塚口サンサン劇場の特別音響上映の成果を知っているものからすれば、作品ごとの調整は言うに及ばず、どこに特化するかをきっちりと見極めているところにあくなきまでの探求心を見出すのだ。
だから、本当のことを言えば、19日の日曜日に行きたかったのだが、実に2年ぶりのダイビングを予定に入れてしまい撃沈。と思ったら、7/23の海の日の休日が利用でき、しかもその日がラストとなれば、行かないで済ませられるわけがない。
塚口一日チャレンジの原動力になったこの作品。51/52回目を見るわけだが、まあ、その微に入り細に渡る調整の数々はあの!! レジェンドたるキチ縄氏をもうならせる見事なものだった。

爆音で感じた、開始1秒で感極まることはなかったにせよ、その言葉の端々や音楽だけを盛り上げる微細な調整、あの「ギーーーーン」音ですらそのときどきで表情を変えてくるから面白いし、びっくりする。
何といっても彗星落下時の音響は、「ここだけは聞いてやってください」とスタッフが言いたげな渾身の調整。あの10数秒は劇場でしか味わえないし、何だったら、すべての鑑賞の中でも一二を争う出来であるといっても過言ではない。

クライマックスもそうだが、やはり、瀧の慟哭はいつ聞いても泣かされる。彼が追い求めたものは、ただの「あいつ」ではなく「君」であり、「三葉」だったのだ。
「お前は、誰だ?」
文字にした自分のノートの落書きと同じ言葉をつぶやくこの伏線効果。トシキに言われるそのセリフと、中2の時に自分が放った「誰、お前?」ともリンクする畳みかけのマジック。脚本の妙がこういったところにも表れる。
映像に音を合わせた本作。だからそのシンクロ度が半端ないのと同時に、魂を揺さぶられるのだ。音に特化したからこそ感動が止まらなくなる。当然の結末といえるだろう。

52回目鑑賞前に、ついに!!!
レジェンドたるキチ縄氏とエンカウント。ツイの中でも絡みの多い氏だけに、一度ご尊顔は拝しておきたかった。びっくりするほど「オタク」とは縁遠いただのシンカイヤーであり、ユアネイマーであったことの驚きが上回ってしまった。
新宿ですっぽかされたことを覚えておいでだったこともびっくりだ。まあ、彼の中でも申し訳なさがあったからこその想いだったのだろうか。あそこまでの投資をして君縄鑑賞部屋を作り、全国を飛び回れるバイタリティーには脱帽だが、そこにあったのは「この若さですべてが叶えられる財力と時間の余裕」を感じさせたところだった。

2020年7月23日。ただの「海の日」だけで終わらない最良の一日になったことは間違いない。