多趣味・マツキヨの落書き帳

2013年(平成25年/皇紀2673年)1月、タイトル含めて大幅刷新いたしました。 現在、ダイエー店舗訪問記録/映画鑑賞記/即席麺試食記/ラーメン店訪問記がメイン記事となっております。画像/引用/リンク等は、ご随意に。

レポート

2020.10.23 合わないんかな? 「朝が来る」鑑賞記

海外での評価が高い川瀬監督なのだが、どうにも小規模公開だったり、自分とスケジュールが合わなかったりで、ようやく初対面と相成った。
関西では一定の知名度もある、映画通の某氏も結構推してくれた作品であるだけに、監督の有名度も含めて、結構事前評価は上がっていた。なにより、予告編での「あなたは生みの母ではない」と諭すシーンに少しだけ疑念を抱かざるを得なかった。この女性は何者なのか?がこの作品のテーマのようにも思えたからだ。

それでも館内の閑散ぶりは、「鬼滅の刃」の入れ込みの前にはいかんともしがたい。監督作の初日だから、とはせ参じたようなファンくらいしか見られず、10人強。男女はやや女性有利、平均は50代前半とする。

正直、海外で評価されるってことは、玄人衆には受けがいいのかな、と思っていたのだが、その半ば当て推量はオープニングとともに分かった。タイトルが出る監督の表記まで、英語で臨んだのだ。
エンドロールにも、海外営業や翻訳陣がぎっしり。海外で売る気満々であると同時に、日本の現状をこれでもか、というくらいに織り込まないと海外の人には理解できないのではないか、と思ったのだ。
例えば、前半の不妊治療をする夫婦の現状から、養子を受けるまでと、望まない妊娠をした中学生の付き合う前からの描写というものも、「しつこく描きすぎじゃないか」と思ってしまうくらい、丁寧に書いている。普段の映画ならサラッと書く、あるいは状況証拠で客に忖度させる(想像力を働かせる)ようなことを懇切丁寧に描いたことに、意図がないはずがない。
そこに「海外の人にわかりやすく映像で提示したからではないか」という結論に達するのである。
おかげで、(日本人にとっては)凡庸としたときの流れが場を支配する。例えば夫婦のデートのレストランの会話なんか、「伏線でもあるのかな」と思ったが、せいぜい「不妊治療に行く前日だよ」ということがわかるくらいで、尺を取るほどでもなかったはずだ。
永作/井浦夫妻と、蒔田/浅田ペアの時系列を別々に描きながら、ある一点でかみ合わせるという手法にハッとさせられるが、めちゃくちゃ大きな感動までは勃興しない。

時折見せる、映像が語るシーン。例えば雑木林の撮り方とか、空中を舞うトンビを追ったり、時間の経過を桜で表現したり。でも、それが鼻につくくらいにやってしまうと、効果も半減である。
というわけでツイッター評は、「感動できなさ過ぎ」ということから、82点と近年の作品では点数だけを取ればワースト部類に近くなってしまった。
ひかりが書いた朝斗に託した手紙の、隠れ文字の唐突な演出だったり、ラスト10数秒の仕掛けであったりと、監督の手腕は随所に見え隠れするのだが、尺の長さ、ただただひかりが「堕ちていく」だけの映像を後半見せつけられるので正直つらいんだけどどうすることもできないもどかしさは味わえる。
エンドロールには、養子縁組をした実在の家族が、恐らく実名で刻まれている。「浅田家!」と同様に家族を描いた作品だが、どちらも実在の家族を使うことで嘘が無くなる。この説得力は何物にも代えがたい。

2020.10.18 台湾スイーツ映画 「恋恋豆花」鑑賞記

確かに400万人程度の人しか狂喜乱舞していないのであれば、周りが「鬼滅の刃 無限列車編」に対して冷ややかなのもわからないでもない。
だが、初日データ上で67万人、土曜日もあわや100万人達成か、まで伸長した入れ込みデータを前にして、「この作品はどこまで行くのだろうか?」と思わずにはいられない。

しかぁし!!
そんな世の中の祭りとは別次元の"祭り"に当方は参加することになる。
それは、名古屋・大須シネマでの「若おかみは小学生!」の鑑賞である。
「きみの声をとどけたい」の、中部地区の旗艦劇場になった感のある当所。いまだにPOPが掲示され続けているのにはびっくりする。支配人がおそらく私と同じで、「この作品を折に触れて上映したい」と思っているからこその意思表示を感じている。

その前に上映される「恋恋豆花」(レンレントゥファ)も見ておきたいと感じたのだが、監督をされている、今関あきよし氏が登壇される、というのでそれも含めて鑑賞ラインアップに入れる。
7時にでれば間に合うだろう、という安易な考えが甘かった。11時の監督登壇には間に合わない時間帯に戦慄する。
仕方なく、近鉄での名古屋行きを断念、急遽JR、米原から新幹線を活用しての名古屋行きとなった。

さて、映画の方だが、これがまた、微妙である。
一時期ブームになった、タピオカは台湾からというのが定説なのだが、まだ家族になっていない母子が台湾旅行をする、という突拍子もない出だし、それも本当に観客置いてけぼりの設定には面食らう。開始数分でもう台湾って……ただのロードムービーっぽい仕立てからもわかる通り、ストーリーや深い人間ドラマは探し出さないと見つからない程度にしか内包されていない。
この作品は、どうあれ、採点のしようがない。ドキュメンタリー風にも見えるし、それこそ、擬似親子がただスイーツを食べているだけに留まるからである。
この作品を見ていると、総じて「作り物でない」現地フードがわんさか出てくる。これが気に入らない、という評もあるようだが、素朴や着飾らなさを伝えるのに、カメラ映りのいい盛り付けになってしまってはそれは「偽物」でしかない。映画になるから、と気負わずに作ってくれた方々に最大限のリスペクトが感じられた。
とはいうものの、ちょっと豪華な(1800円程度の投資のいる)動く台湾旅行ガイド、という側面からは抜け出せない。よそよそしい二人がちょっとしたいさかいから和解の度合いが進んでいくところくらいは見どころではあるが、本当にそこくらいしかない、というのがいただけない。
ただ、表題にもした通り、台湾が意外なほどにスイーツ大国であることを知らされた一本である。特にタイトルになっている「恋恋豆花」は、そもそもが「豆花(というスイーツ)大好き」という意味合いであり、計ったように日台ハーフのシンガーソングライターが歌うのはベタな展開でもあった。
ヤマ無しタニ無しオチ無し。あれ以上発展のしようがないのも仕方ないところだろう。

2020.10.16 ぼんやりとした印象の中だから光る一手が浮かび上がる 「みをつくし料理帖」鑑賞記

角川春樹氏といえば、素晴らしいプロデューサーでもある半面、晩節を汚し、一時期ショービジネス界から完全に村八分状態になっていた時期もあった(芸能界ではこのクラスの人がこの犯罪をやっても、復帰できてしまうところがいただけない/詳しく知りたければwikiなりみてください)。
彼の功績の一端は、やはりこのコピー……「読んでから見るか、見てから読むか」に代表される、書籍と映画の両方をヒットさせようとした元祖・メディアミックス型のヒットを画策したことにある。
今でこそ、映像化が原作本や版権商品化につながる一連の流れは当たり前なのだが、本屋が映像業界に殴り込みをかけることは、当時の映像制作会社からすれば驚きをもって迎え入れたことだろう。

その彼も高齢を理由に、監督業から引退すると公言、最終作になったのがこの「みをつくし料理帖」だった。
松本穂香、奈緒という2大看板を使った作劇、泣かせどころはここだ、といわんばかりの予告編。相も変わらず、「予告を本編が上回ることのない監督」なんて揶揄されることになりはしないだろうか、と不安に思ったことは偽らざるところである。

そして、この日……10月16日は、日本の興行界が湧きたつどころか爆発した一日であった。それだけ、「鬼滅の刃 無限列車編」の公開と、それに伴う興行成績は、すべての概念を打ち破ってきたのだ。
おかげで、本日初日、レイト回なのに、やってきたのは、10人強という、お寒い状況。鬼滅は、ソーシャルディスタンス何するものぞ、の、全席解放でも満席をレイト回が出しまくっていたのとは真逆すぎる内容だった。

映画本編は、正直言って、ほどほどに役どころを理解している役者さんの技量に任せたような演技が多く、監督の色、というものを感じにくかったという第一印象である。もちろん、逢いたいけれど、逢うことがかなわない、廓の掟が高低差を生む「キツネ語での会話」シーンであるとか、つる家の主人(石坂浩二)が、ご寮さん(若村麻由美)が質入れしたサンゴのかんざしを買い戻してあげるシーンなど、感動させる場面の作劇や演出は素晴らしい。だが……
得点は、ツイッターのファーストインプレッションでは92点にし、ヤフーも☆5にしたが、ここではやや落として89点にする。
その大半を占めるのが、カメラワークの前時代的な見せ方にある。一点にとどまらず、横スライドを多用していたので、画面が落ち着かないのだ。意図があるとは思えない、「画面を動かしていれば撮った気になっている」カメラにまずがっかりした。
次は、良かれと思ってやっている、役者の技量に任せて撮っている部分だ。最たるものは、曲者でもある、藤井隆の演技にある。戯作者という設定なのだが、彼だけが特異な役作りをしてしまっているせいで、彼の出てくる絵面がすべてうるさく感じられる。ラスト前の「べっこう玉」を食する場面でも、今までの積み重ねがあるので、まともに演じてしまうと、ギャップにとらわれるのだ。
そもそもにおいて、松本穂香嬢の感情の起伏の出せなさは何なんだろう? 泣かせどころくらいしか感情移入できないのでは、ポイントが低くなってもしょうがない。
と、あんまりいい面を書いていないように感じられるが、この作品のベストアクトは、間違いなく、若村麻由美演じるご寮さんである。これがあるから、全てが許されるし、「まだ見られる」位置に付いているのだ。中村獅童も、自分の半生をほうふつとさせるような生きざまが印象深かった。
ちょい役の反町、松山ケンイチにはど肝を抜かれる。あんな使い方ってすごい。

角川氏の監督最終作という触れ込みだが、澪と野江が一緒になるというラストカットが現実のものになるように、登龍楼の店主をコテンパンにやっつける続編が見たいと思った人が大半ではなかろうか?
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