20タイトルでこの徹底解析記事も終わらせたいと思っている。
それにしても、よくもまあ、これほどいろいろとネタが出てくるものだと感心する。もちろん、いわゆる設定ミスな点(当方は真っ先にあまりに町長選挙期間が長いことに気が付いたりした/ほかにも彗星の軌道)はどうしようもないところとして放置せざるを得ないのだが、それにもまして、今回、敢えて今まで放置してきた、それこそこの物語の根幹に位置する部分を解析・論評していこうとしている。

それはズバリ、「入れ替わりがなぜ瀧と三葉の間でしか行われなかったのか」という根幹も根幹、これを論じるのか?!と言われそうな題材である。

だが、当方サイドとしても、これはこの作品を完全に把握し、彼らの行く末がどうなるのか、を考えた時にやっておいて損のない解析と考えたから始めようとしているのである。


仮説:
二人が入れ替われるようになったのは・組紐 ・瀧が「同い年になる」 ことが必須条件だったとみている。意外に同い年、は気にされにくいのだが、2014年でも2015年でもないとなると、又その先でもないとなると同い年というファクターを消しようがない

まずこの仮説を発展させていこう。まずは組紐である。
奇跡的に「2013年10月3日」に瀧の手元に渡った三葉の組紐。しかし、当方の解析により、この組紐を渡すシーンは、単に名前を伝達するためのものではなく、「思いを伝える重要なシーン」であると論じてある。それは、たとえ、3年前の、14歳の瀧であっても、「瀧は瀧である」「いずれは気がついてくれる」「思いを組紐に乗せられた」からこその受け渡しの瞬間として描かれている。
ところが、翌日、(一応)三葉は死に直面する。瀧は、その時、組紐をくれた彼女がこの災害に巻き込まれていたことなど知るはずもなく、まして岐阜の田舎町の出来事で数百人が犠牲になっていたとしても「東日本(大震災)に比べたらちょろいぜ」くらいにしか考えていなくてもおかしくない。「未来の瀧くん」に惚れた三葉が渡した組紐が、時を越え、入れ替わりを促すアイテムになったとするのは飛躍した結論ではないと思っている。

次は時期である。
2014年・2015年に何事も起こらなかったのは、年齢のこともさることながら、瀧の側に余裕がなかったから、とも考えられる。2014年は受験のシーズン、2015年は高校一年生になったばかり。もし年齢を考慮に入れていなかったとしたら有力候補は2015年以降、ということになる。
そして迎えた2016年の秋。高校二年生になった直後でもなく、夏休み期間中でもない2学期が始まった直後にお互いの精神が入れ替わる現象が起こり始める。それは「あの日」である10月4日のほぼ一か月前。トータルで10回入れ替わりが起こっているということである(三葉の最後の日記が2016.10.2であり、これが東京生活10であった) 。
瀧の誕生日がある種の「トリガー」にもなっていると推察しているのだが、「あの出来事の1か月前から」と考えることも不可能ではない。年齢の一致という点もさることながら、「どうして一か月前からなのか」に関しては、明確な答えを出せるほどには至っていない。
それについては、ちょっとした邪推・完全なる個人的感想になるのだが「それ以上入れ替わりが続いてしまったら、相手を好きになることなく、ただの「いやな奴」状態で終わっていた」可能性も少なからず存在する。腕だけで飽き足らず、顔に落書きまで始める二人。「(恋人は)いないんじゃなくて作んないの」とお互い悪態をつきつつも傍から見ている分には「おーおー、仲のよろしいことで」となるように見せているところは悪くない演出だ。ただ、それ以上お互いに干渉し続けていたら、どうなっていたか、はこの物語では窺い知れない。悪い方向に向かっていたとしてもおかしくない。それを食い止める意味合いの一か月/10回の入れ替わり、だったとするならば、何事においても、うまく回した監督の采配が生きているといわざるを得ない。

そして同い年での入れ替わり、という事象については、当方は物理的な観点からそうなったと断定することにする。年齢が食い違ったままの入れ替わりは、性徴的な部分で矛盾を発生させる。例えば胸のふくらみ、男性器/女性器の問題などなど。
これについては物語の中でも大きくは取り上げられず、入れ替わったお互いが困惑する様子だけをクローズアップするにとどめている。瀧は女体化した自分に驚き、男性に憑依した三葉は、「なんや、ある」と男性そのものに顔を赤らめる。その程度で終わらせることで我々には「お困りのご様子」程度の認識をさせつつ、入れ替わりがもたらす「偉業」をあのときまで知らせないという効果にもつながっている。


もちろん、「17歳の瀧しか知らず、会いに行ったら3歳年下だった」という現実は、まさしくパラレルワールドでもある。今でこそ理解して書いているが、初見/2回目くらいまでは疑問符が付きまくる状態が治まらなかった。そして、この疑問がクリアになった瞬間に、彼らの想いと、3年間の空白が一気に埋まっていくのである。
瀧は、組紐を渡しに来た(正確には三葉を知らない3年前の瀧に会いに来た)三葉の想いを受け取り、そうとは知らずに3年間持ち続けていた。そこに気が付き、三葉に入った状態でご神体に上りつつ号泣に近い感情を発露させる。好きとも嫌いともいわれていないはずの彼らが一つにムスビつこうとしている。だから、私も「自転車をこぎ出すあたりからやばい状況に追い込まれる」ことが何回かに一度あるのだ。

入れ替わりの相手は、通り魔よろしく誰でもよかったわけではない。歴史の必然が二人をムスビつけていたとしか考えられない。

解析結果<独自研究>
二人の入れ替わりが起こる決定的な証拠や事象は、当の本人たちも「原因は不明」としているように、映像を見ている我々にも明確な回答は出していない。しかし、もし「原因がある」とするなら、二人をムスビつけている組紐がそれであり、同い年になるまで効力を発揮しなかったとするのが妥当。