8月末にも見て、わずか1日置いて、映画を見てしまう。
そんな体になってしまった。
もちろん「記録」という側面もあるにはあるが、それとこれとは話も変わってくる。

見たい映画はやっておらず(青痛脆、は未鑑賞決定)、結局それほど話題にもなっていない洋画にターゲットを絞った。
健康診断は拍子抜けするほど簡単に終わり、向かうは久しぶりの西宮OS。ファーストデーとは言いながら、言うほど混雑していない平日・昼下がりの劇場はいつぶりだろうか?

館内は、言うほど客も集まらず、10人そこそこ。平均は50代後半。社会派映画ってやっぱり動員にてこずる。

それでも、初見では91点で、駄作判定はきれいに逃れる。
国家に反旗を翻す、秘密をリークする。この手のクライムサスペンス系の作品は、命を狙われるとか、激しくチェイスするとか、そういう演出がつきものだと感じていたが、この作品にはそこまでの激しさはない。むしろ、粛々と、派手にすることを拒絶しているかのような丁寧な描写に徹している。
見所は、主人公のキャサリンのその時々の心情がうまく表現されていることだ。リーク文書を印刷するドキドキ感、報道されない苛立ち、報道から仲間に疑いがかかることへの後ろめたさ、名乗り出る決意、刑事にも持論を曲げない取り調べ、だけれど移民である夫にまで伸びる司直の手。それが揺るぎない訴訟への道を切り開くのだから、面白い。自分の義憤やおかしいということに声を上げることに正義感が生まれていく過程も見どころだ。
ラストの判決シーンは、結構拍子抜けする。無理もない。検察が有罪の立証をしないと言い始めたからだ。彼女が有罪になる要件はすなわち政府の戦争犯罪をも裁くことになるから、相殺される、という謎理論が適用される展開。リーク自体も無罪になるというウルトラCには少しだけ違和感を感じている。
勝利した弁護士と、検察側に立った検事が釣り場で対峙するシーンで終わるのだが、それまでの友好関係が一言で破壊される強烈なインパクトを植え付けて物語は終わる。このラストはある意味衝撃的だった。

2000年代、国家機密が、いとも簡単に流出する時代背景があるとはいえ、その謎文書に真摯に向き合うマスコミ・ジャーナリストがいたことは特筆に値する。しかもどちらかというと政権側に付いていた報道機関が反旗を翻すのだから、痛快ですらある。劣化して批判だらけの日本のマスゴミは、ロクに取材もできなくなっている現状をどうにかしないといけないと、この映画でも見て猛省してもらいたい。
当時としては珍しい、闘う女性というトレンドもしっかりつかんでいたと思う。女性が告白者になる展開はこうしたリークものでは珍しくないのだが、この作品の女性の強さは特別だ。だから、見ていられたのだと思う。