日曜日=映画鑑賞、という流れはここ最近止まっていない。
それは3連休(土曜含めれば4連休)の初日といえる日曜日であっても例外ではない。

実は、実写とアニメーションが競作する映画、というのは、普通ならそれ相応に間隔をあけてやるものなのだが、「思い、思われ、ふり、ふられ」に関しては実写8月、アニメ9月とちょうど一か月ずれにして公開に踏み切った。
「あー、実写もよかったねえ」「いや、アニメこそ至高」となるようなレビュー業界の意見の散見ぶりを見たかったのか、それとも「一気だし」で顧客の囲い込みをしようと思ったか?
しかし、実写はほどほどの動員をなし得たものの、アニメ版は、東宝製作であるにもかかわらず、「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」の公開と見事にバッティング。この4連休で書き入れないといけない流れなのにまったく振るわない動員・スタートダッシュとなった(ドラえもんにまで負けているので、ほぼ爆死レベル)。

「あー、それならつまらないのかな」
とはならなくなったのが今の私だ。予告から漂う、高一の男女の織りなす4人の告白合戦。これがストレートに表現されているのではないか、というのが見立てであった。
勇躍、OSシネマズ神戸ハーバーランドに朝一で突撃。館内は、他の動員かかっている作品を尻目に公開末期か、と思えるくらいの入れ込み。女性優位になることは決まったも同然だったが、意外なことに家族連れが入ってきたのだ。ぎりぎり10名越え、当方が最高齢、平均年齢は30代前半と推定する。

原作未見、実写が初めて、という映像化に当たって、この作品のオープニングで「あ、こっちの方が好みかも」となった。まず、主人公というか、目線は由奈なのだ。彼女の人となりが実写版より多く語られる。ここが実写版との違いである。
ここが違うとどうなるのか、というと、義理ながら兄弟・家族メインで考えている朱里より、恋愛事始め的なことだけに傾注する、キュンキュンする、と言ったほんわかした由奈ばかりが目立つのだ。
もちろん、原作に内包されているであろうイベントごとはほどほどに網羅されている。「ノリ」でキスするシーンとか、高架下での告白とか。だけれども最も特筆すべきは、由奈と朱里の関係性がものすごく言われているところにある。
この二人が軸になって、男性陣が添え物/脇に徹したことであちこち飛ばなくなっていく。ここも実写との大きな違いだ。実写が「家族との結びつき」にとかく言及しているのに対して、本作は、「家族より友人関係」と、比重を明らかに変えていることだ。その結果、全員のキャラの方向性が見ていくうちに定まっていく。特に由奈の成長度合いは、この作品でも感じられる。
ラストシーンを、公園で見つめる4人で〆た実写の演出より、何気ない登校風景で〆たアニメ版の方に納得感が大きくでる。実写で謳われていた引っ越しとかの記述も取り入れなかった(オリジナルではないみたいだけど)のもストーリーを薄めなかった。

得点は、「やはり予告を信じて良かった」の想いもあり、94点と高評価である。
実写では、兄弟として北村拓海・浜辺美波という「キミスイ」コンビを使った。もちろん、ドラマとしての彼らの起用は成功している。だが、快活であるべき北村演じる理央がどうにも暗く感じたのだ。また、同じ男性陣で、和臣の家族の無理解(あれだけそろえた映像ソフトを全部捨てるなんて、信じられない)も特筆すべき点だ。
家族関係を描きすぎて(彼らベテランクラスにもギャラは出ているからかな?)4人の人物描写が薄く感じた実写より、4人にできるだけ寄り添ったアニメーション版の方が、確実に原作から漂う風味というものを感じられる。なにより、漫画・アニメチックな表現が使えるからそこだけでも山谷が作れる。アニメ適な原作であり、はまるのは間違いなくアニメ版だと理解できるはずである。
描き方ひとつで良作にも凡作にもなる。アニメ向きの原作は、どうしても実写では描き切れないところが出てくるのは仕方ない、と割り切るべきなんだろう。エンドロールで、実写に登場した4人がクレジットされていたのだがガヤで出ていたのだろうか?