「美女と野獣」の実写版の上映時間は130分。確かに感動出来なかったわけではない。いや、むしろ「よくやった」レベルであり、満足度は高い。だが、元ネタがアニメーションで、不朽の名作と言われているものを完全リメイク、とするには、若干物足りなく感じたのは偽らざる気持ちである。

本来なら、他の映画を観ることで「君の名は。」の感動を打ち消す「脱縄計画」は、順調に推移するはずだった。しかし、いろいろな映画を観るのだが、基準がこの作品なので、またここに帰って来てしまう。
それこそ、瀧の心情そのままである。
 「俺がもう一度逢いに行くって」 

実際、今回のスクリーンに座った原動力は、一にも二にも、「美女と野獣」の中途半端ぶりがあるからだ。長くなってしまった尺と、始終歌っている登場人物たち。ミュージカルとして受け入れるにしても、純度が高まってしまったおかげで、ストーリーがぶつ切りになる。畳みかける楽曲だらけで、盛り上がるのは間違いないが、それでも楽しい感じにはならない。
だが「君の名は。」はどうか。歌詞付きの楽曲は4曲5バージョン。私はこの作品を「登場人物が歌わないミュージカル」と評したこともあるのだが、今回改めてみて、その思いを一層強くする。
夢灯籠が流れるさなかにさっそくひと泣き。開始一分程度しか持たない涙腺の緩さに苦笑することしきり。さすがに「前前前世」は泣ける要素は皆無だが、それでも幕間/場面転換とする曲という部分ではいい位置での配置だ。
スパークル/なんでもないや(movie edit)は、もう当方が涙なしには歌えない一曲になってしまっている。もちろん、画面に合わせて口パクするが、もうどうしようもなくなる。エンディングでもようやく「泣いたりしたその後の空は」の部分で泣かずに済み、また見てしまった、という思いにとらわれる。

まあ、原動力は確かにそうだが、ミント神戸が夕方回に時間帯を変更したことのお祝いとして、再度観に行ったという部分も上げておく。こうでもして、「もう少しだけでいい」という人たちがしがみつくことで、辞めないで済むという部分もあると理解しているからである。

観客内容は30人強。出色は高校生カップル(一組)の存在。待機場所で隣どおしになっていたので、声をかければよかったか、とまたしても反省。高年齢層の視聴は少なくなり、どうやら完全リピーターが来ているように感じる。平均年齢は30代後半、男女比は若干女性優位。

当初の予定では4/23日曜日に見に行くつもりだった。だが、着替えが面倒くさくなり今日も"正装"で出かけたことで、今日行く気になったという側面もある。
もう映画を見て泣かずに済む局面を想定できなくなっている。本当にヤバい。

「私は、いや、日本国民は、とんでもない映画に巡り合ったのかもしれない」。

上映され続ける限り、追いかける思いを新たにしながら劇場を後にする。