今回の鑑賞記はマジで短く終わらせるつもりはない。実際、この作品に出会えたことが、私の現在のパーソナリティーにも、多大な影響を与えている作品だからだ。
その端緒から話を始めないといけない。幼少期から、そこそこの頭脳をもっていたとされる小生。中学入試に失敗したのを挽回すべく、進学塾に知り合いから紹介された家庭教師(彼の下宿に通うスタイル)と、マジで勉強漬けだった。
その家庭教師が、今でいうところの「オタク」だったのだ。記憶は定かではないが、確か阪大の医学部に在籍していたはずである。
その彼が、私に教える手を止めてまで見ていたのが、テレビシリーズの「太陽の牙ダグラム」だった。当時私は中学生。アニメで言えば勧善懲悪ものがまだ幅を効かしていた時代で、新進気鋭の日本サンライズがメーカーとして飛躍を遂げようとしていた時代である。
彼の視聴を邪魔するまでもなく、当方も見るわけだが、そのストーリーの骨太ぶりに目を丸くする。あらすじを一言で言い表せることなど不可能なほど入り組んでいる。また、登場人物が多いこと。メカであるダグラムの格闘シーンより、人間ドラマの方に重きがおかれているのがはっきり解る。
この作品に触れたことで、アニメーションの見方も変えられた。時々で放つ人物たちの台詞は、正鵠を射ていると同時に、ものの見方の二面性を激しく問いかける。予告編の後にいう、「真実は見えるか?」は、まさしく、この作品の複雑さを、人物たちの正義を、見た人に疑念を呼び起こす素晴らしいコピーだと思う。
実は、テレビシリーズは、結局完走できず、「あー、見たな」レベルでしかないのだが、今でももし見たい、リメイク希望を出せと言われたら、真っ先にこの作品があがってくる。それくらい印象に残り、私の心の片隅にいつまでも取りついて離れない作品なのだ。
と、昔話を長々とさせてもらった。なので、例えリファインしていない画質であっても、スクリーンで見られるとなったら、見ないで済ませる選択肢はなかった。
そして最終回にあたる10/25に、塚口サンサン劇場に出向いたのである。
劇場はものの見事に男だらけ。それでも15人程度は座ってくれる。平均は40代後半。実はこれが意外だった。ほぼ35年前の作品なので、当時見ていた層が懐かしさのあまり見に来たとしても、10歳前後では内容が把握できていなかった可能性が大きい(今でこそ、真の悪役はラコックだと認識しているが、それを分からせるような描写は顕著ではなかった)。当時20歳前後で、50歳代前半が最多鑑賞層になると見込んでいたから、この年齢層には驚いた。
肝心の内容だが・・・
「あの時は、こんな作画で色めき立ったんだな」というのが率直な感想である。もちろん当時はセル画全盛期。動く部分だけが濃淡違っていたり(例えば口元だけが色違い)、作画崩壊なんていう今のレベルがかわいく思えるほどひどかったり、なんといっても爆発シーンのちゃっちいこと。直前に「ガルパン総集編」を見てきているからかもしれないが、時代の変遷というものをまざまざと見せつけられる。
一番隔世の感を印象付けたのは、音楽部分だ。80年代なのだ、劇伴も。これで一気に「時代物」という感じを新たにしてしまう。
所詮は総集編の域を出ず、しかも、元ネタは、75話分。実は、これを越えるオリジナル作品をサンライズは作っていないそうだ。75話となると、元は20分計算でも1500分!! それを大胆に80分余りにまとめたのだから、強引にならざるを得ない。しかも、序盤のクーデターのシーンにかなりの時間が費やされていたこともあり、デイジーの出演シーンに至っては、ほぼ30秒ほどでしかなかったのがかわいそうすぎる。
無理やり一本にまとめる、という力技。映画にもできるほどだったから、そこそこに成績も上がったのだろうが、これが初見な層には、評価を上げようもないのではないか、と思う。
ただ、この作品については、当方の心のよりどころでもある、「銀河漂流 バイファム」と並ぶ傑作であるとの評価を変えるつもりはない。日本サンライズという会社が今でも生き残っているのは、こうした名作を輩出し、いまだに支持を失っていないからに他ならないとみる。
その端緒から話を始めないといけない。幼少期から、そこそこの頭脳をもっていたとされる小生。中学入試に失敗したのを挽回すべく、進学塾に知り合いから紹介された家庭教師(彼の下宿に通うスタイル)と、マジで勉強漬けだった。
その家庭教師が、今でいうところの「オタク」だったのだ。記憶は定かではないが、確か阪大の医学部に在籍していたはずである。
その彼が、私に教える手を止めてまで見ていたのが、テレビシリーズの「太陽の牙ダグラム」だった。当時私は中学生。アニメで言えば勧善懲悪ものがまだ幅を効かしていた時代で、新進気鋭の日本サンライズがメーカーとして飛躍を遂げようとしていた時代である。
彼の視聴を邪魔するまでもなく、当方も見るわけだが、そのストーリーの骨太ぶりに目を丸くする。あらすじを一言で言い表せることなど不可能なほど入り組んでいる。また、登場人物が多いこと。メカであるダグラムの格闘シーンより、人間ドラマの方に重きがおかれているのがはっきり解る。
この作品に触れたことで、アニメーションの見方も変えられた。時々で放つ人物たちの台詞は、正鵠を射ていると同時に、ものの見方の二面性を激しく問いかける。予告編の後にいう、「真実は見えるか?」は、まさしく、この作品の複雑さを、人物たちの正義を、見た人に疑念を呼び起こす素晴らしいコピーだと思う。
実は、テレビシリーズは、結局完走できず、「あー、見たな」レベルでしかないのだが、今でももし見たい、リメイク希望を出せと言われたら、真っ先にこの作品があがってくる。それくらい印象に残り、私の心の片隅にいつまでも取りついて離れない作品なのだ。
と、昔話を長々とさせてもらった。なので、例えリファインしていない画質であっても、スクリーンで見られるとなったら、見ないで済ませる選択肢はなかった。
そして最終回にあたる10/25に、塚口サンサン劇場に出向いたのである。
劇場はものの見事に男だらけ。それでも15人程度は座ってくれる。平均は40代後半。実はこれが意外だった。ほぼ35年前の作品なので、当時見ていた層が懐かしさのあまり見に来たとしても、10歳前後では内容が把握できていなかった可能性が大きい(今でこそ、真の悪役はラコックだと認識しているが、それを分からせるような描写は顕著ではなかった)。当時20歳前後で、50歳代前半が最多鑑賞層になると見込んでいたから、この年齢層には驚いた。
肝心の内容だが・・・
「あの時は、こんな作画で色めき立ったんだな」というのが率直な感想である。もちろん当時はセル画全盛期。動く部分だけが濃淡違っていたり(例えば口元だけが色違い)、作画崩壊なんていう今のレベルがかわいく思えるほどひどかったり、なんといっても爆発シーンのちゃっちいこと。直前に「ガルパン総集編」を見てきているからかもしれないが、時代の変遷というものをまざまざと見せつけられる。
一番隔世の感を印象付けたのは、音楽部分だ。80年代なのだ、劇伴も。これで一気に「時代物」という感じを新たにしてしまう。
所詮は総集編の域を出ず、しかも、元ネタは、75話分。実は、これを越えるオリジナル作品をサンライズは作っていないそうだ。75話となると、元は20分計算でも1500分!! それを大胆に80分余りにまとめたのだから、強引にならざるを得ない。しかも、序盤のクーデターのシーンにかなりの時間が費やされていたこともあり、デイジーの出演シーンに至っては、ほぼ30秒ほどでしかなかったのがかわいそうすぎる。
無理やり一本にまとめる、という力技。映画にもできるほどだったから、そこそこに成績も上がったのだろうが、これが初見な層には、評価を上げようもないのではないか、と思う。
ただ、この作品については、当方の心のよりどころでもある、「銀河漂流 バイファム」と並ぶ傑作であるとの評価を変えるつもりはない。日本サンライズという会社が今でも生き残っているのは、こうした名作を輩出し、いまだに支持を失っていないからに他ならないとみる。