想定以上でも以下でもなかった「南極料理人」を終える。
そして大本命のこの映画である。
→予告編だけでもドゾー


さて、私の第一評はこちらである

このときの得点は93点。
実はいろいろと細かい減点が積み重なってのものだった。
ただ、「いい作品なのに入らない」事態に忸怩たる思いでいた。だから、トリウッドの異常と言えるロングランの最終上映、公開一周年の応援上映、2019年のアニメーション映画特集を組んだトリウッドで二回、と、詰める時は是が非でも見に行く体になってしまっている。

その原動力はどこから来るのか?ひとえに終盤の、なぎさの号泣シーンがあるからだ、と断言する。
そして「音楽の力は偉大ですっ!」(あやめ)を体現したあのクライマックスシーンの持つ破壊力。歌詞に意味を乙葉があそこまで込められるのだ。
大須シネマが一種の「キミコエ聖地」になるかどうかはわからない。だけど、3年前公開され大ヒットに程遠い映画に12人も参集するのだ。
日曜日なので、関係者が来るかと思いきや誰も来ず。もちろん正装は私だけ。しかしこの作品だけは襟を正して見るしかないのだ。

この作品で唯一うまく御せていないと感じているのはなぎさと紫音のファーストコンタクトのあとの二人の会話である。
基本聞き役のなぎさだが、彼女に不法侵入したこと、ラジオを勝手に動かしたことの罪の意識を感じにくいのだ。また、腹を立てた紫音の深層もつかみにくい。もっとうまいやり方もあったとは感じているが、枝葉末節にまで手当てするほどでもない(本筋と違う)という感覚なのだろうか?
でも、だから93点なのに当方の胸を劈くのだと思う。この作品より「上手に」描いている作品は五万とある。それでも私の心をとらえて離さないのは、やはりNOWONAIRの初々しさと、しっかりとしたキャラクター造成、なにより一切手抜きを感じられない演技がそこにあるからだと思う。

「Wishes Come True」の破壊力にまたしても打ちのめされ、「キボウノカケラ」で前を向けるクロージングの凄さ。ツイッターでは「一生、全身全霊をもってこの作品を推していく」とまで宣言させたのだ。特別な一本。これが見つかっただけでも、映画鑑賞を趣味にできてよかったと思っている。