多趣味・マツキヨの落書き帳

2013年(平成25年/皇紀2673年)1月、タイトル含めて大幅刷新いたしました。 現在、ダイエー店舗訪問記録/映画鑑賞記/即席麺試食記/ラーメン店訪問記がメイン記事となっております。画像/引用/リンク等は、ご随意に。

映画評

2020.4.5 「世界でいちばん貧しい大統領 愛と闘争の男、ホセ・ムヒカ

コロナウィルス禍がやまない状況で、とうとう劇場でも資金力のないところでバタバタと閉館(事業継続断念)が発表される雰囲気に陥っている。
→すでに石垣島の映画館(開館からわずか一年半余り)が営業休止をツイッターで公表した。こちら
新作が壊滅的/公開できる作品は小品やヒットなど望むべくもない作品/よくて旧作のヒット作 という状況では、かければかけるだけ赤字は避けられないとみる。それでも、例えば地元の根強いファンに支えられているなら何とか存続もありえるだろうが、田舎の小さな箱では、箱の維持が限界で、従業員など雇っていられないのが現状だろう。

それでも映画はやってくるわけで、上映しないで積みあがっていくばかりではどうしようもない。見たいと思える、配給の強くない映画にこそ活路を見出さないといけない状況だ。
ホセ・ムヒカを描いたドキュメンタリー映画が、期せずして同時期に公開となっていたこともあり、気にはなっていた。ちなみに日本主導で作られた方は4/10から延期になってしまった。今回は外国人の監督が取った、2015年3月1日退任までのほぼ1年間を追いかける形のドキュメンタリーだった。
彼の人となりを上っ面しか知らない(大統領になって有名なスピーチをする輝かしい功績)我々にしてみれば、この映画で彼が、元反政府組織の構成員であり、さらに何度も投獄と脱獄を繰り返していた犯罪者であることを知ってしまうことである。実は、私も、品行方正、虫も殺さないような、ただの農家出身の政治に興味を持った人が大統領まで上り詰めたと思っていたからこのギャップにはしてやられる。
取材中、彼はものすごい発言をする。
『その時の善が悪にもなり、また悪が善になることもある』
見方で善悪は変わるというのだ。映画「ジョーカー」で我々に突きつけられた、正義とは、悪とはをここでも提示して、我々に深く問いかけるのだ。
もっとも後悔することは、と聞かれた彼は「子供がいないこと」と述べた。夫婦生活は長いかもだが、獄中生活が壮年期まで続いていたのだから、子どもなど望むべくもない。だからなのかもしれないが、彼は後進の育成や教育に没頭することになる。月1000ドル、「世界でいちばん貧しい」とは確かに所得だけ見ればそうなのかもしれないが、彼ほど国を想い、国の未来を考え、民に寄り添えている為政者はそうそういないのではなかろうか?

ドキュメンタリーは採点外としているのだが、ご多分に漏れず本作も採点はしない。
2015年3月1日の大統領の継承式の恐るべき人出と、その熱狂ぶりを見るだけで、彼がいかに愛されていたのかをうかがい知ることができる。ただ、誰しもに好かれていたわけではなく、インタビューの途上に大統領に喧嘩を吹っ掛ける初老の男性の映像も映してある。功罪相半ばする大統領という地位ながら、そこにあるのは慈しみに満ちた表情と、決して自分が富んではいけないという自戒である。
何といっても、時々で流れるタンゴがいいのだ。ラストで流れる哀愁歌は、日本で言えば演歌同様。歌に支えられていた人生と感じることもできる。
ドキュメンタリーであり、なにかすごいドラマがあるわけではない。でも、置き忘れていた何かを彼は教えてくれる。

この後、いわゆる「緊急事態宣言」が出そうなこともあり、当方も映画レビューそのものをしばらく封印しようかと思っている。今の堅苦しいご時世で映画を見ても面白く感じないからでもあるが、なんといっても、劇場が閉まってしまうのでは見たくても見れないからである。

2020.4.1 見ておいて正解 「レ・ミゼラブル」鑑賞記

映画サービスデーの連続鑑賞記録がいまだに続いている当方だが、今の現状の中にあって、すべての劇場が休止に追い込まれたらどうしようか、と思わざるを得ない。
幸い、小品メインのシネ・リーブルは何とか営業してくれた。ただ、平日の夕方回ということもあり、当方購入時点で3名。のちに4名入ってきたが、見事に一桁鑑賞だった。全員がソロ、平均年齢は50歳後半とみる。

予告を見た段階では、それほどそそられなかった。理由は、黒人VS白人の人種間のナイーブな内容になるのではないか、と思っていたからだ。そもそも「ああ無情」とどんな関係があるんかいな、くらいにしか思わず、結果的にすぐさま飛びつかなかった
ところが、「レ・ミゼラブル」の本来の訳は、「悲惨な人々」「哀れな人々」を意味する。 映画を見ると小説のタイトルの方ではなく、原題そのままの意味としてとらえないといけないと知るのだ。

貧民層の暮らす団地を中心とした地域の担当に異動してきた一人の警官の数日間がそこに展開する。着任早々あだ名(ポマード)で呼ばれる主人公。序盤のおっとりとした流れと、関わる登場人物たちをじっくりと描く方向にすることで、関係性が浮き彫りになる。それでも、主任というのだろうか、直属の上司のやり方は、強引そのもの。それでも「口出しするな」「これが俺の流儀だ」を前面に押し出すので、言いたい口が出せないで悶々とする主人公。
そしてとある窃盗事件が、町を爆発寸前にまで追い込んでしまう。元はといえば、この盗癖のある少年・イッサがすべてのきっかけにもなっているわけだが、それを序盤で提示しておくなど(しかも、盗んだものが目的をもって盗まれていることを知らされるとびっくりする)、きっちり手当てしてあるところもすごい。
そこからの怒涛の展開。それまで饒舌に新入りをおちょくり、罵倒していた主人公の警官の上司たちが、窃盗事件を解決に向かわせる途上で起きたイッサを絡めたある事件をきっかけに無口になっていくと同時にこの新配属された警官が正義を、道理を正していく方向に舵を切っていくところが面白い。それまで流儀に翻弄されていた主人公が、本来のあるべき姿を問うところは感じ入ってしまった。
それでも隠ぺい・ねつ造に躍起な上司たち。そこにあるのは、今まで権力をかさに来たものが、その権力に押しつぶされそうになっていくさまをこれでもか、というほど描いていく。
「悲惨な人々」の最後の抵抗につながるラストシークエンスは、今まで抑圧してきた、警官/組織/大人たちを見事に打ち砕いていく経過を見せる。彼らは立ち上がったのと同時に独立を勝ち得ようとしたのだった。
そして何といっても、この作品のラストシーンの衝撃はぜひとも劇場で体感してもらいたい。すべては書かないが、とあるもの……彼ら蜂起した側にしてみれば、最終兵器を、「投げるも地獄、留まるも地獄」のその状態があのあとどういう結末を見せたのか? そこには「希望」も「和解」も「救済」も、何一つ感じられないのだ。

得点はこういったブルーな結末である代わりに95点と秀作の部類に位置する結果となった。
世代間/人種(宗教)間の分断が生んだフランスの現状。決して絵空事ではなく、そこに起こっていてもおかしくない緊張感のある映像は、その撮り方がドキュメンタリー風にしてあるところが生きていると思う。権力と優劣が絡み合う大人社会と無縁な青少年のコミュニティー。これが生み出した闇がこの国で顕在化していると警鐘を鳴らしている風にも感じ取れた。
結末を含めて、考えさせられる一本。たまにはこういう、余韻を引きずる作品も悪くない。

2020.3.29 お腹いっぱいなフルコース映画 「サーホー」鑑賞記

予告を見たのが神戸国際松竹。その映像を見ただけで鳥肌が立ってしまい、これは見なければ、とばかりに、同僚にまで宣伝をしまくった本作。
しかし、コロナ感染のあおりを食らって、こんな大作なのに当該上映回は、日曜日の昼下がりなのに悲しいかな10人に満たないというありさま。映画の良さや見てもらう努力をしたとしても伝わらないもどかしさを上映前に感じた次第である。

一応、インド映画といえば、きらびやかな原色使い、いきなりのダンシングシーンとミュージカル、そして大団円というフォーマットが付いて回る。すべてがそうとは言えないだろうが、こういった勝利の方程式がないことには本国での受けもよくないんだそうだ。
ここ最近、インド映画の存在感が増してきているのは、「予算さえ付ければ、ハリウッドも顔負けの作品が作られる」くらいに映画産業が成熟しているからだろう。そして、30億ルピー=日本円で約45億もの巨費を投じて作った本作だからこそ、世界的にもヒットしたものと考えられるのだ。

本編始まる前にSPECIAL THANKS TO……と、恐らく製作に関わったプロダクションやスポンサーがこれでもか、というほど列記される。企業の数も半端なかったわけだが、ここまでの人たちが関わっているのだから、いやがうえにも期待感が湧きあがる。
ワージーという、犯罪都市のマフィアの棟梁が謀殺される事件が発生。当初から覇権争いのあった組織だけに、「誰が」やったのかはすぐに見当が付く次第にしてある。このあたりはうまく持ってきたと思う。
覆面捜査官という触れ込みで捜査側に入ってきたアショーク。だが実はこの時点で我々は騙されてしまっていたのだった。「ある時は○○、またある時は××、しかしてその実体は……!」とは、某有名探偵シリーズの決めゼリフなのだが、変装は全くしない(立場は時々で詐称する)主人公が、こういうスタイルで観客を翻弄する内容だとは気が付かなかったので、その設定だけでしてやられたりする。
華がどうしても必要なインド映画の中にあって、このストーリーに不要だけれども不可欠な女性の存在。一人の女性警官に一目ぼれするアショーク。ロマンスがないといけないとばかりに美女が絡むストーリーにしたのは骨太な全体像をぼやかせてしまっており、若干の戸惑いを隠せない。だって、彼女がキーパーソンでもないし、実際ストーリー上お邪魔虫なのだ。彼女を助けるといった目的が後半に出てくるのだが、無理やり感は半端ない。ラストシーンはその最たるものだろう。

ここまで、あまりいい目を見せれていないとお感じかも、だが、得点は95点となり、「十分お勧めできる」内容だとしておきたい。
ただ単なるマフィアと大泥棒との決戦映画ではない、サスペンス要素もちょっとしたラブロマンスも内包した内容。尺の長さやツッコミどころ満載なのはご愛敬。そう言ったマイナス面に目をつぶれば、主役であるブラバースの超人的な強さや、彼がどうしてここまでの行動に立ち入ったのかが思い知れる。なんといっても、ほぼCGであろうカーアクションも実物を使っているかのように感じるし、走行シーンに規制の緩いドバイのハイウェイが使われるなど、「金に糸目をつけなければ作られる」映像を堪能できることは間違いない。
大きく評価したのは、主人公の"最終的な立ち位置"がそこであったということ。首謀者は実はあの女性だったこと、そのお宝の内容も含めて、素晴らしい落としどころが見えたところである。
とはいうものの、込み入りすぎて一回見ただけで全体像を把握するのはなかなかに難しい。「ははあん。リピーターが続出したからヒットしたのかもな」と推測できるし、実際中毒性のある展開はおそらく何度見てもうならされるところだろうと思う。折角のインド映画もコロナウィルスには勝てなかった、というところか。
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