公開初日。ファンの渇望感も含めて、見事動員一位を獲得した「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」の劇場版。完結編=大団円、と思っていた層はかなりいたはずだが、ここまで我々に「あいしてる」を植え付けさせた作品もあったものではない。

しかし、私はすべての前提条件がこの着地であることに驚愕としている。そして、より多くの人が彼女の実年齢に触れて驚愕するに違いない。彼女がドールを引退したのは……

「18歳」であることに。

そう。ストーリーのプロットとしては、先の大戦から4年程度のお話だったのだ。ヴァイオレット自体がかなり高年齢(20代前半)なキャラ造成になっていることが要因なのだが、この「18歳」のありのままをアニメ版でもどのシーンでもひけらかすことはなかった。
唯一それが感じられるのが、外伝の映画である。同年代のイザベラの元に家庭教師として赴任するヴァイオレットに、3カ月という同じ屋根の下で生活するということを通じて初めての「ともだち」を得るのだ。ただ、家庭教師、という響きが彼女を大人に誤認させる。その術中にはまってしまったのだった。もちろん外伝の方がこの劇場版より前の話であるべきなので、郵便社を円満退社したのが18歳とするなら、イザベラとほぼ同年代ということは理解できる。
ところがテイラー編が私を惑わせる。ストーリー上何年経ったとかは言われないのだが、「イザベラの元に家庭教師に行ってからテイラーに逢うまで」最大4年しかないのだ。
WIKIの記述では、「イザベラ(エイミー)に家庭教師に行ってから3年後」となっているので、何とかギリギリつじつまは合う。そうなると、テレビ本編は、凄く気ぜわしい時間経過になっているものと思われる。
映画の方は、どこをどう切り取っても泣ける演出だらけである。言葉にならない最後の邂逅のシーンは、ここ10数年のアニメーションのクライマックスシーンの中でも突出した出来になっている(瀧三は越えてませんけどねw)。
かくして2回目を終える。満席とまでは至らなかったが、カップル/ペアが大挙して押し寄せた。この部分でも初日の入れ込みとは全く様相が異なっている。これからの腰の強い興行を期待したい。