私の鑑賞記録は、実に180本近くになっている。2016.10.1〜のほぼ4年間でここまで作品に触れてきたのだ。
その中にあって、感動したり、はたまた感じ入ったりする作品というのは上位2割ほど。それ以外は、何とはなしに感じてしまったり、もっとひどいと「金返せ」レベルの駄作だったりする。
そう。そんな「駄作」は年に数本レベルだ。実際、今年に関して言えば、そこまでひどい作品は、洋邦共に経験していない。2019年だと「喜望峰」とか「ちいさな英雄」あたりがその立ち位置にいるわけだが、これから本数を見ていくごとにこうした外れに出会ってしまう確率も上がってくるだろう。

2020.8.2。実はかなりはまらないまま終わってしまった映画が出てきてしまった。それが「君が世界のはじまり」である。久しぶりのシネ・リーブルには、恐らく松本穂香嬢の演技を見に来たのだろう、男性ソロ10数人、女性数名、カップル一組が参集した。平均年齢は30代後半から40代前半。
「のぼる」「はしの方」と、高校生の青春物が続いたこともあるのだが、この作品は、男女6人の高3の群像劇という体裁をとった。
秀才であるにもかかわらず、弩底辺な生徒と関わるえん(縁と書いて、ゆかりと読むのが正しいのだが)、学校はさぼり気味、抜け出してはタバコを吸いまくるスナック経営者の母を持つ琴子、父親が母親の真似事を拗らせたために父に対して反感しかもたない純、後妻とよろしくやっている伊尾、精神を患った父親と住む業平、サッカーに勤しむ岡田の、男女が絡み合う設定。
冒頭高校生が父親を殺すというショッキングなシーンから始まるので、こうした登場人物の誰かがやっちまうのかな、と思ったのだが、まったくストーリー上も絡みもないフジノという生徒がやらかしたもの、というネタバレがあって、当方もがっかりすることしきりである。
誰かが殺るにせよ、映像までにする必要性がない(事実だけの提示)からである。登場人物の誰か……特に父に対して敵意すら持っている純、頭のイカレタ父を楽にさせたい業平、後妻のために産みの父が邪魔になる伊尾と言った動機のあるものがいるのに彼らが手を下していないからだ。
それが一つのスイッチになったことは否めないものの、ショッピングモールで雨宿りするこの5人は、正直やんちゃが過ぎていた。トイレットペーパーを投げまくるわ、勝手に演奏し始めたりするわ。折角のブルーハーツの楽曲も生かされているとは思えない。
ただ、個別の演技、という部分で言えば、概ね及第点である。松本穂香嬢の更なる飛躍を遂げた一本になったことは間違いないし、その他の若手もそれなりに頑張っていたように感じる。
オーラスの琴子と縁のチェイスシーンは、もっともっと大胆なエンディングになるかと思ったが、そこまでではなくあっさりしたものになっていることもあり、大きく評価を上げるには至らなかった。

得点は、久しぶりの85点。どうにもストーリーに乗れなかったところが大きく点を伸ばせない一因になっている。
「アルプススタンドのはしの方」でも問題視した、関西でロケーションしていないという決定的な部分についてはやはり異を唱えたい。関西弁であることの必要性と舞台とがマッチングしないからだ。原作踏襲とするなら、予算がかかっても現地で撮るべきだったし、関西特有の「ソース」っぽい臭いとかが伝わりにくく感じるのだ。これ見よがしに家族団らんにはお好み焼きだらけが登場するのだが、これも関西圏を一種バカにしている表現といえなくもない(きつねうどんとか、そばめしとか、他のジャンクフードも出すべきだろう)。
語る材料・カップルが多すぎて、とっちらかった感じも受けた。縁と琴子だけに絞るとか、やりようもあっただろうに、どうにもまとまりを感じられなかった。純と親父の和解シーンだけは数少ない救いのあったシーンだった。