今回の上京は、基本的に東京モーターショーをやっているから、というプライオリティーがなければ発生しないものだった。
2年に一回の車の祭典。最近でこそ車に対する風向きはあまりいいとは言えないのだが、それでも、日本車という一つのブランドが一堂に会し、今後を占う展覧会。車に対する情熱も、10数年前とは比べものにならないほど低下しているが、「義理」で観覧している部分も大きかったりする。

計画を組むさなかにユナイテットシネマ アクアシティお台場での「爆音上映会」の話が入ってくる。ここに「天気の子」がラインアップされているとなったら、行かないという手はない。
しかも、その前段には、「グレイテスト・ショーマン」もセッティングされている。あの!名作を爆音で見れるとは!!
テンションもかなり上がる。

「ワンカラ秋葉原」店を6時過ぎに退出。返す刀で、「富士そば」もりを食し、万全の体制をとる。前日からのメトロ24時間券を目いっぱい使うべく、秋葉原から新橋まで地下鉄で行く。ここからは毎度おなじみのゆりかもめ乗り。当然のようにビッグサイトも経由するから、ということで一日券をゲット。本来なら、東京モーターショーとのセット券を買いたかったが、9時からの発売ということで断念。
お台場海浜公園で下車。7時半過ぎだったこともあり、「やったー」が収められるか、ということで、付近を散策。サントリー本社をバックに一枚パチリ。
8時開館と同時に入場、チケットも、早々に「天気の子」分も買い求める。さすがにウーハーのど真ん前は厳しいと思えたので、やや後ろ目にしておいた。

この映画の開始一秒ほど、上がる作品もあったものではない。20世紀FOXのロゴが一度現れ、そして、二度目に現れた時、大音響のテーマが館内に鳴り響くのだ。怒涛のような足の踏み鳴らし。わずか2分足らずで当方は熱狂の渦に巻き込まれていくのだ。もう体がそこかしこに反応する。
1年半以上ぶりの2回目。だが、依然として「脇役、特に劇団員をもう少し丁寧に描いていたなら100点なのにな」という思いは、今でも変わらない。ミュージカル映画としては金字塔だし、日本でも受けは異常なほど良い。それでも、ストーリーのあまりの無さ、天然すぎる主人公、LGBTを完全に毛嫌いしている世相が今と大して変わらないこと……書くべきことは多岐にわたっているのに、劇団員たちに感情移入できなくさせたのは、正直もったいない。
彼らが腐らずやってこれたのは、バーナムが彼らに”生きる意味”をおしえたから。そしてそれが、最後の大団円、芳醇なラストシーンにもつながっていく。
音楽映画であるからこそ、爆音はまさしく音の洪水に身をゆだねることにもなり、読了感が半端ない。グレショも、重度のリピーターを生んだ映画だったわけだが、私自身が一度だけで終わっていたのは、やはりストーリーの物足りなさが座らせることを拒否したからだと思っている。