緊急事態宣言は延長されることになったが、形骸化しつつある。
土日の劇場閉鎖は大阪では続行する模様だが、平日の営業時間が21時まで、となれば、なんとか仕事終わりの鑑賞が可能になる。
マイシネコンのosシネマズ神戸ハーバーランドも同等の扱いで営業を再開する。
久し振りに赴いたその先にあるべき発券機が、リニューアルされているのだ。
結論から言うと、上級感のなくなった紙質に、TOHO系で使われているような横長ロール紙が使われているようで、残念ながらデグレードと判断させてもらう。

館内だが、やはり「待ちわびていた」と思われる浜辺美波嬢のファンらしい人たちを中心に10数名。最大の8番をあてがってもらった割には活況を呈するところまでは至らなかった。
第一作「賭ケグルイ」は、どちらかというと顔見世に近い作りになっていた。そもそもテレビドラマのスピンオフ的な立ち位置ということもあり、「売れたら続編作っちゃおうかな」な出来栄えでもあった。
結果的に本作が生まれることができるくらいにヒットはしたわけだが、その最大の功労者は、主役を張る夢子役・浜辺美波嬢を置いてほかにはいないのではないかとさえ思う。特に今回は、なぜか飛び出した赤ちゃん言葉の破壊力にしてやられている男性諸兄も多いのではなかろうか?
生徒会の策動が、真玄召喚につながり、夢子の周辺の友人たちを蝕んでいく。この導入部分のドキドキ感は以後のストーリーに大きなプラスをもたらす。
今回採用されたギャンブルは3つ。早乙女は結局風前の灯火の奴隷の命の前に屈服するわけだが、あそこであえて負けを認める必要性があったのか、どうか……
そして真玄と夢子の直接対決は、優位に進めながら、結果的に夢子の敗北となる。この展開は初見組を大いに驚かせてくれるはずだ。
だが、ここからの真玄の失速ぶりは目を覆う。自分が生徒会トップになってしまったがゆえに、夢子の挑戦をはねのけられない、ラストギャンブルでも銃弾の去就に疑心暗鬼になり醜態をさらす。最後の一発は放たれ、「だからつまらない」と一刀両断されるありさま。そして今回も、夢子は最終的に勝利を収めず元の生活を取り戻しただけにとどまった。

得点は、序盤の大げさぶりと裏腹に、イカサマ同然のラストギャンブルのチートぶりに再考を促す意味もあって、89点と、90点台ゲットとはならなかった。だが、この作品の本当の衝撃は、ラスト前の矢継ぎ早に謳われる演出の数々だ。
彼を引き寄せたものたちも粛清されて大団円、と思いきや、三戸なつめの「つづく?」が最もインパクトが強かった。さらに、生徒会長・桃喰綺羅莉の一族が夢子と対峙するラストカットは、「続編作る気満々やん」となって少し引いてしまった。
私的に不満だったのは、矢本悠馬が全く活躍してくれなかったこと。なんだよ、最後のシーンだけ、特別出演みたいな立ち位置の出方は……って、まさかまさかの、続編では重要人物に格上げなのか?
世界観の重々しさ、ひりひりするような緊張感。色遣いもビビッドに統一され、これぞ英節がさく裂した一本だった。ちょっぴり続編には期待したい。