知っている人も多かろうが、世界でいちばん映画を作り出しているのは、日本でも、中国でも、アメリカでもなく、今はインドである。→インド在住の日本人が詳細を記していただいてます。謹んでリンクを張らせていただきます。
しかも製作本数は半端ない!!日本のほぼ3倍(記事では600本弱と書かれているのだが、600近くも邦画+邦画アニメがあることに驚く)も作られるバイタリティはどこからくるのだろうか?
そんなインド映画も最近徐々に日本に進出している。なんといっても、「バーフバリ」の公開が転換点になっているんではないか、と思う。
その昔の「ムトゥー 踊るマハラジャ」あたりが黎明期なんだろうけど、今やちょくちょくと名作も公開されているから侮れない。未見で終わってしまったのだが「バジュランギおじさんと、小さな迷子」はいろいろな問題を内包させながら、そこに着地させる妙に感じ入った人が続出した。結局鑑賞を逃した当方にとって、その作品で主演していた彼の主演タイトルが見れるとなったら、見に行かなくてはならないとなったのだが、エンドロール最後のクレジットを見るまで、「新作だ」と信じて疑わなかった。ちなみにバジュランギも本作も、2015年作だった(5年前だったのね)。
劇場は驚くべきデータを提示した。ソロの女性のあまりの多さである。もしかすると、結構マッチョで、かっこいい主役に惚れている人(ファン)が来ているのかなと思ったりもする。30人強が鑑賞し、男女比はやや女性優位。平均年齢は40代後半とする。

即位式を間近に控えた皇太子が暗殺未遂で瀕死の重傷を負ってしまう。たまたま恋い焦がれていた王女様に逢いたいと向かっていた田舎役者が、実はこの皇太子に瓜二つ、ということで影武者を仰せつかってからの、王女との4日間の逢瀬と、それからのもろもろの兄弟間の確執などをうまく取り混ぜての作劇で、結構うならされた。
彼女は、久しぶりに会う替え玉に気が付かず、人格が少し変わったように感じて付き合いを始める。だが、そこにあったのは、人が変わったような(別人だから当然か)彼の態度と、真摯に分かり合おうとする情念だった。最初どう接していいかわからない彼にしたところで、彼女の慈しみと芯の強さにまさに惚れていくことになる。
この作品の凄いところは、影武者たるプレームが、決して本物の皇太子を越えようとしないのに、王女が(本人だからと)迫ってくるシーンである。二人は決して結ばれてはいけないということをうまく映像表現できているのだ。

得点は、93点とした。
「言葉で言わなくても瞳を見ればわかる」とかの結構決めてくれるセリフもあり、幼少期にあったある出来事がうまく活用されていたり、と、映画としての基本的なところも押さえつつ、ミュージカルスタイルでぐいぐい進めるのはインド映画の真骨頂。ただただ長いだけといわれるかもしれないが、全てに手当てできているからこの長さになったのかな、と考えたい。
偽物の出した兄弟の和解案は有効なのか、とか、全身打撲に脳腫瘍的な転落時の傷病が4日程度で治るあたりとかは突っ込み待ちなのかな、と思ったりもするのだが、さすが大団円・ハッピーエンドがボリウッドの不文律。オーラスはやや無理やりな感じがしてちょっぴり興ざめしたのだが、「ここまで身分を越えたラストは見たことない」になるので、びっくりできる。
ストーリーもいたって平易、登場人物の相関関係もそれほど難しくない。しっかり途上で説明や回想でわからしめてくれるのでどうしてそうなったのか、とかもわかる。冒頭の劇の内容が、実は二人の物語に似ているところはいい伏線になっていると思った。