また、始まってしまった……
「一作品のことしか考えられない」病が……

「君の名は。」「天気の子」「若おかみは小学生!」「ヴァイオレットエヴァーガーデン外伝」「きみの声をとどけたい」……複数回、それも一般の人から見たら「アホちゃうか」といえる回数鑑賞させられる作品はそうそう出てこない。よくて年に一本程度だ。

そしてここまで、それほどどぎつく心に憑りつく作品は正直言って見なくて済んでいた。だが、やはり、この作品は何もかもが違っていた。
そこにあるのは、ヴァイオレットの持つ、いわば負の感情(表現できないだけで本来持っている人間の感情)があの瞬間に昇華し、逢うことによってすべてをまるくおさめる=彼女の「しあわせ」がようやく具現化することに涙するのである。追い求めていた彼に逢えて初めて、彼女の”心の旅”は完遂するのである。

3回目もOSシネマズ神戸ハーバーランドの朝イチ回。だが、観客の構成が初日とはうって変わった。
女性ペアの大量発生である。初日(ナイト回)はソロ男性だらけ/男女比も3:1くらいだったのが、男女比だけなら1:1にまで伸長したのだ。女性の観客を獲得し始めたのは大きい。確実に彼女たちは拡散してくれるからである。平均年齢も30代前半と、20代や10代後半客の比率の高さが平均年齢を押し下げている。

回数見るごとに、この作品の恐ろしいまでの表現方法の数々に見入る。開始一秒。振り子時計からクウォーツ時計に音を移行して表現することで、瞬時に時代を飛ばす。それだけではない。ラスト直前。同じ道を歩くヴァイオレットを映像(それを見ている観客)は上空から抜き去る。彼女が過去のものになったことの暗喩であると同時に「歩いていく」先のほの暗さとともに「何かがあるその先」を追い求める京アニの意志というものを感じ取る。燃えて一時は何もなくなったかに見えた会社は、それでも歩みを止めない、と読めるのだ。これが感動しないわけがなかろう。

3回は観た。だが、絶妙のタイミングで流れる「みちしるべ」の破壊力にしてやられている。
→公式pvはこちら。もちろん、現在の号泣ソングの筆頭だ。

テレビ版を見た時はそれほどでもなかったこの曲。この映画版でその真価が発揮された時にえも言われる感動と彼女のこれまでが一気にフラッシュバックする。この一瞬のために彼女は「あいしてる」を追い求めていたのだ。

もう一曲の「WILL」も名曲だ。朗々と歌える曲に出会えたので、これも十八番化決定である。
さて、久しぶりの「考察」案件なので、そろそろとこの作品も語っていくことにする。