2016年から2017年中ごろまで、当方の鑑賞記録は「君の名は。」一色に彩られる。
そもそも、今まで複数回観た作品も皆無で、しかも月に一回は必ず劇場に行くという習慣めいたものまでできてしまう。
11月前後から、興行成績にも興味を持つようになっていく。そして、明けて2017年。今まで一度もしたことのない元日鑑賞もしてしまうのだが、このあたりで当方の君縄ブームは頂点に達する。

2017年のGW以後、上映する館も減り気味になり、しかし、劇場に向かう足取りは止めることなく続いていく。
そして、私は、アメリカのチャット「Discord」でこの作品を紹介される。正確には「この作品、売れると思います?」という提示だったように思う。
→今やこの作品を知ったことがスクリーンに座り続けることを決めた一作になったと思っている。予告編はこちら。

あれだけ映画館で見ていたにもかかわらず、劇場で予告を見た記憶がなかったこの作品。しかし、本編を見て驚きを隠せなかった。
声優ユニットとして活動を開始したNow On Airのデビュー作にして、全員がそのキャラを存分に生かした作劇で、「これがデビュー作か?!」と正直思ったほど。 キャラデザ原案には、「ひそまそ」でもその名が知られることになる青木俊直氏、キャラデザには「からかい上手の高木さん」の高野綾氏を、音楽には、「響け!ユーフォニアム」でも担当した松田彬人氏を起用。
ストーリーは、高二の多感な時期を迎えた幼馴染4人の元にやってくる一人のいわくありげな少女と、彼女たちの「ラジオを作る」ことに共感する二人の掛け合いによるひと夏の想い出が軸になっているのだが、ストーリー上の8月31日、寺の境内で催される最初で最後の"コンサート"がここまでの感動を呼ぶとは思いもよらなかった。

製作はMADHOUSE。のちの「若おかみ」「ノゲノラゼロ」「よりもい」などを作ったスタジオであり、その昔で言えば「YAWARA!」といった名作も手掛けているほど。その安定した作風と、湘南の街並みの見事なマッチングがこの作品を下支えしている。

これほどの作品を見ておきながら、一向に動員が伸びないまま。おそらく劇場公開確定実績は数万人/金額的に億いっているかいないかくらいだろう。
私は臍を噛む。「ここまでの作品なのにどうして見てもらえないのか……」。そこからの私の活動は決まったも同然だった。
映画はダメでも、メンバーはずっと推せるではないか!!だから当方は可能な限り彼女たちを追い続けることにしたのだ。ロケ地にもなったバーでのミニライブ、初アルバムを引っ提げてのファーストワンマンライブにもはせ参じた。

そこまでさせたのは、主役でもあった行合なぎさ役の片平美那嬢の泣きの演技があるからである。決してうまくはない。しかし、「伝わる」のだ。初見で私はこの操演につかまされた。それはそこになぎさがいると認識できたからでもある。
これから何十本もアニメ映画は見ていくことになるだろうが、「忘れ得ぬ一本」としてこの作品は記憶に留まることは間違いない。