2016年10月1日。
忘れもしない、「君の名は。」の初見デー。しかも、電車の人身事故に見舞われる/とはいえ、ぎりぎりながらでも劇場にインできたという、今までの映画鑑賞の中でも特異中の特異といえる印象を当方にも植え付けさせた挙句に、ただひたすらに感動しかしていない自分に驚いていた。

以来、毎月1日は、確実にスクリーンに対峙することを心に銘じてきたが、見事、13回目のファーストデーを迎えることができた。
ぶっちゃけると、ここまでの鑑賞をさせた立役者は言わずもがなの「君の名は。」である。映画は映画館で見てナンボ、なのであり、自宅でDVDやBDを借りてみても、伝わらないし、面白くも感じない。さすがにそこそこに資金も投じて、ホームシアター的にお金をかけて視聴している人もいるにはいるが、それとて、劇場単体には勝てっこない。

つまり、1800円に見合う価値のある映画なら、惜しくはないのだ。実際、「君の名は。」は35回。すべて1800円で見たわけではないが、平均1400円で計算しても、ほぼ5万円。ほぼ一年間にわたり出資した計算になるので、月4000円程度/3回分は見たことになる。今でもなんとかBDでごまかしてはいるものの、やはりスクリーンの魔力にはかなわない…

芸術の秋にふさわしい作品が上梓されたと聞いては、居ても立っても居られない。昨日初日だったわけだが、初日はシネマート心斎橋のキミコエに心を奪われたので、少しだけごめんなさい、したわけだが、これまた女子高生の「青春群像劇」の一種の完成形といえる「響け!ユーフォニアム」をファーストデー一周年記念の一作に指名した。

結果は上出来であった。基本、TVアニメのダイジェスト版であるという話なのだが、まったくの初見の当方が見ても、充分に青春している。オープニングで、しっかりと北宇治の音が響き渡るわけであり、つかみは全くOKだった。
ユーフォニアム奏者の二人…先輩後輩の人間関係を浮かび上がらせる一方で、お互いの家庭環境があまりうまくいっていないことをうかがわせる描写が随所に出てくる。中盤。合宿の場面で先輩・あすかの吹く楽曲に心奪われる後輩・久美子。このシーンは、かなり心にも響く名場面でもある。
様々な困難を乗り越え、そして、自らを律してまで部活と学業を両立させるあすか。彼女の頑張りあればこそ、そして模試の結果に涙する彼女を見て、「かっこいいなぁ」(なぎさ 談)と感じれてしまうのだから、この作品、ただものではない。
もちろん、久美子とあすかの対峙シーンは、この作品の肝であり、これなくしてはこの作品は語れない。涙まみれで思いのたけをぶつける久美子。まっすぐな思いが観客にも突き刺さる。じっとりと頬が濡れる。
そこからの全国大会の演奏は、まさに鬼気迫るものでもある。とはいえ、ここで金賞を取ってしまうほどストーリーはよくできていない。「この演奏でも」銅だったのである。しかし、それは以後の彼らの成長を予感させるものともいえる。
ラスト。卒業していく3年生を見送る久美子たち。ここであすかは、父の託したノートを久美子に手渡す。もう完全に楽器とは縁を切るかのような態度には少し私はいぶかるものを覚えているが、受け継がれていくべきものだと確信したのだろう。最後のツーショットも少しだけいい演出だとしたい。
河川敷で、そして、合宿の早朝聞いたあの曲…それが「響け!ユーフォニアム」であった。ラストこれが流れて今までが走馬灯のように駆け巡る。彼女たちの行く末に期待する私がそこにいた。

さあて、実は今でも採点に考えあぐねている。
今のアニメーション映画で、よっぽど外れるという作品にはお目にかかっていない。「え?メアリさんは…」あ、あれは我々の目が肥えすぎているだけ/お子様向け=アンパンマンとかドラえもんと同類とみれば、その程度と考えられる。だが、当方が見たここ最近のアニメーション映画の中では、ダイジェスト版とはいえ、少なくとも下位に位置しているとは言い難い。
で・・・悩みに悩んだ挙句、採点修正して優劣・順位をつけることにした。
まず「キミコエ」96点。「ノゲノラゼロ」は97点。「ルー」は80→87に。「片隅」90点。「打ち上げ花火」は下駄を取り除き85点。そして、本作を94点に設定した。
所詮は総集編であり、やはり初見者には少しだけ優しくない部分もあった。ストーリーが駆け足になってしまうところとか、主軸にスポットが当たりすぎて周りが本当に空気に感じたり。ただ、大半を女子高生が占め、描き分けも難しくなるべきところをうまく処理したのは特筆すべきである。なにより、声が一致揃っての「はいっ!!!」は、凄みすら感じる。
感動できる作品であり、演奏を聞くためだけにスクリーンに対峙するだけの価値はある。「君縄」は登場人物が歌わないミュージカルであり、「キミコエ」は登場人物が合唱するその一瞬にすべてが凝縮されている。この作品は"まだまだ半人前"と評された北宇治のあの演奏が更なる磨きがかかってどうなるのか、を想起させる『前奏曲』であり、ここで大きな得点を得てしまうわけにはいかない。3年生のあすかには悪いが、私もこの程度とさせてもらう。

次の記事で、この作品が入ってランキングがどうなったかを修正したものを上梓するので待っていてほしい。