多趣味・マツキヨの落書き帳

2013年(平成25年/皇紀2673年)1月、タイトル含めて大幅刷新いたしました。 現在、ダイエー店舗訪問記録/映画鑑賞記/即席麺試食記/ラーメン店訪問記がメイン記事となっております。画像/引用/リンク等は、ご随意に。

成田凌

2020.3.20 やっちまった 「弥生、三月」鑑賞記

「おいおいおいおい」(スカウト木村 談)。
「一度死んでみた」が意外なほど映画として成立しているのみならず、肩の凝らない、しっかり善悪も提示して描き切れることに感動してしまっていた。聞けば監督氏はもともとCM畑の人で今作が初監督。それでこのテンポに、小ネタの応酬、知っている人にしてみれば笑いしかないうまい伏線とかがぎっしり詰まっている"お得"な映画だった。

そしてどちらかというと期待度マックスだったのは、こちら……「弥生、三月−君を愛した30年−」だった。波留といえば、「あさが来た」での好演が記憶に新しいし、対する成田凌といえば、本当に仕事選んでないんじゃないかというくらい、映画に出ずっぱりである。ちょっと思い浮かんだだけでも、「カツベン!」でも主役だったし、「スマホを落としただけなのに」2作(いずれも未見)も、殺人鬼・浦野役を怪演。「さよならくちびる」では、ハルレオのマネージャーみたいな立ち位置だったし、公開予定作でも「糸」の出演が確定している。言わずと知れたテッシー役なわけだが、まさに売り出し中という表現がぴったりである。

そんな二人の化学反応を見に行ったわけだが、西宮OSは大胆にも、最大スクリーンの11番をこの作品の当てる。そう。「君の名は。」を公開初期かけたあの大箱である。だが、館内は閑散もいいところ。100人はとても到達せず、昼過ぎ回なのにまったくの状態だった。支配人的には、配給の東宝の助言もあってのことだろうが、これはちょっとやっちまった感がありありである。

観客の入りだけではなく、実際の映画の内容もやらかした感満載だった。
得点を先に出してしまうが83点。とてもじゃないが『どうぞ見てください』とはお勧めできない。
その理由の一端が、監督にあった。

遊川和彦といえば「家政婦のミタ」とか「同期のサクラ」といったヒット作品ばかりがクローズアップされるし、私も「ああ、そうだったのね」と思ってちょっとはましなものが見られると考えていたのだったが……
鑑賞が終わって「あれ?遊川って……」とWIKIを開いて、持った湯飲みをバッタと落とし、小膝叩いてにっこり笑ってしまった(c浜村淳)。
そう。「純と愛」の脚本家だったのだ。

普通黒歴史は隠される。もし仮に「純と愛の脚本家」という紹介があったら少なくとも期待感を上げてみようとは思っていなかったと思う。「ま、まあ、ヒット作もあるし」(震え声)だから、完全に見ないで置くことはないにしても、「ハズレちゃうか」と思って見に行くべきだったかもしれない。
3月の31日間に弥生とサンタに起こった出来事を120分近くで描くことをするわけだが、時間配分として、どうしても「3月=東日本大震災」となっているところが見え隠れして、そこばかりがクローズアップされてしまう。無理やりな卒業式の日取りや、弥生が勤めていた書店の唐突過ぎる閉店日の設定。すべての日付に意味を持たせるための苦しい言い訳が後半になるにしたがって見ている我々にも苦痛を与えてしまっている。父の看病しに行った日の次の日(翌年)に死んだことにするあたりは、もうご都合主義の塊のように感じてしまった。

そしてこのストーリーの決定的な欠点は「だれ一人幸せになっていない」という点である。望まない結婚をして破綻、サッカー選手としても大成せず、自堕落に暮らすサンタに、これまた政略結婚に等しいところから抜け出し夢は叶えるものの、自分の目指したものや得ていたものを失うばかりか、義理の家族から白い目で見られる弥生。母に引き取られて教師になるものの、モンペの突き上げで辞めさせられる一歩手前まで追い詰められるサンタの子供・歩。トドメは、血液製剤のせいでAIDS発症し、忌避される存在になったのみならず17歳で命を散らさなくてはならなかった渡辺サクラ。こんなに陰欝な世界観の中で「君を愛した30年」といわれても「実際そうでしたか?」と問いたくなる気持ちにさせられる。

サクラの残したテープも実際見掛け倒しだった。全然入ってこないのだ。それは、当然のように30年経って聞いているところが大きいし、録音に取り掛かる前段階の小芝居の是非もある。なにより結婚式場で、親友のメッセージとして聞くから意味があるのであって、結婚に至らず、電車の中で聞いたとしてもそのレベルでしかない。さらに、それを聞き終えて嗚咽する弥生が映っているのだが、彼女の声は聞けずじまい。魂を揺さぶるのは、こういった感情の発露に引っ張られる部分が大きいはずで、BGMのみにしたのは、あまりに波留の泣きの芝居が稚拙すぎて、声を入れられなかったか、あるいは、監督の想いと違う芝居をしたからか、と思わざるを得ない。

もう欠点を上げれはいくらでも出てきてしまいそうなのでやめておく。
2方向に別れる卒業式のシーンとか、ビルのホールですれ違うような二人とか。ありきたりの映像表現ばかりでおっっとおもわせる表現もないまま。そうかと思えば、バスを追いかけるシーンは、好きだったんだろう、波留にも成田凌にも2回ずつさせている。サンタは乗れないのに、弥生はいずれも乗れている。これはメッセージではあるな、とは思ったが、もはやその程度の加点でどうなる作品でもない。
「一度死んでみた」が思いもよらぬ良作だったのに、こちらは、想像を大きく下回る内容。これだから、映画鑑賞は辞められないのである。

2019.12.16 現代劇に振りすぎた 「カツベン!」鑑賞記

私自身は、周防正行監督作品は初対峙である。地上波でも一度も見たことがないはずで、特に上白石萌音嬢主演の「舞妓はレディ」を見逃しているのは如何ともしがたい(まあ、このとき映画鑑賞が趣味にはなってませんからね)。
だが、「Shall we ダンス?」をはじめ、肩の凝らない作品を作らせたら、右に出るものはいない。なので、登場人物のいかんを問わず見る気満々になっていた。

月曜日、というより、16日はOS系のサービスデー。ナイト回では割引率としてもうまみはないが、1200円で新作も見られるとなったら、見ない手はない。
で、勇躍劇場に突撃するのだが……
ソロ男女2名ずつ、カップル二組、以上wwww閑散ぶりに驚くばかりである。

すでに映画は市民にとっての唯一の娯楽ではなくなりつつあり、一時期の不振を払拭したとはいえ、黄金期からは程遠い動員でしかない。その上、映画を取り巻く環境は日々進化している。スクリーンで勝負しないでも「売れる」と認識されつつあるNETFLIX専用のドラマや映画が勃興し始めている。劇場の中でも、普通にスマホが使われ、マナーの低下には歯止めがかかっているとは思えない。
そんな中でトーキーが出張ってくるまでの過渡期に活躍した映画を説明する「活動弁士」の存在。特別な役割であるとは思うが、トーキーが主流の今の状況では、完全に時代の遺物。彼らのまともな仕事ぶりが言われる、そっちに重きが置かれるのか、と思いきや……
思っていたのと違う、部分を差っ引いても、90点までしか得点できない。それは、別に演者がどうこう、というのではなく、どうしても現代寄りの解釈の元で映画を作っていると理解したからである。
詐欺師の片棒を担ぐことになってしまった弁士志望の男性の悲哀と実力をまざまざと見せられるわけだが、クライマックス手前、成田凌演ずる国定(偽名)が持ちだそうとした缶缶の中身でほっとするのかと思いきや、逆にがっかりしてしまった。
そこに本来入っていたのは、フィルムの切れ端。しかし、それは技士の想いのたまものでもあった。それを救出しようとした国定。だから、その中身の変遷ぶりに「想いのつまった」あの缶缶を救出しようとしたんではなくて??という考えに至らないともやもやしてしまうのは仕方ないかもしれない。もうひとつ。防火性能で劣る缶缶で、中身が焼失しないとはできすぎだし、仮にフィルムが紛れていたなら完全に燃えていたはずだ。ここはやはり無理があった部分だと思う。
ただ、「実際にあった無声映画」を使わず、ほぼオリジナルで劇中劇を作ってしまったのには驚いた。それに気が付いたのは、冒頭のシーンもそうだが、なんと!!モネネンが、「寛一お宮」を模した砂浜で演じるシーンに出ていたのだ。まさに周防繋がり。ここは映画ファンなら見逃せないところだったかもしれない。
それにしても、今年の映画は、子役でドキッとさせられることが多かった。冒頭の10数分間もただの捨てシーンかと思ったら大間違い。最後半に伏線となる重要なシーンも設定してあるのだが、このあたりのさじ加減はさすがだ。
締めのドタバタ、箪笥のシークエンス。笑いどころがもう少しふんだんにあったらよかったのに、と思わずにはいられない。
この期に及んで、大正後期から昭和初期のトーキーが出張ってくるまでの数年間を描こうとしたのは、監督が「変革期」を感じ取ったからだ、と邪推する。正統派弁士があの一件から、姿を消してしまうあのシーンで「もう時代は変わったんだ」を思わせるシーンにしたのは大きかった。これからスクリーンで見られる映画というものも大きく変容してしまうかもしれない。それでも、いろいろ盛り込み過ぎて、監督だからこそ伝えようとしたメッセージがきっちり伝わったかといわれると、難しい面は多々ある。
興行界の裏の部分にもやんわりと攻めた監督。それにしても、一介のヤクザの癖に射撃の腕前が良過ぎる問題は、どうしたものだろうか?
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