここは確かにしんどかった。少し上がるところはさすがにかすれ気味になったがそれでもパワーで押し切る。
「なーりたーい」
ラストは、自分で納得のいくまで伸ばし倒し、大きく深呼吸する。
歌いきった。私は絶対「大丈夫」は涙まみれになるだろうと思っていた。感情の発露なしで歌いきるなどできるわけない、と思っていたからだ。だが、やはり決意が上回ったのだろう。歌いきり、後奏が流れる中で少しだけ当方はぐずった。だが、これで終わりではない。最後の「愛にできることはまだあるかい」を歌わねばならないからだ。

そして私は少しだけ油断していた。
「何もない僕たちになぜ夢を見させたか」からの一連の歌詞のあたり。ここで少しだけ涙声になってしまう。ここだけはちょっとだけやらかしてしまった部分だった。
「愛にできることはまだあるよ 僕に出来ることはまだあるよ」
すべての歌唱を終える。場内は、拍手だけでなく「ありがとう」や「最高」といった掛け声がいつまでたっても鳴りやまない。もちろん拍手は30秒くらい続いていたと思っている。

こんな作品、そうそうないのではないだろうか?退出前に第二弾パンフレットも購入。フォロワー氏との歓談を終えて帰路についた。