11月も終盤を迎えてきた。
「アナと雪の女王2」については、12月回し、つまり、来年の評価対象にした。公開週に当たる11/23・24には、劇場に押し寄せる人波で、正しく評価できるかどうかも定かではなかったからだ。
いや、そもそも当該作を見るかどうかもわからない。後日談のはずなのに「秘密が明かされる」となっている。前作は、一切触れていない(テレビ放映すらスルー)だけに余計だ。

それならば、と、白羽の矢を立てたのが、興行などどこ吹く風、10万人入れば御の字クラスの作品だ。
「フラグタイム」である。「あさがおと加瀬さん。」を上梓したスタッフによる、今回も百合度の高い作品ということで見させてもらった。
館内は15人ほど。一組カップルが見に来た以外は全員ソロ男性。「おっ、これは当方、最高齢か?!」と思いきや、奥に私より年上の御仁を認めて、完敗。平均年齢は30代後半、男女比は言うまでもない。

3分、時間を止められる森谷美鈴。動いている間にしていることといえば、直前に関わろうとしている生徒から逃げるため、そして、気になっている村上遥をストーキングすること……だが、実は村上にだけは、止めた時間の”魔法”が効かないのだ。森谷はちょうど村上の下着に興味津々だったから、たまらない。
このことをきっかけに二人の仲は徐々に進行していく。初デートでは、別れた元カレにいたずらするまでに。どんどん仲はよくなっていくのだが、それは、お互いの不可侵な領域にまで達していく。
八方美人な村上は、それしかすることができず、自分を確立できていない。かたや森谷は、いつまでたっても引っ込み思案のまま。二人が思いをさらけだすラストシーンは、やや強引に映ったものの、それでも二人がこれからもひかれあっていくことは間違いないと高らかに宣言する。

得点は、そういうわけでぎりっぎり90点までとした。
平易に時間だけが過ぎる序盤からきっちり中だるみした中盤、後半の畳みかける演出は、単発ものとしてみても、半ば仕方ないのかな、と思わざるを得ない。何しろ、二人でストーリーを作らないといけないうえに、どちらが核になるのか、をうまく表現できているとは思えなかったからだ。
「あさがおと加瀬さん。」の利点は、タチとウケがはっきり描かれているところが大きい。だから、ストーリーがそれほど太くなくても、キャラクターで持っていける。ところが本作は、二人が二人とも、それほど魅力的に描かれているわけではない。ググっと成長している風でもなく、ひかれあう理由付けもどうにも中途半端だったりする。

大傑作ではないし、駄作/失敗作とも評せないけれど、もう少し何とかならなかったのかな、とは思っている。