久し振りに、封切日に見たいと思った作品が出てきた。
それが『「はたらく細胞!!」最強の敵、再び。体の中は“腸”大騒ぎ!』だった。
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深夜放送のアニメーションで、全話完走したのは、本当に久しぶり(オンタイムは不可能な時間帯ながら、完走はマジ久しぶり)。レギュラーキャラクターが全員立っているのみならず、知識としても役に立つのだから、見ないという選択肢がない。
何といっても「あのね、あのね」でめった刺しにされてしまった51歳男性だから、仕方ない。
→血小板ちゃん、てんこ盛りwww


だから、というわけではないが、2期スタートは本当にご褒美以外の何物でもない。
その露払い的な内容か、と小躍りしたのだが(要するに完全新作エピソード)、実は、この劇場版自体がテレビ放送分の再編集版……2期の先取り作とわかって少しげんなりしてしまったのだった。
それでもその情報を知ってか知らずか、20人余りがレイト回ながら参集する。男性声優のファンと思しき女性ペアが多く男女比はやや女性優位。平均年齢は30代前半となった。

ストーリーは、図らずも乳酸菌の子供と関係を持った一般細胞と、同じくその一般細胞に関わるレギュラー陣が、以前死闘を繰り広げ、倒したかに見えたがん細胞とも対峙を余儀なくされる、というものだ。原作を踏襲しているようであり、単行本5巻の内容なのだそうだ。
乳酸菌パートは、正直言っていろいろと気付きもあるし、コメディ部分も含めてかなり手数が入っていると感じられた。型の違うインフルエンザウィルスに苦闘するさまは、現在のコロナウィルスに身体がどう反応しているか、を如実に提示するうまいやり方をしている。
ところが、がん細胞とのバトルを含めた含蓄・理論の戦わせの部分がいただけない。全員が饒舌すぎるしひたすらくどい。さらに言えば、バトル下って言う感じのしないセリフ回しで、臨場感もなにもあったものではない。この時点で「劇場版とするには迫力が足りないな」と感じたのは、この作品が「あ、テレビサイズの再編集版だからか」と気が付く端緒にもなっている。

得点は、そこまで推したのに、がっかり感と、それでも一本の映画にはなっている葛藤もあり、91点とギリギリの評価にとどまった。

一応、今回のクライマックスであるがん細胞とのバトルに、一期・7話では邪魔しなかった制御性T細胞ががん細胞側に立って、免疫系の攻撃から防御する立場をとるのだが、一期を知っているものからすると「なぜ同じ立場をとらないのか?」と疑問が湧いてきてもおかしくない。
何より、がん細胞がここまで暴れている状況は、相当に進行していると思われるのだが、外的援助なく体内の免疫系だけですべてが片付いていることに違和感を覚える。身体にも変化があってしかるべきなのだ。ステージ2クラスの病状が出ていてもおかしくなく、そうであるならば「退治する」のに体内組織だけでは攻撃力が不十分といわざるを得ない。投薬や放射線治療などががん細胞にどういう効果があるなどの記述があるならよかったのだが、今回も免疫系が処分した格好になっている。
映画のいいたいことはズバリ、「乳酸菌とって、腸内環境を整えましょう」以上でも以下でもない。そりゃそうだ。テレビ版の内容をやや伸ばした劇場版なのだから。
完全新作/別エピソードでないな、とは薄々感づいていたが実際知ってしまうと、「あーあ」となってしまった。ウム。残った前売り券は早々に消費するしかないか……