毎度書いているのだが、予告編を見た後に「これは見た方がいいかも」「当たり発見ww」などとなる作品に出会えるから、私は、基本、開場時刻(予告編を含めた上映開始時間)に劇場に着いていることを基準にしている。

瀧と三葉のラブストーリーに端を発した「君の名は。」を鑑賞し始めるときから、この慣習は続いている。ちなみに第一回目の時は、電車の遅延に巻き込まれ、満席だったものの、予告など見ている暇すらなかった。
シネ・リーブルとか言う、「名画」「ニッチ」な作品しかやらない劇場がマイ劇場にならんかとする事態にまで来ているわけだが、今回も、そこのラインアップでビビッとくる作品を見つける。それが「天国でまた会おう」であった。
第一次世界大戦がバックボーンであり、それからの数年間だけが描かれていたわけだが、時代考証も含めて、素晴らしく手の入った作品であった。

モロッコで捕まる一人の中年男性の語りで物語が始まる設定。従軍時にあわや窒息しそうになったところを助けてもらった若き将兵は、銃弾の直撃を受けて下あごを失ってしまう。命の恩人の瀕死の重傷に心を痛む男性だったが、看病を通じて怪我した彼に家族とのわだかまりがあることを知る。そこで男性は、この将兵を「死んだ」ことにして、別の人生を歩ませようと試みていく。

では評価である。
実は『ギルティ』の100点は、すべての設定も、最後のどんでん返しも間違いなく一級品だったから付けられた点数である。しかし、この作品は、関わった人も多いうえに、むなくそ展開も若干ある。そう言った部分を判断して98点にしたのだが、ランキング上では、この作品がギルティを抑えてトップに現時点で立ったと報告しておく。

まず、前段の第一次世界大戦の戦闘シーンですら、一切の手抜きなしでやっていると思わせてくれる。特殊効果で表現できない時代なら全部リアルでやったものだろうが、それでもなかなかにリアルっぽさも出ているところが面白い。無一文に近い状態でパリに戻ってきた二人だが、ボロ家に身を寄せ厭世生活をするようになる。だが、ここで命の恩人の姉から招待を受ける。このあたりから人間関係の複雑ぶり…あの将校が、この家の娘婿に取り入り、さらに軍人墓地の事業で巨万の富を得ていることなどが明らかになっていく。
軍人生活を終えてですら付きまとってくる将校。だが、結果的にわなを仕掛けられて失脚寸前にまで追い込まれる。このあたりの落ちていくさまは今までのことを思えば「ざまーみろ」(報瀬 談) と言いたくなってしまう。最後も彼らしいといえば彼らしい。

慰霊碑の原案を書いたのが息子だと気が付いた総裁と息子との和解のシーンもいやがうえにも感極まる。そして、なんとなく読めてしまった・・・その先が。彼にはそれしか手がなかったのだろうか?
感動のラストシーンは「そうだろうね」となること請け合いなのだが、そこに至る前段の説明も腑に落ちる。「復讐してくれてありがとう」ではないにしても、この粋な計らいあればこそ、である。

エンドロール終わっても、このラストをかみしめてなかなかに椅子から立ち上がれない。こんな作品もそうそう出会えるものではない。でも、できることなら、ラストは『4人』でむかえてほしかったところである。