訃報に接するとき、残念な気持ちにさせられるのと同時に、その人が培ってきたものの大きさに心を奪われることが往々にしてある。

俳優・高倉 健(享年83)さんの訃報に接したときに抱いた、率直な感想はまさにそれである。
日本を代表する俳優でもあり、仕事に対して一切手抜きをしない姿勢というものにも、凄みを感じる。中国映画(単騎、千里を走る)やハリウッド(ブラック・レイン)でもその存在感をいかんなく発揮し、今回の訃報を受けて中国政府が公式に哀悼の意を表明するなど、まさに世界的な俳優であったといっても過言ではない。

その彼の一番のヒット作(もっとも観客を呼べた)が、「南極物語」である。フジテレビが全面的に映画に進出するきっかけになった作品でもあり、実際の大雪原でのロケーションなど、3年余りを費やしての大作でもある(興行収入としては、110億で歴代7位/実写映画では2位。配給収入は59億円。以上wikipediaより)。

著名俳優が死去すると追悼企画として、出演作とかが再放送されるわけだが、今回、フジテレビは、一番のヒット作を放送することにした。フジの本気度がうかがい知れるところでもある。
それでも、当方は、「幸福の黄色いハンカチ」とか「鉄道員」とかがよかったんじゃねーの?とか考えていたのだが、この記事を書く直前になって、ラテ欄を見て「あーーーーー」となったのである。

そう。裏の金ロ枠で「千と千尋の神隠し」をやっているではないか!!歴代観客動員/興行収入第一位の、押しも押されぬトップ映画である。相手がこれでは、南極物語にせざるを得ないな。フジの編成局員でなくったって、そう思うに違いない。
ちなみに、当方は、この映画を境に、宮崎シンパでなくなっている。それどころか、彼のいろいろな思想的な部分を知るにつれて、むしろアンチに転向したといってもいいくらいである。
→当方の変貌ぶりを知る記事も挙げている。こちら
この作品は、ぎりぎり老害的な薫りを漂わせない、しかし、言いたいことが何だったのかがわかりづらい作品であったといわざるを得ない。これで日本映画No.1なのである。

千尋の頑張りが制するか、それとも、タロ・ジロの感動が勝るのか…勝敗の行方が気になって仕方ないところである。
(蛇足:なんでも千と千尋はノーカット放送らしいのだが、今回は録画対象としなかった。もう見直すこともないだろうし、だらだらとした後半は見るのも苦痛である。)