ダイビングを扱った作品は、そのほとんどが、パニックものであり(公開中の海底47mなんかまさにそう)よくて登場人物がショップ務め、とか、趣味の範疇で描かれることどまりだ。
「彼女が水着に着替えたら」も、確かにダイビングが印象的なシーンとして特に後半際立ってくるが、初心者レベルの話を扱ったものではない。
当方もようやく3桁本数のまだまだヒヨッコダイバーなのだが、大学生活の根幹をなすクラブ活動に、ダイビングサークルを選んだ際に、どうなるのか、という部分はすごく興味があった。
朝一の上映回に勇躍乗り込むのだが、8人足らずという体たらく。ただ、当方が最高齢を記録。20代女子がキャーワー言う姿を期待したのに残念である。

オープニングからしばらくは、主人公である伊織の素っ裸シーン。何日も同じことの繰り返し、なのだが、これは、ただ単に、毎日酔っ払って記憶を毎日飛ばしているだけ、と気が付けば、毎日の落書きの変遷も、妙になれた演技も気にならなくなってくる。毎日、同じ仕掛けをやってくれた先輩方、ご苦労様です。
サークルがメインの(収入源が見えにくいのは、あえて省略したのかな?)ダイブショップ「Grand Blue」。そしてダイビングサークル「Peek-a-Boo」。伊織と耕平はなぜか有無を言わせず新入部員とさせられてしまう。とはいえ、このうちに住んでいる姉妹(伊織にすれば義兄弟らしい)の美形ぶりで何とか画面崩壊だけは避けられている。
そしていよいよ二人のダイビング講習が始まる。実は、ここは見逃し厳禁な箇所である。ダイビングは二人一組。一人の緊急事態に対処できる「バディ(相方)」という関係があるから、そしてお互いを信頼できるからこの趣味は海中、空気なしという環境下でも成立するのである。そこを熱く語る先輩部員。泣くまでには至らないが、ここでつかまれた人もいただろう。
伊織はカナヅチで水慣れの時点でパニック。これもダイビングあるあるである。この後、実際の「講習風景」が展開するのだが、そのどれもが「あー、こんなことやったやった」な感覚を思い起こさせる。
後半からの展開は少しだけ伏線を張ってあったところが面白かったし、何といっても閉鎖的/離島ならではのムラ社会が機能した結果の脱出劇失敗は、実は二人の命を救っていることにもなる(マジレスすると、潜行すれば潮の流れは影響しないが、タンクの中の空気はもって一時間程度。泳ぎ切れる距離ではなかったのだ)。
ラストシーンをどう納めるのかは一番の関心事だったが、幼少時期の伊織が、その言葉を知っている・書いていることに驚愕する。まあ、同じ屋根の下の、彼らにとっては大きな先輩が、夜な夜なあんな乱痴気騒ぎをしていたとすれば、その言葉を覚えてしまっていても不思議はない。だから、意表を突かれたし、その後のエンディングにもキレイにつながり、大団円を迎えられたのだ。

得点は、「よく頑張りました」も含めて90点とする。
ダイビングは、海中で活動はするが危険なスポーツ・趣味ではない。基本をしっかり押さえておけば、伊織ではないが、空中遊泳でもしているかのような感覚にとらわれる。大学のサークルゆえ「自分の器材は自分で買え」になっている部分がやや減点かな、とは思うが、そういった経済的代償を支払ってでもあの「ぐらんぶる」を味わえるのだ。裸満載、こんな設定見たことないわけだが、なかなかどうして、しっかりサークル映画になっているところは侮れない。