6月最終週の新作は「ソニック・ザ・ムービー」と「ランボーラストブラッド」がメインである。
本当なら、この日曜日にどちらかを見ておくべきだっただろうが、天気の子一本だけで満足してしまい、結局サービスデー待ちとなった。
特にハズレを考えていたソニックが意外に一般受けしているように見受けられた。「ウム、これも見た方がいいか」となったが、ここはランボーを先行してみることにした。

ランボーシリーズといえば、大国を向こうに回し孤独な戦いを強いられるという設定がメインだったし、その殺し方も派手派手しいものは鳴りを潜めていた。
なので、冒頭のボランティアとして活躍する部分というのは「これまでの実績」を垣間見させることにしたんだろうなと思わせる。ここが大きな伏線とかになるのかな、と思ったけど、それは一切なかった。
実の娘のように育てたガブリエラのメキシコ行きは、フラグだった。世の中を知らなさ過ぎたガブリエラのあられもない姿は彼女が過ごした地獄の4日間を想起するだけで胸が痛くなる。そしてそれは、同時にランボーを復讐の鬼へと変貌させる。
後半の30分。「飛んで火に入る」人身売買カルテルたちの殺され方は、いずれも苛烈そのものだ。トラップに引っかかる→ご丁寧にトドメ、というパターンも幾たびか。ジャングルでのゲリラ戦をお得意としている元ベトナム帰還兵の面目躍如といったところである。自身も被弾するが、ロッキングチェアまではたどり着いてエンドロールとなった。

得点は……84点どまりとなった。
せっかくの脇役たちがほぼ空気だったのには閉口する。特に瀕死のランボーを助けたフリージャーナリストも、もとはといえば自分の妹をカルテルに殺されたから。でも手は貸せない、という。ガブリエラを取り戻し準備をするだけしてメキシコに舞い戻った彼と彼女のツーショットは、失うもののないランボーの説得が彼女にどこまで響いたかを描き切れていない。
ガブリエラの産みの父親が、それほどクズでなかったところも弱い。父親がそれこそ売り飛ばしたとかなら、かなりポイントは高いのだが、すぐさまストーリーと関係なくなるのもいただけない。実質的に手引きしたガブリエラの友人の方がむしろクズだろう(去就もわからずじまい)。
かようなわけで、ストーリーは重厚にできるわけもなく、クライマックスに至る前段階という意味合いでしかない。そこにインサートされる、メキシコという国の乱れた風情を現実のように描いてしまった(警察と自動小銃持ったマフィアの同居する絵面は異次元)功罪というものはこの作品を評価する上でも延々と語り継がれてしまうのではないかと危惧することしきりである。
名優・スタローン氏も74歳。ぼそぼそとしかしゃべれないセリフに演技そのものに不安しか覚えない。監督という器ではないけれど、そろそろ第一線から引退という二文字が現実味を帯びてきていると思う。